テニスの王子様のラケット13年かけ収集→原作者反応「まさに博物館」 小学6年からファン、バイト代全投入で超レア品など約70本

アニメ「テニスの王子様」に登場するキャラクターが使うラケット約70本を、13年かけて集めた男性がいる。関東在住の会社員(24)で、小学6年生の時に友達に勧められてファンになったという。原作漫画の連載を読み、「ラケットのメーカーや種類が書かれている部分があって、実在するんだと驚いて調べるようになりました」と男性。バイト代の大半をラケットに費やし、オークションや老舗スポーツ用品店を巡って地道に収集。今年7月末に主要ラケットが集まったことをSNSに投稿すると、作者の許斐剛さん(53)から反応があった。「これは凄すぎますね…まさに博物館」

■フィクションなのに現実感

X名RACKET MANさん(@RAKETMAN333)。主人公越前リョーマが繰り出す派手な技に惹かれたという。中学1年からテニスクラブに通うようになり、初めて親に買ってもらったのが、リョーマのラケット。新品は高額だったため、オークションで2万円の中古品を選んだ。「実際にラケットを目の前にすると、アニメはフィクションなのに現実感が湧いてきて感動しました」

高校生になってからはアルバイトし、お金を貯めてはラケットを購入。ラケットは漫画や作者インタビュー記事などで考察・特定しており、「20年前のモデルが中心で、マイナーなメーカーも多い。地道に1本1本集めるのみです」と笑う。社会人になってもテニプリ愛は止まらず、シューズやバッグなども収集。リョーマの兄「リョーガ」が得意なジェットスキーの免許を取得し、購入するほどだ。

■人生ってこんなことが起きるんだ

最後のラケットを手に入れたのは今年7月末。「桃ちゃん」の愛称で知られる桃城武の1本。ミズノの1999年頃のモデルで、製造本数も少ない。諦めかけていた頃、知り合いを片っ端から当たり、タイ在住の人に譲ってもらった。ガットを変え、グリップを巻く。「終わった」という充実感。そして、Xに投稿すると、許斐さんから返信があった。

「ラケットは各キャラの特徴に合ったものなどで選ばせてもらってましたが、私以上にしっかりと考察し解説されていて本当に感心しました」。ファンレターも読んでくれていたようで、男性は「人生ってこんなことが起きるんだ。許斐先生に認知されるなんて夢かな…」と喜ぶ。

一方で、“宿題”も残った。「金ちゃん」と呼ばれる遠山金太郎のラケットデザインが微妙に異なっていたという。KAWASAKIがラケット事業を撤退する際に作られた限定品で、許斐さん自身、大学生の時に父親からもらったものだという裏話も書かれており、男性はこう語る。「単行本をどれだけ読み込んでも分からなかった情報を教えてもらえて感激でした。まだ探せるんだといううれしさある。いつか絶対にコンプリートします」

(まいどなニュース・山脇 未菜美)

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