「新型シエンタ」VS「80系ヴォクシー」買うならどっち? クラス違いの人気ミニバン…中古車も視野に入れたら同価格帯

シエンタはコンパクトミニバン、ヴォクシーはMサイズミニバンとして人気だ。新型シエンタと同価格帯で旧型中古車ヴォクシーが買える状態だ。旧型とはいえ、1クラス上のミニバンのため、ファミリーカーとしてサイズ選びを検討している人には気になるところだろう。

■新型シエンタと80系ヴォクシーを比較する理由

2022年8月に10系新型シエンタが発売され、大ヒットしている。2022年度は、旧型を含む約9.3万台を売り、登録車販売台数ランキングでは堂々の5位だ。

人気の理由は、コンパクトなボディに、両側スライドドアをもつ3列シート車であることだ。さらに、圧倒的な低燃費を誇るハイブリッド車や、クラストップレベルの予防安全装備を備えていることも、売れている大きな要因のひとつだ。

価格を抑えようと中古車の購入を検討するにも、10系新型シエンタの中古車価格は、高値を維持しており、中古車を買うメリットがあまりない。

そんな中、注目したいのが、3代目80系ヴォクシー(2014年~2021年)だ。80系ヴォクシーは、シエンタより1クラス上の広大な室内空間や装備を持っている。さらに、シエンタの新車価格程度で買える状態だ。旧型とはいえ、1クラス上ですぐに納車が可能なら、かなり魅力的な1台である。

燃費や使い勝手、リセールバリューなどについて両車を比較した。

■【トヨタ シエンタの特徴】燃費・走行性能・予防安全装備すべての性能が飛躍的に上がった

10系シエンタは、2022年8月にフルモデルチェンジし、3代目となった。フルモデルチェンジでは、燃費や走行性能、予防安全装備の性能が飛躍的に上がった。

乗り心地や操縦安定性に大きく寄与するプラットフォーム(車台)は、最新のGA-Bが採用された。軽量・低重心が売りのプラットフォームを得たことで、走行性能は大幅に向上した。

また、1.5Lハイブリッドシステムも最新バージョンへ進化している。燃費性能はさらに向上し、出力アップも実現した。予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」の自動ブレーキ検知能力は、世界トップレベルの実力を誇る。

そして、デザインはアウトドア的でカジュアルに変更した。愛着のわく、可愛らしいデザインが魅力だ。

■【3代目80系トヨタ ヴォクシーの特徴】今でも燃費値・デザインが優れている人気のモデル

80系となる3代目トヨタ ヴォクシーは、2014~2021年まで販売された、Mクラスのミニバンだ。

2.0Lガソリンと1.8Lハイブリッドを搭載している。1.8Lハイブリッド車は、旧型になったとはいえ、今でも優れた燃費値を誇る。

80系ヴォクシーは2017年のマイナーチェンジで、外観デザインが大きく変更された。マイナーチェンジ前も、迫力のあるデザインだったが、マイナーチェンジ後ではさらに先鋭化している。ヘッドライトを上下2分割化した、ヴェルファイアのようなフロントフェイスになった。このデザインは、人気が高く、モデル末期になっても販売の好調を維持したほどだ。

走行性能面では、乗り心地と静粛性の向上が図られ、より上質な走りとなっている。

■燃費は両車優れており、甲乙つけがたい

シエンタの燃費は、80系ヴォクシーを上回っている。ボディが小さく、排気量も少ないからだ。燃費だけを重視するのであれば、シエンタという選択肢になる。

しかし、80系ヴォクシーの燃費も優秀だ。ハイブリッド車の燃費を比較すると、約16~17%しか悪化していない。この落ち幅をどう判断するかが重要だ。なぜなら、この燃費悪化分で、シエンタとは比べ物にならないくらいの室内空間が手に入るからだ。室内空間をより重視しているのであれば、許容範囲内の燃費といえるのではないだろうか。

■オシャレ系シエンタ、マイナーチェンジ前後でやや評価が異なる80系ヴォクシー

シエンタは、従来のミニバンとは異なるデザインが使われている。ミニバンは、大きく見えて、迫力のあるデザインが必須とされてきた。歴代ヴォクシーも、迫力のあるデザインを踏襲している。その結果、人気モデルとなった。

ところがシエンタは、大きく見えるデザインにこだわらなかった。ボディのコーナーは、丸くし、シカクマルシルエットとした。小さなクルマだからこそ生まれる、愛着の湧く可愛らしさも表現した。

また、ボディサイドにプロテクションモールを装着した。ややSUVなどのアウトドア的なツール感をプラスしている。トヨタは、デザイントレンドを敏感に感知し、上手くアレンジして使う傾向がある。その結果、シエンタの外観デザインは、とても好評だ。

80系ヴォクシーはマイナーチェンジ前のデザインも完成度が高かった。しかし、2017年のマイナーチェンジでは、フロントフェイスのデザインが大きく変更された。ヘッドライトは、1クラス上のヴェルファイアのイメージを引き継ぐような、上下2段のヘッドランプを採用している。さらに、台形でボトム部をかなりワイドにした、大型グリルが組み合わされた。グリルのフレーム部分にはメッキ加飾が施され、独特の存在感を主張する。ひと目でヴォクシーと分かる個性的なデザインとなった。

シエンタと80系ヴォクシーのデザインを比較すると、対局にあるように見える。どちらを選ぶかは、もはや好みの問題といった印象だ。そのため、デザインだけで選ぶのではなく、どんな使い方をしたいか、どんな機能が優先すべきかを検討する必要がある。

■広さでは80系ヴォクシー、使い勝手面ではシエンタ

室内スペースを比べると、80系ヴォクシーの室内長が長く広いことが分かる。3列目シートの居住性を重視するのであれば、80系ヴォクシーという選択になる。シエンタの3列目は、小さな子供用と考えると良いだろう。もちろん、荷室スペースも80系ヴォクシーが勝る。

同様に、室内高は100mmも差がある。シエンタでも十分な解放感があるが、80系ヴォクシーには敵わない。

全幅は、両車5ナンバーサイズということもあり、ほぼ同じだ。また、左右の乗員との距離も両車同等レベルで、大きな差はない。80系ヴォクシーのZS系は、全幅1,735mmだが、外板パーツによる全幅拡大のため、室内幅には影響しない。前後の室内スペースでは、ホイールベースが長い80系ヴォクシーが圧倒するものの、使い勝手面ではホイールベースが短いシエンタが圧勝する。

最小回転半径は、シエンタの5.0mに対して、80系ヴォクシーは5.5mと大きい。狭い駐車スペースでの取り回しでは、シエンタが便利だ。また、全幅は同じでも狭い路地などでは、小回りが利くので運転しやすい。運転が苦手な人や高齢者でも扱いやすいと感じるだろう。

よくクルマを使い、3列目シートをあまり使わない人であれば、シエンタがお勧めだ。

■比較対象にならないほど大きな差がついた予防安全装備

トヨタ シエンタに標準装備されている予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」は、クラス世界トップレベルの実力を誇る。

予防安全装備に加え、運転支援機能PDA(プロアクティブドライビングアシスト)も標準装備されている。PDAは、システムがリスクの先読みを行い、ドライバーの安全運転をサポートする。自動運転時代の到来を感じさせる装備だ。

予防安全装備を80系ヴォクシーと比較すると、雲泥の差となっている。予防安全装備は日進月歩といった状態のため、2014年デビューの80系ヴォクシーでは太刀打ちできない状態だ。

とくに、デビュー直後のモデルには、自動ブレーキそのものが用意されていない。2016年の改良で、対車両・低速域のみの自動ブレーキ機能をセットにした「トヨタセーフティセンスC」が用意された。しかし、廉価グレード系はオプション設定だ。ライバル車の多くが歩行者検知機能を備える中、2019年1月の改良でトヨタセーフティセンスに歩行者検知機能が追加された。

予防安全装備の性能を重視するのであれば、間違いなくシエンタという選択になる。80系ヴォクシーで、少しでも安全性能を重要視するのであれば、2019年1月の改良後モデルがお勧めだ。

■長期間高リセールバリューが続く80系ヴォクシー

シエンタは、高いリセールバリューを維持している。しかし、半導体不足が解消され、かつ通常納期に戻れば、リセールバリューは下落するだろう。ただし、下落するとはいえ、平均値を割るような落ち込みはないと考えられる。むしろ、平均値より高めのリセールバリューを維持すると予想できる。

シエンタでプラス査定が期待できるオプションは、下記の通りだ。

・アルミホイール

・10.5インチディスプレイオーディオ

・パノラミックビューモニター

80系ヴォクシーは、人気ミニバンということもあり、低年式になっても高リセールバリューを維持している。販売台数も多く、しばらく人気が下がることはないだろう。そのため、リセールバリューは大幅に下がることはないと考えられる。

ただ、80系ヴォクシーの場合、マイナーチェンジ前後で、リセールバリューが大幅に変わるため注意が必要だ。80系ヴォクシーの中でも、高査定がより期待できるグレードは、エアロパーツ類が装備された最上級グレードのZS系だ。

プラス査定になる装備は、下記の通りだ。

・両側パワースライドドア

・純正ナビ

■広さを求めるなら80系ヴォクシー、使いやすさや安全性能ならシエンタ

新車シエンタと中古車80系ヴォクシーを比べるときに重要なのは、何を重視するかである。例えば、新車シエンタの予算で、高年式80系ヴォクシーの中古車に乗れるのは、かなり魅力的だろう。こうしたクルマの乗り方ができるのは、中古車ならではだ。

また、より広い室内スペースが欲しいものの、予算の都合で新車シエンタを選択しようとしている人なら、同等の予算で広大な室内スペースをもつ80系ヴォクシーが手に入るのも大きなメリットといえる。スライドドアの開口部も広く、屋根も高いので高齢者などの送迎にも便利だ。

その一方で、狭い道をよく利用し、扱いやすさを重視する人なら、小回りが利くクルマが良いだろう。3列目シートは緊急用として使い、通常は2列シートで十分ならば、シエンタという選択肢になる。日々使うので、燃費が重要という場合もシエンタを選ぶと良い。

(クルマのメディア「norico」by ガリバー)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス