重度のフィラリア症 「持って1カ月かもしれません」 弱った仲間に寄り添い離れなかった心優しき保護犬 虹の橋を渡る 

2021年の春のこと。愛知県のとある場所に、飼い主がわからないワンコが複数暮らしていました。聞けば、この場所には10年ほど前から複数のワンコが首輪に繋がれて暮らし続けているとのこと。しかし、避妊や去勢はされておらず、周辺をウロウロしていた野犬らしきワンコとの間にたくさんの子犬が生まれたり、ここから脱走して行方不明になるなど、問題になっている場所でもありました。

■土地の借り主の外国人が激怒「保健所に持ち込む!」

後にこの土地を借りていた土木事務所の外国人が、いつまでも多くのワンコが土地にい続けることに不満が爆発。「保健所に全頭持ち込んで殺処分にしてもらう」と言います。「保健所への持ち込みの際に、飼い主の許可が必要」と知ると、「首輪を外して逃す」とまで言い出しました。

この事態を知ったのが、愛知県を拠点に動物の保護活動を行う一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)、そして協力団体でした。

土地の所有者を調べ飼い主を探し出しましたが、すでに亡くなっていました。遠方にいる息子さんと連絡が取れましたが、「引き取る気はない」という返答。

そこでSORAと協力関係にある団体とで、ここにいた全頭のワンコを保護。このうちSORAでは、性格が気難しい一方、重篤な状態のように見えたいそろくくんというワンコを引き取り世話をすることにしました。

■いそろくくんの体はボロボロ

SORAのスタッフはいそろくくんを引き出した後、すぐに動物病院に連れていきました。検査の結果、重度のフィラリア症。治療も受けてこなかったことから腹水でパンパンでした。スタッフによると、心臓が健康なワンコであれば開胸手術でフィラリアを取り除くことが願いそうですが、重度のいそろくくんは右心不全、左心圧迫、肺高血圧も認められ、手術には大きなリスクが伴いました。そして、獣医は「もって1カ月くらいの命かもしれません」と告げたのです。

しかし、SORAのスタッフは諦めず、できる限りの治療をしてもらうよう獣医にお願いしました。日々通院することは、人が苦手ないそろくくんにとってりストレスのようで、病院で大暴れすることもありました。興奮すると心身に負担がかかるため、できるだけ通院の回数を減らしできるだけ負担のない治療を心がけました。

■気難しい反面、心優しいワンコでもあったいそろくくん

ある日、SORAのスタッフが病院で次の治療日の予約をしてからすぐ、その治療を受けることなく、いそろくくんは眠るように息を引き取りました。

保護されるまで劣悪な環境で過ごしていたいそろくくん。その経験から人間に威嚇することもあり、「気難しいワンコ」「孤高のワンコ」と思われていました。しかし、スタッフによれば、高齢のワンコや、病気によって他ワンコが亡くなる間際には、隣で寄り添い傍から離れないワンコだったそうです。

スタッフはこうも語ってくれました。

「いそろくくんは体が辛い日もたくさんあったと思いますが、お友達もできて、預かりスタッフの家でともに夜は布団の上で寝て、最期の日までのんびりと過ごすことができました。これもSORAにご寄付してくださった方、ご支援などの皆様が応援くださったおかげです。いそろくくんの犬生は絶望から希望に変わりました。皆様、優しい想い出をくださってありがとうございました」

いそろくくんは今頃、天国で多くの友達と一緒に元気に走り回っていることでしょう。いそろくくんの犬生が絶望から希望に変わったように、これからも同団体ではあらゆるワンコのサポートを続けていきます。SORAの最新情報にもぜひご注目ください。

一般社団法人SORA小さな命を救う会 インスタグラム

https://www.instagram.com/sora_save.dogs/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス