多頭飼育崩壊から保護 2頭の犬の行き場がない→救いの手を差し伸べたのは、大学の研究室
2023年、岡山県動物愛護センターに収容された体の大きな2頭のワンコがいました。プロット・ハウンドというアメリカでは「猟犬」として人気が高い犬種です。たくましい外見ですが、従順で賢く特に飼い主につかえることを好むと言われています。
日本では希少犬とされていますが、この2頭はどうも多頭飼育崩壊の現場から保護され、岡山県動物愛護センターに収容されたようでした。
■訓練がないままでは家庭で飼うのは難しい
この2頭の名はライアンとターク。プロット・ハウンドの特徴の通り、2頭とも賢そうな表情です。
プロット・ハウンドはもともとの血筋が「猟犬」であるため、獲物を見つけると猪突猛進に突き進んでしまうことが考えられます。そのため、人馴れトレーニングなどの適切な訓練をしないまま、一般家庭での引き取るのは難しいワンコでもあり、結果的にライアンとタークはしばらくの間、岡山県動物愛護センターで行き場を失い、不安な日々を過ごしていました。
■日大の先生と学生が引き取ることに
しかし、ある日のこと。岡山県動物愛護センターと協働を行う保護団体、認定NPO法人しあわせの種たち(以下、しあわせの種たち)のもとに、「行き場を失ったプロット・ハウンドの保護犬を迎え入れたい」という連絡が入りました。
連絡してきたのは日本大学生物資源科学部(伴侶動物学研究室)の福澤めぐみ先生。福澤先生の学科では「動物を知れば『ヒト』という動物も豊かになる!」として、動物生命科学、動物生産科学、動物環境科学の観点から研究を重ね、教科書にはなかなか載らない動物の「謎」と「不思議」について学生たちに学びの機会を提供しているそうです。
福澤先生は以前にもプロット・ミックスの保護犬を引き取り、大学で家庭犬になれるような訓練をした後、別の心ある里親さんへ譲渡。福澤先生のもとで訓練したワンコは、今も家庭犬として幸せに暮らしているそうです。
ただし、今回の連絡で福澤先生はタークとライアンのどちらかの引き取りを希望しているようでした。しかし、引き上げる前の面会の際、福澤先生は2頭を受け入れました。岡山県動物愛護センターの職員としあわせの種たちのスタッフは、2頭を一緒に受け入れてくれた福澤先生と学生のみなさんにお礼の気持ちを伝えました。
■研究を兼ねた訓練を重ね、後には里親さんへの譲渡を目指す
タークとライアンは、これから福澤先生の指導のもと、学生のみなさんとトレーニングをがんばりながら、引き続き里親募集をする予定です。
かつて大学での研究も兼ねて訓練をし、後に幸せをつかんだプロット・ミックスの保護犬のように、タークとライアンもこれから多くの学生のみなさんと接しながら、やがていつの日か幸せな日を迎えることでしょう。
認定NPO法人しあわせの種たち
https://shiawasenotanetachi.amebaownd.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)