悩ましい“年収の壁”…「時給1500円以上なら、扶養から外れて働く」「せめて年収200万円ほどは控除内に」
株式会社ビースタイル ホールディングス(東京都新宿区)が運営する調査機関『しゅふJOB総研』は、「扶養枠」に関する調査結果を発表しました。
調査は転職・派遣求人サイト『スマートキャリア』および求人サイト『しゅふJOB』に登録している女性を対象として2023年7月にインターネットで実施されました。家周りの仕事について「同居家族はいるが主に自分が担当」または「同居家族と自分で概ね平等に担当」のいずれかを選択した621人から回答がありました。
まず、「現在の収入上限に関する希望」を聞いたところ、「収入制限は気にしない」が最も多く32.4%。次いで「年収103万円(配偶者控除や夫の家族手当支給枠内)」(31.7%)、「年収130万円や月収88,000円(社会保険の扶養内)」(21.4%)が上位となりました。
これを働き方別にみると、「収入制限は気にしない」と回答した人の割合は、「パート/アルバイト」が20.2%だったのに対して、「現在働いていない人」では30.3%、「派遣社員」では57.3%と差がみられました。
なお、「収入制限は気にしない」と回答した割合を2021年調査と比較すると、「パート/アルバイト」が7.6pt減少したのに対し、「派遣社員」は2.6pt増加しており、比較的時給が抑えられがちな「パート/アルバイト」は扶養枠内に収める方向にシフトし、比較的時給が高い「派遣社員」は扶養枠を外す方向へとシフトする二極化の傾向がみられます。
次に、「時給換算でいくら位の仕事であれば、扶養枠を外して働くことを選びますか」と聞いたところ、「1500円以上」が23.5%で最多に。さらに、「1200円以上」(10.6%)や「1300円以上」(10.1%)など、1500円以上までの累積は63.4%という結果になりました。
これを2021年調査と比較すると、「1500円以上」 まで累積した比率は5.9pt増えており、物価高等で家計がひっ迫してきている影響もあってか、より低い金額でも扶養枠を外そうとする方向へシフトしていることが見てとれます。
また、「扶養枠の必要性」について聞いたところ、「扶養枠は必要で、あった方が良い制度」は28.3%、「扶養枠は不要で、なくした方が良い制度」は16.3%、「扶養枠が必要か扶養かは一概には言えない」が48.0%という結果になりました。
年代別に「扶養枠は必要」と答えた割合をみると、「30代以下」が37.8%であるのに対して、「40代」では31.9%、「50代」では27.2%、「60代以上」にいたっては14.1%と、年代が高くなるほど扶養枠を必要とする割合が下がっており、比較的子どもが小さく時間的な制約を受けやすいと考えられる低年齢層の方が、より扶養枠を必要と感じやすいことがうかがえる結果となりました。
なお、「扶養枠は必要」と答えた人からは、「家事が本業だから」(50代)、「本当に働けない人のセーフティネットとして必要」(50代)、「扶養内のわずかな収入まで課税されたらもはや働く意味がない」(40代)といった意見が聞かれました。
一方、「扶養枠は不要」と答えた人からは、「外したほうが思いっきり働けて収入も増えた」(50代)、「主婦や若者の働く意欲を抑制してしまう」(40代)、「短時間パートか正社員(契約社員)かの2択しかなくなる」(50代)などの声が寄せられています。
また、「必要か不要かは一概に言えない」と答えた人からは、「仕組みが複雑すぎて分かりづらい」(50代)、「生活水準による」(30代)、「せめて年収200万円ほどは控除内にしてほしい」(40代)といった声が寄せられました。