進む官僚離れ「国家公務員の働き方」はこの10年でどう変わったか 「20代成長環境」「人材の長期育成」などスコア悪化…クチコミサイトが分析
就職・転職のための社員クチコミサイトOpenWork(オープンワーク)を運営する「オープンワーク株式会社」は、このほど「働き方改革」を推進する立場である国家公務員の働き方に着目した「国家公務員の働き方 10年レポート」を公開しました。同レポートによると、官公庁業界の「20代成長環境」「社員の士気」「人材の長期育成」「人事評価の適正感」「風通しの良さ」のスコアは10年前の2014年と比べて悪化していることが分かりました。
国家公務員の人事を管理する「人事院」の発表によると、2023年度春の国家公務員総合職試験の申込者数は過去2番目に少ない14,372人で、昨年の申込者数15,330人からも大きく割リ込みました。国家公務員総合職、いわゆる「キャリア官僚」は、かつては東大生の就職先の代名詞とも言われていましたが、長時間労働や国会対応といった「働き方」に関する部分で、東大生に限らず就職先として学生から忌避される傾向があるとも言われています。
そういった状況を踏まえて、同社では国家公務員の働き方について、同社サイトの口コミ投稿から分析。2023年7月12日時点までに投稿された現職社員によるレポート回答全て(官公庁業界:1057件/日本全体:4万5815件)を対象データとし、評価スコア及び残業時間・有休消化率をまとめて集計したといいます。
まず、官公庁と日本全体の平均スコアを見ると、日本全体と比べて官公庁業界は「20代成長環境」(日本全体:2.96・官公庁業界:2.47)、「社員の士気」(日本全体:2.88・官公庁業界:2.70)、「人材の長期育成」(日本全体:2.63・官公庁業界:2.56)、「人事評価の適正感」(日本全体:2.87・官公庁業界:2.46)の項目でスコアが低い傾向が見られました。
これを10年前の2014年と比べると、官公庁業界では「20代成長環境」(3.19→2.47)、「人材の長期育成」(3.13→2.56)、「人事評価の適正感」(2.89→2.46)、「社員の士気」(3.04→2.70)、「風通しの良さ」(3.17→2.93)の5項目はスコアが悪化したことが分かりました。
一方、日本全体で悪化した項目は、「20代成長環境」(3.40→2.96)のみという結果から、官公庁のこれらのスコアの悪化は業界ならではの特徴であることがうかがえます。
次に、「国家公務員の働き方」について、1府11省に当たる内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省(行政機構図順)の総合評価を、2023年7月時点の官公庁業界平均の総合評価で比べた結果、官公庁業界平均(3.09)を上回ったのは経済産業省(3.52)、財務省(3.17)、環境省(3.16)、防衛省(3.11)の4省のみとなりました。
なお、「風通しの良さ」や「社員の士気」といった、ソフト面に関する評価スコアを見ると、「風通しの良さ」に関しては、11省中8省が2点台という中、両省は4点超え(経済産業省:4.1・環境省:4.6)という高い結果となりました。
また、「社員の士気」に関しては、両省のみ3点を超えており(経済産業省:3.6・環境省:3.2)、府省によって差異が生じる結果となりました。