JR日豊本線・国分駅から車で約５分のところにある鹿児島県霧島市の「国分温泉」。ぬるぬるした美肌効果のある泉質（弱アルカリ性単純温泉）で、知る人ぞ知る地元の名湯として知られている。この温泉のアイドルとして親しまれているのが、経営者の馬場俊雄さん（７２）、みよさん（６８）夫婦の飼い猫・ハチワレの「幸（こう）ちゃん」（メス、６歳）だ。最近では幸ちゃんに会うために遠方からやってくるお客さんもいて、招き猫ぶりを発揮している。みよさんに話を聞いた。

みよさん　ここに猫が現れるようになったのは今から６年以上前。野良のハチワレがいて「ごまちゃん」と呼んで餌をあげて可愛がっていたら、ここに居着くようになり、ごまちゃんから産まれたのが幸ちゃんです。

幸ちゃんは人なつっこくて甘えんぼう。餌やおやつを持ってきてくれるお客さんをよく覚えていて、そういう人がやって来るとすぐに駆け寄っていきます。温泉からあがって一息ついているお客さんの足元にいってスリスリしたり、膝の上に乗っかったり（笑）お客さんらも「温泉と猫って最高の組み合わせだね」「ダブルで癒される」と喜んでくれています。

おそらく、幸ちゃんが人間を好きなのは、お客さんたちがみんな優しく接してくれるからなんでしょう。常連さんの間では「幸ちゃんをなでたらいいことがあった」「新しい仕事が入った」という方々もいました。名前のとおり「幸」を運んでくるんですよね。それで私も、若いカップルが来られたら「幸ちゃんをなでると幸せな家庭が築けますよ」などとよく言っています（笑）。

前に地元のテレビ番組で紹介されたことがあり、先日のお盆前なんか、宮崎から娘さんとお母さんが２人で「猫ちゃんに会うために来ました。いますか？」って。最近はそんなお客さんも増えていて、幸ちゃんがたくさんのお客さんを招いてくれています。

温泉は約５０年前から私たち夫婦２人で営んできました。最近は老朽化がすすみ、メンテナンスの際、機械の部品がなかなか手に入らなかったり、燃料費が高騰したりと大変なことが多く、いつまで続けていけるかはわかりません。でも、お客さんから「とてもいいお湯だった」「幸ちゃんに元気をもらった」などという声を聞くと、私自身、とても幸せな気持ちになり、これからも頑張れるかぎり続けていこうと思えるんです。

【施設名】国分温泉

【住所】鹿児島県霧島市国分新町1-32-53

（まいどなニュース特約・西松 宏）