日本人もサングラスは必須 眼科医学会も着用推奨、病気のリスクも JRは乗務員の着用認める
猛烈な暑さが続く中、街中でもサングラスの着用を呼びかける声が高まっている。
見た目がごつくなるイメージが消えないサングラスだが、日本眼科医会も紫外線により、白内障など目の病気になる危険性を指摘しており、「これだけ日差しが強いと着用は必須」と訴えている。
「外国の人がサングラスをしているのは、目のダメージ防止のため。紫外線対策という意味で日本よりはるかに意識が高い」と語るのは著述家の谷本真由美さん(@May_Roma)。
海外諸国で長く就労経験がある元国連職員の谷本さんは、「イギリスはじめ欧州は皮膚がんにかかる人が多く、社会問題となっているため、啓発活動も盛んだ」と指摘する。
政府も医療政策で予防対策を重視しており、バスや電車、トラック運転手、建設作業員だけでなく、配達員、体育教員に至るまで野外で活動する職業の人の多くが、紫外線カットサングラスを着用しているのだという。
また、子どもたちのサングラス、帽子着用も珍しくなく、学校では体育の授業の前に日焼け止めを塗る時間があるそうだ。
母親が白内障にかかった経験をふまえ、谷本さんがSNSで「日本でもサングラス着用を」と訴えたところ、3万近い「いいね!」が集まった。
日本眼科医会も「サングラス、日傘、帽子は三種の神器だ」と紫外線対策の重要性を訴える。
同会理事の山本修士医師は、紫外線に浴びることで、強い眼痛や異物感、流涙などの症状が現れる「電気性眼炎」などになる危険性を指摘する。
紫外線による慢性的な障害としては、白目の表面を覆う結膜が黒目に侵入していく「翼状片」や、水晶体が白濁して視力が低下する「白内障」が挙げられ、手術が必要になることもある。
山本医師は、大人よりも紫外線に対する感受性が強い子どもに対しても「公園での外遊びなど、大人より長い時間、日差しにさらされることが多い。子ども向けのサングラスは少ないが、対策は必要」と呼びかける。
では、実際にサングラスを選ぶ時は何を基準にすればいいのだろう。
山本医師のオススメは「UVカットされた色の薄いもの」。
色が濃いサングラスを装用すると瞳孔が開いてしまい、紫外線が目の奥にまで入りやすくなってしまうのだという。
「UVカット率が高いもので、可能ならば大きいレンズのものやサイドシールド付きのもの、オーバーグラスタイプのものがいいでしょう」
山本医師は「外出がわずかな時間でもできるだけ着用してほしい」と話している。
ちなみに、国内でも鉄道業界では既に、安全対策の一貫として、運転士のサングラス着用を認める動きが広がっている。日差しや乱反射から目を守るための「安全対策の一環」として、2019年にJR西日本が試行したのを皮切りに、私鉄にも広がった。当初は「威圧感がある」などの乗客の声も数件寄せられたというが、今では好意的な意見が多いという。
(まいどなニュース/神戸新聞・前川 茂之)