エアコン「3時間後に切れるタイマー」で就寝→明け方には熱中症「警戒」レベルに…「朝までつけっぱなし」を推奨【ダイキンが実験】
ダイキン工業株式会社(大阪市北区)は、全国の20~59歳の男女524人を対象に「夏の睡眠時のエアコン使用」に関する意識調査を実施しました。「睡眠時のエアコンを使用している」と答えた人のうち、おおよそ半数以上が「朝までつけっぱなし」と答えた一方で、4割弱が「タイマーを使用し睡眠中に切れるようにしている」と回答していました。なお、アンケートにあわせて同社が公表した比較実験によると、就寝時に「3時間後に切れるタイマー」を設定すると、明け方には室内の「暑さ指数(WBGT)」が熱中症への警戒が必要とされるレベルにまで高まるそうです。
調査は、2023年7月にインターネットで実施されました。
まず、「夏の睡眠時のエアコン使用頻度」を尋ねたところ、85.3%が「週1日以上使用」と回答。そのうちの61.3%が「毎日使用」と答えています。
また、睡眠時のエアコンの使用に関して、44.5%の人が「不満や困りごとがある」と回答。「不満や困りごとがある」と答えた233人に対して、具体的な「不満や困りごと」を複数回答で教えてもらったところ、「身体が冷えたり、だるくなったりする」(52.8%)、「自分に適した設定温度が分からない」(39.1%)、「タイマーが切れた後に暑くて起きてしまう」「エアコンをつけたままにすると寒くて目が覚めてしまう」(いずれも33.0%)などが上位に挙げられました。
なお、「睡眠時のエアコンの使い方」について、「睡眠時のエアコンを使用している」と答えた447人に聞いたところ、55.5%の人が「朝までつけっぱなし」と答えた一方で、36.5%の人は「タイマーを使用し睡眠中に切れるようにしている」と答えています。
同社は、「エアコンが切れると室温は上昇します。そのため、寝苦しさを感じるだけでなく、特に気温が高い日には熱中症リスクが高まることも考えられます」とコメントしています。
◇ ◇
睡眠時のエアコン使用者のうち、4割近くが切タイマーを使用していることを受けて同社は、マンションの寝室に設置されたルームエアコンを用いて、睡眠時にエアコンを「つけっぱなし」にした場合と「3時間の切タイマー」を設定した場合の「室温」と「暑さ指数(WBGT)」の変化を計測する比較実験の結果を公表しています。
検証は7月28日、日中の最高気温が34.4℃、夜は26.5℃までしか下がらない熱帯夜の日に、横浜市にある鉄筋コンクリート造りのマンション(築17年)で実施されました。
エアコンを28℃に設定し、「3時間後に切れるタイマー」を設定して午後11時に就寝した結果、エアコンが切れた午前2時から時間の経過とともに暑さ指数は上昇し、朝7時には気温30℃弱、WBGT値(※)は熱中症への警戒が必要とされる25ほどになりました。なお、外気温や住環境によっては、WBGT値がさらに高まることも考えられるといいます。
一方、エアコンを「つけっぱなし」にすると、朝まで室温は27℃前後で推移し、WBGT値もほぼ23以下となりました。
熱中症に詳しい帝京大学医学部附属病院の高度救命救急センター長・三宅康史先生は、「本格的な猛暑が到来する8月以降は、日中の暑さだけでなく、熱帯夜にも注意する必要がある」として、熱帯夜の睡眠時にはエアコンを切らずにつけっぱなしで使うことを推奨しています。
(※)単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、気温との混同を避けるため、暑さ指数(WBGT)について単位の摂氏度(℃)を省略して記載しています。
また、暑い環境で過ごした際の熱ストレスが原因で、熱中症の症状が時間差で現れる「時間差熱中症」にも注意が必要といいます。本調査によると、71.8%の人が「時間差熱中症を知らない」と回答しました。
夜間の熱中症について三宅先生は、「夜間に発症する時間差熱中症は、自宅で緊張がほぐれる夜に日中の熱ストレスが原因で発症するものです。日中、暑い環境で過ごした時は、夜間も熱ストレスをケアするためにエアコンを使って涼しい環境の中で過ごすよう心がけましょう」と述べています。