ヒロインと一緒に落語にハマるストーリー 芝居と落語の融合した演劇『落とし噺』の主演に桂三実が抜擢

落語は何だか取っ付きにくい…。そう思っていたのに、どっぷりと「沼」にハマってしまった女性が脚本を手掛けた演劇が上演されます。その女性とは、アパレル系会社員と脚本家の二足の草鞋を履いて活動をする濵田果歩さんです。

忙しい仕事の合間を縫いよしもとクリエイティブアカデミー(以下、YCA)で学び、2023年3月に卒業。今回の演劇が、初めて観客を入れての舞台なのだとか。とても期待値が高く出身のYCAだけでなく、よしもとパフォーマンスアカデミーや吉本興業も協力してくれるとのこと。

満を持して発表される舞台は、芝居と落語が融合した演劇『落とし噺』。若手落語家とお笑いサークルに所属する女子大生が織りなす青春群像劇です。主人公の若手噺家を演じるのは、第17回繁昌亭大賞新人賞を受賞しノリにノッている桂三実さん。初めて芝居に挑戦します。

さて、このキャスティングはどのような経緯で行われたのでしょうか。

■返事がもらえないので出待ち

--芝居未経験の三実さんが主演というのは大抜擢ですね。

濵田さん:YCAに在籍していた時、課題としてこの企画を提出したんです。すると先生から、「やるなら落語家でやった方が良い」とアドバイスをいただきました。「役者の落語は聞けたもんじゃない」って。

三実さん:落語家がやる芝居も見れたもんじゃないかもしれませんが(笑)。

濵田さん:私、芝居の経験があるから良いとは考えていないんです。大丈夫だと思います。それで上方落語協会の名鑑で調べて、イメージに近い三実さんにお願いしました。でも、連絡をしても1カ月以上返事をいただけなかったので…。

三実さん:ああ、そうでした。梅田で開催された落語会の終演後、スタッフから「お客さんが待ってますよ」と言われて行ってみたら、濵田さんが企画書と名刺を持って立ってたんです。今年の1月やったかな。

■一緒に練り上げていく企画

濵田さん:三実さんには色々アドバイスももらって助かっています。例えば、ヒロインの女子大生が初めて落語を聞いた場面を、最初「おばあちゃんと一緒に落語会に行った」にしていたんです。

三実さん:無理があるでしょ、落語会にそんな人いませんし(笑)。

濵田さん:そこで、お笑いライブの演者の一人に落語家がいたという設定に変更したんです。

--濵田さん自身は、どこで「沼」にハマられたんですか?

濵田さん:祇園花月です。漫才の台本に行き詰って、昔の台本にあたろうと考えていたら、ふと「大阪に昔からある、落語を聞こう」と思って行きました。偶然なんですが、三実さんの師匠の文枝師匠でハマったんです。見た瞬間に落ちました。

--その時の感動と衝撃を脚本に?

濵田さん:そうです!半年前まで落語を知らなかった私が書く「落語のハマり方」が、今回の舞台です。

■ヒロインと一緒に落語にハマる

--落語未経験の人をハマらせる落語を舞台で…。三実さん、えらいプレッシャーですね。ネタは何をされるんでしょう?

三実さん:ほんまですよ(笑)。2席あるのですが、1席目は何が何でも我を貫き通すネタで、2席目は様々なものを昇華するようなネタです。詳しくは当日までのお楽しみで。

濵田さん:1席目でヒロインは衝撃を受けて、所属するお笑いサークルで「落語を推す!」と宣言するまでハマってしまうんです。それで他のメンバーとギクシャクすることになって…。その衝撃を与えた若手落語家にも葛藤があり悩む中、ヒロインと交流することで一皮むけていきます。

--ヒロインと一緒に落語の魅力にハマっていく展開?

濵田さん:それが狙いです。ヒロインを通じて落語に触れ、ハマっていく過程を観てもらうことで、落語を身近に感じてもらえたら嬉しいです。

三実さん:逆に落語を聞きに来たお客さんには、芝居を身近に感じてもらえたら嬉しいですね。

■落語を聞くきっかけに

--『落とし噺』をどのような方に観ていただきたいですか?

濵田さん:落語に興味はあるけれど、きっかけがない人にぜひ観てもらいたいです。『落とし噺』がそのきっかけになれば嬉しいな。

三実さん:変に落語に興味がない人の方が楽しめるかもしれません。ヒロインがどんどんハマっていく様子に感情移入しやすいと思います。あと、僕は芝居が未経験過ぎてビビっています(笑)。待つ表情なんてしたことがない、いつも一人やから。迷惑をかけないか、確認しに来てください(笑)。

--有難うございました!

■何かにハマることで一歩進めることも

この『落とし噺』では、好きなものが見つかることで前進する若者の姿が描かれるよう。そして、好きだからこそ悩む若手落語家の姿も。これは舞台上だけでなく、私たちの身近にもあることではないでしょうか。

前に進めないと感じている方は、『落とし噺』を通じ俯瞰して自分を見るつもりで足を運んでみてはいかがでしょうか。解決の糸口になるかもしれませんよ。

   ◇   ◇

【落とし噺】

日時:2023年8月27日(日)15時開演(上演時間90分)

会場:神戸三宮シアター・エートー

脚本・演出:濵田果歩

脚色・演出監修:菱田信也

出演:桂三実 他

料金:前売3000円 当日3500円

協力:YCAよしもとクリエイティブアカデミー

   YPAよしもとパフォーマンスアカデミー

   吉本興業株式会社

▽ご予約電話受付

078-231-0011 神戸三宮シアター・エートー(平日10時~18時)

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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