生死をさまよい開腹手術を受けた子猫 警戒され抱っこも嫌がられたが「あなたなら里親になれる」 甘えん坊が家族の一員に

Linus(ライナス)くん(2歳7ヶ月・男の子)とLucy (ルーシー)ちゃん(1歳9ヶ月・メス)は、猫の保護活動をしている人に保護された。三重県在住のYoshikoさんは、その保護主さんのインスタをフォローしていたので、それぞれ別の経緯で保護されたことや、2020年に保護主さんのお宅で二人が出会い、とても仲良く過ごしている様子を当初から見守っていた。

ライナスくんは、県の施設やスーパー、レストランなどが集まる場所で、数匹の野良猫仲間と一緒に暮らしていた。保護主さんが他の保護活動仲間と一緒に保護したそうだ。ここでの活動はすべてTNRと決まっていたが、ライナスは当時生後半年くらいで、風に吹かれるゴミや葉っぱに無邪気にじゃれついている様子をみて切なくなり、TNRではなく里親さんを探そう!と家に連れて帰ったという。

ルーシーちゃんは、街のはずれの田園風景が広がる地域で、敷地内ではあるが屋外で飼われていた。そこでは、多頭飼育崩壊が起きていて、保護主さんたちが駆け付けた。

「状態の悪い生後1ヶ月ほどの3兄妹を保護し、家に連れて帰ったそうです。残念ながら1匹は保護直後に、もう1匹は回復し元気に暮らしていたのに、突然保護から2ヶ月後に亡くなりました。最後に残されたのがルーシーでした」

■猫の日に迎えよう

ライナスくんは人馴れが難しく、保護主さんにもシャーを繰り返し、なかなか里親募集に繋がらないようだった。大人猫とも仲良くなれずにいたが、新入りの子猫たちの面倒見は良く、ルーシーちゃんとは特に仲良しだった。

「2匹はラブラブでずっと一緒にいるのが一番幸せなようでした。保護主さんは、二人一緒に迎えてくれる里親さんを探されていました。そんな2匹をインスタで眺める一方で、我が子キースの体調は思わしくない日が続いていました」

7年間の闘病の末、キースくんは、2022年11月に亡くなった。穏やかとは言えない壮絶な最期を看取り、Yoshikoさんは辛すぎてもう猫は飼えないと思った。

「でも、以前から気になっていた2匹のことを家族に話すと、ぜひ家族に迎えたいと話が進み始めました。12月になって保護主さんにDMを送り、まだ先になるけれども二人を家族に迎えられたらとお伝えしました。連絡をしたことで私の気持ちも区切りがつき、前向きになったところで保護主さんから思わぬ報告がありました。ライナスが体調を崩し生死をさまよっている。激しい嘔吐と絶食でやせ細ってしまったと」

ライナスくんは、原因究明のために開腹手術までした。ただその後、膵炎の可能性があるのでその治療を始めたところ薬が効き、ようやくごはんも食べられるようになり回復したそうだ。

「持病を持っていると分かって家族に迎えるのか、と不安な気持ちと迎えることを迷う気持ちでいっぱいになりました。家族会議も開きましたが結局は私が決めることです。年も押し迫る中、思い切って家族で2匹に会いに行きました」

保護主さんの説明通り、二人はとても臆病で抱っこもできず、触れることも嫌がり、存在をないことにするかのように身体を低く伏せたまま身動きもしなかった。

「夫もその様子を見て本当にうちに来ても大丈夫なのかな、馴れるのかなと心配していました」

年が明け、ライナスが通院していた病院とキースの病院が偶然にも同じと分かり、Yoshikoさんは、獣医師に今後のライナスの病状について相談に行った。獣医師は再発のリスクを私に説明し、膵炎の怖さも教えてくれた。

そして、最後に「膵炎にかかってしまった以上、この子にはもう里親さんは見つからないと思います。でも、もし見つかるとすればYoshikoさん以外にいないのではないですか?キース君の病気とあそこまで向き合った経験のあるYoshikoさんなら里親さんになれると思います」と言った。

Yoshikoさんに迷いはなくなり、保護主さんに「このまま順調に通院を終えたら2023年2月22日に2匹を家族として迎えたい」と伝えた。

■素晴らしいプレゼント

2匹は用意したケージにスムーズに入ってくれた。Yoshikoさんは、中が見えないよう布でケージ全体を覆い、落ち着いてもらうようにした。

「時々のぞくとライナスはシャーっと警戒モード、ルーシーは目をそらし不安そうにライナスのそばに寄り添っていました。この二人は一生ケージから出てこないのではと不安に駆られた一夜でした」

名前の候補は色々上がったが、テレビでスヌーピーの生みの親のシュルツさんのドキュメンタリーが放送されていて、「スヌーピーいいよね!」と話が盛り上った。

「チームピーナッツにはたくさんのキャラクターがいますが、甘えん坊のライナスとしっかり者のルーシーが二人にピッタリだととんとん拍子に決まりました」

キースくんと暮らした日々はYoshikoさんたちにたくさんの喜びを与えてくれた。しかし、キースくんを失い、キースくんのことを想ったり、口にするたび悲しみがこみ上げ、泣いてばかりいた。

「存在感の大きさを思い知らされた日々でした。けれど、2匹が再び私たちに明るく素晴らしい毎日をプレゼントしてくれたのです。ライナスはスカしていますが、どこか憎めないどんくさいビビりくん。ライナスのことが大好きなルーシーは控えめな性格ですが、私たちには思いきり愛情をぶつけてきてくれます。その愛情を夫と二人で取り合っています(笑)。2匹の命に責任を持つためにも、まず自分たちが健康に、家族5人でこれからも楽しく暮らしていきたいと思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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