家事の“やる気スイッチ”になれば…主婦が考案したエプロンの魅力は 「他にないデザイン」「親子で色違いを買った」と人気上昇
「家事は面倒くさいこともあるじゃないですか。そんなときの“やる気スイッチ”になればなって」。繊維産業が盛んな岡山県倉敷市児島地区出身の勝田亜純さん(47)=東京=は、そんな思いを込めたエプロンを手がけている。「洋服のように選べる」をコンセプトにした上品で華やかなデザインが特徴。子育てや家事で忙しい女性らの心を射抜いている。
エプロンの多くは直線的なシルエットで、綿やタオルなどの資材用生地が使われているという。勝田さんが2011年11月に創設したブランド「GIVERNY(ジヴェルニー)」は体のラインに合った洋服の型紙と生地を採用。ホルターネック(首ひもタイプ)やかっぽう着スタイルなどにギャザー、リボン、スリットといったワンポイントを取り入れている。王道の肩ひもタイプはしわになりにくいリネン生地を用い、ラメ入りのひもでスタイリッシュに仕上げた。
■生地とひもの色はオーダーも
22年2月には生地とひもの色を選べるオーダー品をラインアップに加えた。購入者からは「他にないデザイン」「親子で色違いを買って一緒にキッチンに立つのが楽しくなった」といった声が寄せられ、贈り物としても注目されている。
勝田さんはアパレル会社や父が創業した衣料用生地企画販売のナッシュ(倉敷市)に勤めた経験があり、結婚、出産を機に東京に移り住んで専業主婦に。子育ては楽しい一方、映えない自身のエプロン姿にがっかりすることがあった。「もっとおしゃれに着られたら気分が上がる」と試作すると家族や友人から好評で、オンラインと百貨店などでの即売会で販売を始めた。
客の要望をヒントにデザインや生地を考える。物作りが得意な両親で、子どもの頃からミシンやたくさんの生地に囲まれていたといい「今思うと大きな影響を受けているのかも」と笑顔。「ブランドの認知度は高まっている。コロナ禍で増えたおうち時間をより豊かにするアイテムの一つになればうれしい」と話す。
■ブランド名は印象派に由来
2011年3月の東日本大震災で東京から岡山に一時避難した勝田さん。大災害に「世の中が変わってしまう」と起業を諦めかけていた時、岡山県立美術館で開催していた「モネとジヴェルニーの画家たち」展の美しい作品を鑑賞。落ち込んでいた心がだんだん晴れ「こんなふうに誰かを元気づけられるエプロンを作りたい」と気持ちを新たにした。モネら印象派が暮らしたフランスの町の名を選び、彼らが表現した中間色はブランドイメージにマッチするという。
(まいどなニュース/山陽新聞)