70年前のパインアメ缶が限定復刻 きっかけは1通のメール「祖母の遺品にパインアメの缶がありました」「手芸のボタン入れとして大切に使っていました」
1951年に販売が始まったパイン株式会社(大阪府大阪市)の主力商品「パインアメ」。輪切りのパイナップルを模した形と甘酸っぱい味わいは、今も幅広い世代に愛されるロングセラーです。2023年3月、「祖母の遺品にパインアメの缶がありました」「手芸のボタン入れとして大切に使っていました」というメールが届きました。故人が大切に使っていたそれは、敗戦の混乱を経て好景気を迎える昭和26~30年に生産されたもの。70年の歳月を経た物語には続きがありました。
メールの送り主は、他界した祖母の遺品を整理していた時に缶を見つけ、同社に寄贈しました。創業当初の「業平製菓」の社名が刻まれ、約70年前のものとみられますが、担当者は状態の良さに驚きます。パイナップルやアメが描かれた缶はドットの部分がキラキラ光る仕様で色あせず、持ち主が大切に扱っていたことを物語っていました。
■「復刻して」の声
パインアメの缶の約70年ぶりに里帰りの経緯を担当者がSNSで発信すると、ユーザーから寄せられたのは、「パインアメの缶を復刻してほしい」という声でした。「今回のこのご縁をぜひ形として残したい」と、社名など一部のデザインは現在のものにバージョンアップした上で復刻。「復刻パインアメ缶」は、2023年8月16日、阪神梅田本店の催事「パインなおやつ」で、限定3000個が販売されます。
また、生前パインアメの缶を保存していた女性と遺族に感謝の気持ちを込め、缶の中の包装にボタン柄がこっそりと出現するようデザインされています。
■パインアメの歴史
パイン株式会社によると、昭和24年にパイナップル天然果汁入穴あきキャンディを開発し、昭和26年にパインアメの商品名で発売しました。一粒1円で、当初はビンで後に缶になったそうです。パインアメが発売されたころ、パイナップルの缶詰は高級品で現在のように手軽に買い求められる商品ではありませんでした。「もっとパイナップル缶のおいしさを楽しめたら」と生み出されました。