アルプス一万尺、実際に「小槍」の上でやってみたクライマーの動画が大反響 「本当にやる人がいたとは」「これが小槍か!」「最高の景色」
♪アルプス一万尺
小槍の上で…♪
多くの人が子供の頃に歌ったことがあるだろうこの手遊び歌を実際に「小槍」の上でやってみた動画がTwitter(現X)に投稿され、「歌が本当に再現されている!」「本当にやる人がいたとは」「凄い凄い~!!」と大変な話題になっています。
投稿したのは登山や沢登り、BCスキーなどのアウトドアを趣味にしている「がんちゃん」さん(@K_Kuota)。ちなみに歌詞の「アルプス」とは日本アルプスのことで、「一万尺」とはその高さを表すと言われています(1尺=30.3cm)。そして「子ヤギ」と間違われがちな「小槍」は、槍ヶ岳の山頂(標高3180m)付近にある岩のこと。がんちゃんさんは、ロッククライミングの技術がないと登るのが難しいこの小槍の上で「アルプス一万尺」をやってのけ、それをドローン撮影したダイナミックな動画を投稿した、というわけです。
それにしても小槍、牧歌的な歌からは想像もできないようなとんでもない場所にあるんですね。ここでアルペン踊りをするのはさすがに無理そう…ていうかアルペン踊りって何? いや、そんなことはどうでもいいので、がんちゃんさんに撮影時のエピソードを聞かせていただきました。
-この動画を撮ろうと思ったきっかけは?
「小槍の上で『アルプス一万尺』は定番のようなので、どうせやるならGoProとかスマホでの手元の映像だけでなく、ドローンで撮ったら映えるんじゃないか、そもそもそんなことしてる人は他にいないのでは? と思って撮ることにしました」
「とはいえ、あくまでクライミングを楽しむ事がメインなので、ドローン撮影は『なんとなく』というのが近いかしれません。街中とかだとそもそも飛ばせないので、折角高いお金を出して買ったドローンなのに、使ってあげないともったいないという気持ちも強いです(笑)」
-撮影はいつ?
「2023年8月19日、午前9時半ごろです」
■ドローン撮影の事前準備は大変!
-撮影時の工夫や苦労があれば教えてください
「工夫というか事前準備ですが…今回は特定飛行(地上高150m以上での飛行等を指す。特定飛行になるとドローン情報基盤システムでの飛行通知が必要になるためちょっと面倒)にならないように、離陸地点(小槍の頂上)からあまり距離が離れないように撮影しました。というのも、山だと自身からちょっと距離が離れるだけで地面が下がり、地上高が一気に上がるためです。どれぐらい離れると地上高150m以上になってしまうかをあらかじめ地形図で確認しました」
「その他にも所管の森林管理署にドローン撮影を目的とした旨で入林届を提出しています。ちなみに中部山岳国立公園へも承認をもらった入林届を提出しましたが、実際のところ国立公園に対する申請や許可などは不要です(自然公園法にドローンに関する記述は無く、許可という概念がそもそもないため)。ただし、人がいるところでは飛ばさないでねといった注意喚起はあります」
「クライミングの観点から言うと、一般道の槍ヶ岳山荘から小槍の取り付き地点までがガレガレでそこに移動するまでが苦労しました。また、小槍の山頂はやはり足場が悪い場所なので念のためロープで確保した状態で撮影を行いました」
■「生きているうちに見られてよかった」
-反響についての受け止めは
「登山道(特に山頂)から見える範囲にあるという事で、そういったところでドローンを飛ばす事自体に疑問を持たれる方もいますが、それについては最大限配慮して撮影を行いました(ドローンの音が聞こえる距離まで近づかない等)。『ドローンを飛ばすのはどうなんだろうか?』『許可を取っているの?』といった反応もちらほらありましたが、そこらへんは先ほどお答えした通り突っ込まれても問題ないようにクリアしています。まぁ、『ドローンが墜落したらゴミになるじゃん』ってのはおっしゃる通りなんですけど…」
「そんな中、やはり『生きているうちに、これを実現する人たちを見ることができて良かった』『これが小槍だったんですね、意味も分からず歌っていました』『山登りしてみたくなった。クライミングしてみたい』『最高の景色ですね』といった声も多く、多くの人に楽しんで頂けたのは純粋に嬉しかったです」
がんちゃんさんは数々の山行の記録をYouTube「がんちゃんねる」で公開。「素晴らしい景色とかほとんど出てこないです。泥臭いのとか危ないのとか多いです。良かったら暇つぶしにチャンネル登録して暇つぶしに見てください」とのことです。
(まいどなニュース・黒川 裕生)