ごはんを食べにやってくる母猫が育児放棄…1匹保護したら1匹は逃走 ようやく家で再会「兄弟だったことを忘れているかな?」
■母猫の育児放棄
タロウくんとジロウくん(1歳3ヶ月・オス)は兄弟。2022年8月、大阪府在住の青木さんが新居に引っ越して間もない頃、母猫が子猫たちを連れて隣家にごはんを食べに来るようになった。
「お隣さんも多頭飼いされていて猫好きだったのですぐに意気投合。交代でごはんをあげるようになりました。ところが、それから母猫が育児放棄するようになり、お隣さん宅のごはんは母猫が食べ、子猫に威嚇するようになりました。子猫たちはごはんを求めて我が家に来るようになりました」
こうしてタロウくんとジロウくんは住宅街の地域猫になったが、それを快く思わない人もいた。
「糞尿の匂いもしますし、このままだと保健所に連れていかれるのも時間の問題だと思い、居場所を作ってあげようと思いました。夫も『私たちにできる範囲でなら』と賛成してくれました」
■弟たちの面倒を見ていた兄猫
母猫に育児放棄されてから、タロウくんがいつも率先してジロウくんとサビ猫を連れて来た。そんなある日、玄関先でごはんを食べていると思ったら、タロウくんが家の中の階段をかけ上がって2階に行った。
「とっさに今しかない!と思い、玄関のドアを閉めてタロウを保護。その後、ジロウとサビ猫は警戒したのかごはんを食べに来ることはなくなりました。2022年10月26日のことでした」
半年あまり過ぎた頃、2023年7月6日にジロウくんが再び現れるようになった。
「ゆっくり焦らす慣れてもらい、触れるようになってから、ごはんを食べに来た日にキャリーに入れて保護しました」
■再会した兄弟
タロウくんは捕獲してから3日くらい大声でケージの中で叫び、ごはんも食べてくれなかった。
「気にかけてくれたお隣さんが顔を見に来てくれた際に、安心したのかやっとちゅーるを食べてくれました。ジロウは人馴れしてから保護したせいかとても大人しく、何年も前からこの家にいましたとでも言うようなくつろぎようで驚きです(笑)初日から抱っこさせてくれました」
オシャレな横文字の名前がどうしても苦手だという青木さん。オス猫を飼うのはタロウくんが初めてだったので、おとぎ話に出てくる名前にしようと思ったそうだ。「浦島太郎や金太郎、桃太郎 」のような強い子にと言う気持ちを込めて、タロウくんと名付けた。ジロウくんは、タロウくんの名前にちなんでいる。ジロウくんは地域猫の時から近所の人たちから、「ジロウくん」と呼ばれていた。
タロウくんは先住猫のアンコちゃんが大好き。近づいて怒られてもめげない、好奇心旺盛な子だという。
「いつも率先して近づきます。今はジロウもアンコのことが気になって仕方ないようです」
ジロウくんはとにかくお利口で温厚な猫。
「人懐っこくて大人しい子です。もう少し自己主張してくれるようになるのを楽しみに待っています」
青木さんは、タロウくんとジロウくんは久しぶりに再会する時、「兄弟だったことを忘れているかな?」と思った。覚えているかどうか分からないが、お互い意識し合って、少しずつタロウくんが歩み寄っている。ジロウくんも分かっているのか大人しく受け入れているという。
「先住のアンコとキナコ、タロウとジロウ、兄弟姉妹みんな仲良く過ごしてほしいです。今まで3匹の地域猫を迎えて見送りましたが、今の私があるのは猫たちのおかげです」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)