胎児のエコー写真の上から赤ちゃんの顔を描いて渡す産婦人科医 見れば納得!「その場にいない家族にも笑顔のきっかけになる」
女性が妊娠した時に産婦人科で撮影する胎児のエコー写真。見慣れていない多くの人は赤ちゃんの顔をなかなかイメージしにくいものです。婦人科医の今井賢(@kunkun421)さんは、妊婦にエコー写真を渡す際に必ず同じものを2枚用意。そしてうち1枚に目や鼻、口の部分を青や赤のペンでなぞって渡しています。
「妊婦健診時にエコー写真をお渡ししますが、僕は必ず同じ写真を2枚にして片方に絵を描いて渡しています。エコー写真は見慣れていない人が見ると、あれ?ってことがあると思うので、帰ってから困らないように。ちょっとした工夫で何でもない2Dも楽しくなります。若手の先生にお勧め!」
多忙な医療現場でのちょっとした一工夫を今井さんがX(旧・Twitter)で紹介すると、「赤ちゃんへの愛情を感じちゃいます。これは妊婦さんうれしすぎですね」「2枚というのが気遣いで優しいーーー!3人産んでますが、それでもエコー写真は、よく分かりません」「産婦人科医です!真似させていただきます!」など8万近いいいねが集まりました。今井さんに聞きました。
■これまでに1000件以上
ーー「1年目の頃から取り組んできたことが報われた気が」と投稿していました。
「担当する妊婦健診では妊娠週数によらず必ず行っています。1年目から現在までで考えますと1000件は優に超えると思います。現在は婦人科がメインで週1の外来で4、5人の妊婦健診をしているのみですので月20人ほどで年間240人ということになります。こういうひと手間のお話をすると「そんな時間はない、それをやってるせいで他の人に迷惑がかかる」という話になることが多いのですが、僕自身は単位時間あたり他の医師よりも多く患者を診ていますので、このせいで外来が遅くなるわけではありません」
ーー始めたきっかけを。
「切迫早産で長期入院をしている女性をを少しでも元気づけたいという思いからでした。体は元気なのに2カ月入院して安静にしていなければならないというストレスが溜まる状況でした。少しでも楽しい気持ちにと、エコーの裏にボールペンで書くことから始めました。最初は黒のペンで描いていましたが、青の方が見やすいので、現在は青と赤にしています」
ーー受け取った妊婦さんや家族の反応は。印象に残るシーンを。
「分かりやすい、可愛いという喜んでくださる妊婦さんがほとんどです。印象に残っているのは、いつも通り写真に絵を描き、説明後写真を渡そうとした時、健診に付いてきた4歳上のお子さん(お腹の赤ちゃんのお姉さんになる子)が、写真を大事そうに受け取ったことです。お母さんをとられてしまうかもといういわばライバルのような関係ですが、その子にも妹に対する愛着が湧くお手伝いが、多少なりともできたのかなと思いました」
ーーエコー写真への書き込みがみんなを幸せにするんですね。
「目の前の妊婦さんとの関係だけではなく、その場にいないご家族にも笑顔のきっかけを作れることが分かりましたし、それがこれから産まれてくる赤ちゃんにとってもプラスになると信じて続けています。丁寧に診療をすることはもちろんですが、同じ目線で患者さんやご家族の気持ちに寄り添って、今後も診療を続けたいと思います」
身体に生じるさまざまな変化で、妊娠中は精神的にも不安定になりやすいといわれています。
(まいどなニュース・竹内 章)