後ろ脚を怪我し、やせ細っていた通い猫 エイズ陽性と分かっても…「ずっと一緒だよ」
銀河ちゃん(3歳・オス)は、2022年6月から栃木県在住のIさん宅の庭に来るようになった。来るたびに痩せ細っていたので、見るに見かねてフードを与えたそうだ。
「もともと野良猫が多い地域なので、人に懐かない野良猫は何匹か見かけます。近隣にもそろそろ崩壊しそうな多頭飼育をしている家もあります。でも、うちに来たのは銀だけです」
8月のある日、銀ちゃんは右後ろ脚を怪我してうずくまっていた。Iさんは銀ちゃんを動物病院に連れて行き、そのまま入院させた。
「飼い主もいない野良猫なので、引き取ることにしました。当時、我が家には先住猫が4匹いて、うち2匹は保護猫でした。大人しくて泣き虫なので、TNRする気にはなれませんでした」
■猫エイズの猫でも一緒に暮らせる
ただ、入院時に猫エイズの検査をしてもらうと陽性だった。
「今までもエイズ猫数匹を地域で看取ってきました。野良猫は猫エイズ陽性率15~20%ほどと言われているので、可能性はあると思っていました。ですから、さほどショックではなかったです」
家に連れて帰ってきてからは、先住猫と網戸越しに対面させ、時々匂いを覚えてもらったが、銀ちゃんはみんなとは別の部屋で暮らした。
「エイズでも人にうつることはないですが、他の猫との接触はうつる可能性があるので、極力部屋は別にして飼う必要があります。玄関に繋がる和室を銀ちゃんの部屋にしています。すごく外に出たがるので、毎日の散歩は欠かせません。ただし、キャリア猫なので、キャリア猫が増えてしまうから地域に戻すこともできないのです」
向かいに住むお母さんと今までに50匹くらいの猫を保護したというIさん。
「甘えん坊で泣き虫で大変なこともあるけれど、猫と触れ合っていると笑顔になれて幸せです。家族の会話もふえるし、楽しいことばかりです。猫エイズの猫でも一緒に暮らせることを知ってもらえたらと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)