必死の鳴き声をたどっていくと…独居のおじいさん宅のベランダに子猫の姿! 体重わずか200gの小さな命はすくすく育って今はツンデレ姫
予期せぬ出会いが、人と猫には訪れるもの。YayoEmiさん宅は思わぬ経緯から、ひとり暮らしのおじいさん宅に現れた黒猫・弥生ちゃんを保護することに。成長した弥生ちゃんは家族の心を虜にする、“ツンデレ姫”になりました。
■実家の母が子猫の鳴き声を聞いたことで捜索活動がスタート
飼い主さんはある日、実家で暮らす母親から、必死に鳴き喚く子猫の声を耳にしたことを聞きました。近所の人も子猫の鳴き声を聞いており、みな心配。力を合わせて、大捜索をすることになりました。
子猫の鳴き声を追っていくと、そこには一人暮らしをするおじいさん宅が。飼い主さんらはおじいさんに事情を説明し、庭を捜索させてもらうことに。おじいさんも猫探しに協力的で、庭以外の場所を見に行ってくれました。
すると、2階のベランダを見に行ったおじいさんが、1匹の子猫を発見。捕獲された子猫は飼い主さん宅に迎え入れられることとなりました。
「子猫がいたのは、人様のベランダなので人間の仕業とは考えにくい。野良の母猫が置いていったのか、カラスなどの仕業なのか、今でも謎です」
保護した子猫は、生後3週間ほど。母猫から、あまり母乳をもらえていなかったのか、体重は、わずか200gほどしかありませんでした。
子猫は人を怖がることなく、すぐ飼い主さんに慣れてくれたそう。地頭がいいのか、ケージの外で遊んでいる時でも、おしっこをしたくなるとケージ内のトイレに戻り、排泄。躾をしなくても新しい環境を受け入れ、馴染んでいってくれました。
「哺乳瓶でミルクを与えたのですが、すでに歯が生え揃っており、乳首を噛み切られました(笑)。11歳の先住猫には威嚇されていましたが、臆することなく甘えていましたね」
名前は「弥生」に決定。1歳までは、先が思いやられる…と感じるほどのおてんば娘でしたが、やがて、落ち着きのある“気高きツンデレ姫”に成長。
「こちらから撫でたり抱っこしたりしようものなら、怒りのパンチ!噛みつき炸裂です」
しかし、自分が甘えたい時は別ニャン級の豹変。歩けないくらい足にスリスリしたり、飼い主さんが立っている時にジャンプして抱っこされにきたりと、デレ姿を披露します。
「お喋りが上手で話し掛けると、必ず返事をしてくれます。声もかわいいんですよ」
弥生ちゃんが家族の中で特に大好きなのは、飼い主さんの旦那さん。嫉妬するくらい、2人でイチャイチャし、絆を深めていることもあるのだとか。
そんな弥生ちゃんには、面白い個性が。なぜか、飼い主さんが電話で話していたり、競馬中継を観ながら声を出したりしていると、走って来て口を閉じさせようとするそう。
「私と夫が会話している時や、私が他の猫に話しかけたりしている時は何ともないのに…(笑)」
保護から5年ほど経った今、弥生ちゃんはシニアの先住猫ちゃんや自分より後に家族の仲間入りを果たした弟分の猫たちと、賑やかに暮らしています。
「1歳を過ぎてからは、先住ばぁちゃん猫と共に隠居生活のような落ち着いた暮らしをするようになりましたが、弟猫たちが家族に加わってからは、少し活気を取り戻しました」
弥生ちゃんは、子猫の時から甘えていた先住ばぁちゃん猫には一目置いており、従順。頭を舐めてもらい、喜んでいるそう。
「弟猫たちのことは普段、蔑んだ目で見ていますが、気分が乗るとバカ騒ぎに参加しています(笑)」
こんな日常があるのも、あの日、弥生ちゃんが必死に助けを求め、飼い主さんがその声をキャッチしたからこそ。愛くるしいツンデレ姫は今日も人家族を翻弄し、猫家族と交友を深めながら、ひとりぼっちではないニャン生を謳歌しています。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)