ツイッターのロゴ変更日の投稿が「センス抜群」と話題 編集者が挙げた2冊のミステリー本に「こーゆーのなのTwitterで見たいのは」
Twitter社(現X社)は7月24日にアイコンを「青い鳥」から「X」に変更。長く広く愛されてきたロゴマークの変更に混乱と悲しみが広がる中、ある書籍編集者が投稿した2冊の本の写真が大きく注目を集めました。
6.6万件もの「いいね」がついた本の題名は『だれがコマドリを殺したのか?』と『Xの悲劇』。前者は英国作家イーデン・フィルポッツの傑作ミステリでマザー・グースの童謡にちなんだタイトルがつけられています。後者は古典ミステリの大家として知られるエラリー・クイーンの代表作の一つです。投稿主がそれぞれのタイトルから「コマドリ」を「青い鳥」に「X」を新ロゴマークになぞらえているのは一目瞭然です。
「ツイートセンスが秀逸過ぎて愛してます」
「未来を読む能力が高すぎる…」
「この一連のツイートね! これなのよ、こーゆーのなの Twitterで見たいのは 時々こういう遊びをしてる人達に会えるのが、Twitterの楽しいところだと思うのよ、あたしゃ」
鋭いユーモアと知性がうかがえるクールなツイートに賛辞の声が惜しみなく降り注がれました。
投稿主は「東京創元社」(東京都新宿区)の編集者である、桑野崇(「tsg_kuwano(書籍編集者)」@209_500)さん。桑野さんは「このミステリーがすごい!」および「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」で1位に選ばれ、各種ランキングで史上初の7冠に輝いた『カササギ殺人事件』の著者である、現代英国ミステリ作家アンソニー・ホロヴィッツ作品の担当編集者として知られています。
詳しい話を桑野さんにお聞きしました。
■ツィッターのロゴマーク変更で「そういえば自分、トリに不幸が起きるタイトルの本を作った記憶が……」と思い出した
--非常にタイムリーなツイートでした。
今回の一件(ツィッターのロゴマークの変更)で、『Xの悲劇』というタイトルは編集部内ですぐにあがったのですが、そのとき「トリがいなくなっちゃうのか……そういえば自分、トリに不幸が起きるタイトルの本を作った記憶が……」と思い至り、思いついてから5分くらいで写真をとってツイートしました。
--「実は今日の日を見越してわしは8年前に『だれがコマドリを殺したのか?』の新訳を出したんじゃよ。ガハハハハ」ともつぶやかれていました。何か予兆のようなものがあったのですか?
すみません、完全な出来心でして……。
--大変な反響です。「今日の日にこのコメント 秀逸過ぎる」などの声も届いています。
気軽につぶやいたツイートにまさかこんなに反響があるとは……というのが素直な気持ちです。コメントは追い切れていないのですが、上記のように言っていただけているのなら大変嬉しく思います。
■気になる、本の売り上げは…!? 「おかげさまで両方ともご注文を多くいただいています」
ツイートが大きく拡散した後の2冊の本の売れゆきをたずねると「おかげさまで両方ともご注文を多くいただいています。『Xの悲劇』は古典名作としてつねにご注文をいただいている作品ですので、『だれがコマドリを殺したのか?』の方の動きが目立つ印象ですね」(桑野さん)との答えが返ってきました。
またそれぞれの作品について桑野さんは「『Xの悲劇』はミステリのスタンダード中のスタンダードで絶対名作!と胸を張ってお勧めできる作品です」、「『だれがコマドリを殺したのか?』は、古き良き雰囲気のミステリなのですが、今読んでもびっくりするような展開が待っています」と読みどころを語り、さらに「ともに新訳で読みやすくなっていますので、ぜひお手に取っていただけると幸いです」と話しています。
(まいどなニュース特約・山本 明)