「ひき殺して逃げた車が憎い」横断歩道を渡る娘が連れていた愛犬が絶命 事故瞬間の映像をSNSで拡散、情報集まる

「R5/7/28 pm17:29:23~

轢き逃げ瞬間の映像です。

名古屋市緑区平手くいどん前交差点にて、押しボタン式横断歩道を青信号で手を上げて横断中の娘と愛犬。娘は無事でしたが愛犬は内臓損傷激しく亡くなりました。シルバーのyaris(ヤリス)とみられます。」

今年7月28日午後5時半ごろ、名古屋市緑区平手の交差点で、横断歩道を青信号で渡っていた女の子が連れていたワンちゃんを乗用車がひいてそのまま逃走しました。ワンちゃんは内臓損傷により死んでしまい、女の子は無事でした。警察は逃げた乗用車の行方を捜査しているといいます。

現在、女の子のお母さんでワンちゃんの飼い主さんのともこさん(@10mokodomo)がSNS(X、旧Twitter)で事故現場当時の様子を撮影した防犯カメラの画像を投稿。事故を目撃した人や逃げた乗用車の情報提供を呼び掛けています。

ともこさんによると、女の子は4人姉妹の三女。死んだワンちゃんは、ポメラニアンの男の子で朝陽(あさひ)くんといいます。10月に4歳のお誕生日を迎えるはずでした。事故は、三女と四女を連れて、朝陽くんの散歩がてら四女の保育園にお昼寝布団を取りに行った帰りに起きたとのこと。

ぐずる四女のお世話をしていたともこさんが、6時に夕食を食べに行く約束をしていたともこさんのお父さん(以下、おじいちゃん)が既にマンションのエントランスに到着した連絡を受け、朝陽くんを連れて三女に先に帰るようにお願い。その直後、マンションの前にある押しボタン式横断歩道を青信号で手を上げながら朝陽くんと一緒に渡ったという三女。渡り切る直前に左から向かってきた乗用車が止まらないことに気付いてとっさに立ち止まったそうです。足先ギリギリ前を車が走りさり、三女は足がブルブル震えたとのこと。

しかし、少し前を歩いていた朝陽くんが「ギャン!」と鳴き、その場に倒れていたそうです。三女は慌てて朝陽くんを抱き上げたところ、ひかれた痛みでパニックになった朝陽くんが指にかみつきました。ひどく血が出て、それでも抱いてエントランスにいるおじいちゃんの元へ。おじいちゃんはともこさんに連絡。駆け付けたともこさんはマンションの自宅にいる夫を急いで呼びました。警察へ連絡後、夫は朝陽くんをクレートに入れて病院に急行。すぐに到着した警察は現場検証を行うとともに、三女に事情を聴きました。三女は泣きながらも一生懸命事故が起きた時のことを答えたそうです。そして1時間後、戻ってきた夫から朝陽くんが死んだことを知らされました。

■娘は無事、愛犬は内臓損傷で命を落とす 

朝陽くんの突然の死に直面し、大きなショックを受けたというともこさん。事故当時のことをともこさんはこう振り返ります。

「娘は車には直接当たらず、転ぶこともありませんでした。朝陽は尻尾が骨折、胃が下に下がり、肺はほかの内臓に圧迫されてつぶれていたそうです。もしひかれた瞬間に病院に連れていったとしても、命を救うことは難しかったと…。

また朝陽は犬なので法律上モノとして扱われます。”モノ”を壊しても、故意でなければ器物破損にさえならないそうです。でも事故にあったその日に来てくださった交通事故課の方は『物損事故になる』とおっしゃっていました。娘が負ったのは、朝陽にかまれた傷と抱っこしてる間に引っかかれた頬の傷だけ。きっと痛くて苦しくてもがいていて引っかいたのだと思います…」

また事故の目撃証言は「銀色の車。大きくなかった」という三女の言葉だけ。このほか手掛かりになるものは、警察が入手した近くの防犯カメラに事故後の様子を映し出す映像でした。事故を起こしたと見られる乗用車が交差点を通り過ぎた後、左側に寄せてゆっくり走り去るのを確認できたそうですが…事故から1週間過ぎた8月8日、警察から突然の捜査打ち切りの連絡が入ったのです。

■事故から1週間過ぎ、捜査が難航していたが…飼い主、防犯カメラ映像を入手「犯人の車はトヨタのヤリスか」

「私は事故の3日後、乳がんによる右乳房全摘手術のため入院。8月7日に退院しました。その翌日に警察から連絡を受けて、特に情報も寄せられないため1カ月ほどで捜査を打ち切るとのことでした。とにかく自分たちで何か手掛かりはないか捜そうと、私は事故現場近くのマンションのごみ置き場に設置されている防犯カメラの映像を見せてもらえるよう管理会社に電話して頼んだんです。入手した映像を近所に住む知人に送れる限り送り、何か知ってることあれば教えてほしいとお願いしました。

すると『トヨタの営業さんが”絶対トヨタのヤリスだ”って言ってるよ』と分かって。さらにSNSにアップするとたくさんの方からやはり『ヤリスだ』と教えていただきました。カラーはシルバーかと思われましたが『アバンギャルドブロンズメタリック4V8では?』との声をいただき、今はカラーを2色に絞って探しています」

こうしてSNSなどで拡散されたことで、テレビ局などメディアに取り上げられることになり、大きな反響がありました。さらにSNSで「愛知県警にちゃんと捜査してほしいと訴えるように」などとアドバイスを受け、ともこさんは情報が寄せられるたびに警察に連絡するようになったとのこと。それに呼応するように警察もともこさんたちが入手した防犯カメラの映像を確認しに出向き「今県警からも人数を増やして捜査にあたっています」と言われたそうです。

「SNSで拡散していただき、テレビで放送してもらえたことでさらにSNSで拡散されて。退院翌日にかかってきた電話では、警察は捜査する気全くゼロといった感じでしたが、捜査にあたってくれるとのことで本当に良かったです。これはもう、SNSで皆さまが拡散してくださったおかげに他ならないと思っております」

■事故現場には愛犬の死を悼み、花を手向ける人やドッグフードを供える人の姿も…

事故現場は、少し大きめの交差点と国道302号を結ぶ道路。片側一車線で車通りが多く、とくに朝や夕方は交通量が多いとのこと。近くには小学校、幼稚園、保育園があり、朝から夕方まで小さい子どもたちが押しボタン式の横断歩道を渡るそうです。まっすぐな坂道でこれまでも信号無視の車が多く、危ない思いをした人が多いとか。この道を渡る時、ともこさんも子どもたちに車に気を付けるよう注意を呼び掛けてきましたが、今回朝陽くんが信号無視をした乗用車の犠牲に…。

一緒に横断歩道に渡った三女について「娘は今も事故が起きたことを理解できていません。青信号で横断歩道を手を上げて渡り、どうして車にひかれたのか、どうして朝陽は死んでしまったのか…ただ横断歩道が恐ろしくなり、1人では渡れなくなりました。信号無視して朝陽をひき殺して逃げた車が憎いと言っています」と、ともこさん。そして朝陽くんの死を悼み、事故現場付近に花を手向ける人や犬用フードを供える人たちが絶えないといいます。

「皆さんのお供えやお花。朝陽に代わって、お礼申し上げます。お花以外いただいたものはお供えしたのち、寄付させていただきたいと思います。朝陽は抱っこが大好きな子でした。手のかかる子だけど、とても愛しい子。朝陽は姿が見えなくなったけど、私たちの足元をピョンピョン跳んでる気がします。これからもずっと一緒だって自分に言い聞かせていますが『朝陽』って呼んじゃうと涙がボロボロ出てきて止まらなくなります。ものすごく寂しいです」

朝陽くんの事故について目撃した方、乗用車に見覚えがある方など情報を求めています。

愛知県警緑署交通課・電話「052-621-0110」まで。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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