育休取得者の業務、誰が補う?→「同じ部署の社員」が7割超 負担の軽減が課題に…経営者に実態調査
『ベンチャーサポート税理士法人』を運営するベンチャーサポートグループ株式会社(東京都渋谷区)は、全国の経営者の男女1007人を対象に「育児休業制度」に関する実態調査を行い、このほど結果を公表しました。同調査によると、「育児休業取得者の業務は同じ部署の社員が補う」ことが多いと分かったそうです。
調査は、2023年5月にインターネットにて実施されました。
まず、「社員の育児休業取得率」について聞いたところ、男性社員では「10%未満」(61.1%)、「10%以上30%未満」(14.1%)、「30%以上50%未満」(10.3%)、「50%以上80%未満」(5.2%)、「80%以上」(9.3%)となりました。
一方、女性社員では「10%未満」(30.4%)、「10%以上30%未満」(10.9%)、「30%以上50%未満」(8.0%)、「50%以上80%未満」(9.8%)、「80%以上」(40.9%)という結果に。
次に、「育児休業制度について、どのような問題を抱えていますか」と複数回答で聞いたところ、「育児休業取得者の業務を引き継ぐ社員の負担が大きい」(29.0%)と答えた人が最も多かったほか、「男性社員の育児休業制度が整っていない」(25.6%)、「育児休業を取得しにくい雰囲気がある」(15.7%)、「育児休業からの復帰率が低い」(12.2%)といった声も挙がり、「特に問題はない」と答えた経営者は38.4%にとどまりました。
そこで、「育児休業後の働き方」について調査したところ、「フルタイム正社員」は68.3%、「時短正社員」は23.8%、「パートタイム・アルバイト」は4.3%などとなり、9割以上が「正社員」として仕事に復帰していることが判明しました。
また、「育児休業後の業務」については、「育児休業前と同じ部署や仕事内容に復帰する」と答えた人が91.1%となり、別の部署や仕事内容への異動は1割以下であることが分かりました。
続いて、採用面接時における育児休業制度についての調査も行われました。「育児休業制度を重視する求職者は多いと感じますか」と聞いたところ、47.5%の人が「多い」(多い:16.8%、どちらかといえば多い:30.7%)と回答。
そこで、「求人募集において、育児休業の取得率の公表など、育児休業制度の充実をアピールしていますか」と聞いたところ、47.4%の人が「はい」と答えました。
さらに、「育児休業取得者がいる場合の業務の代替」については、71.9%の人が「同じ部署の社員が業務を負担する」と答え、「別の部署の社員の異動を行う」は12.9%、「新たに社員を採用する」は12.7%という回答結果となり、周りの社員が業務を補っている実態が明らかとなりました。なお、それぞれの回答について具体的な理由を聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられました。
【同じ部署の社員が業務を負担する】
▽引き継ぎがスムーズなため(30代女性/大阪府)
▽人数が少ない中小零細企業ではなかなか思うように人員を確保できない(60代男性/広島県)
【別の部署の社員の異動を行う】
▽部署の人員に余裕がない(50代男性/神奈川県)
▽他のスタッフの負担軽減(50代男性/沖縄県)
【新たに社員を採用する】
▽気兼ねなく育休を取得できる環境を作るため(60代男性/埼玉県)
▽欠員状態を補充するため、派遣社員を一定期間採用する(60代男性/東京都)
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最後に、「政府が掲げる『異次元の少子化対策』に関連する企業としての取り組み」について複数回答で聞いたところ、「育児休業の取得促進」(37.8%)、「賃上げ」(26.1%)、「育児休業取得者の業務を引き継ぐ社員への『応援手当』の支給」(24.5%)、「正規雇用による雇用の安定」(21.3%)といったことが上位に挙げられました。