半野犬から生まれた北の大地の子犬たち 「お座り」「待て」「よし」もわかるように 水の音は苦手だけど毎日頑張ってるよ

北海道紋別郡にある滝上町。周囲を山脈に囲まれた風光明媚な土地ですが、ここでは長きに渡ってある問題に悩まされていました。それは、半野犬が長年繁殖を続けているというもの。山の中に捨てられた犬が無責任な人によって餌付けされ、半野犬と化し繁殖を繰り返しているというもの。

無責任な人間のせいで起きたことですが、こういった問題解決に尽力しているのが、北海道を拠点に動物の保護活動を行う、認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。しっぽの会ではこれまでに、ここ滝上町エリアで、成犬20頭と子犬49頭ものワンコを保護し、譲渡に向けてのサポートに取り組んできています。

■8頭の子犬たち

滝上町エリアの半野犬たちはとても臆病で警戒心が強く、しっぽの会でも全頭の保護には至っていません。この保護できていない中には、不妊手術ができずにいるワンコが数頭いて、しっぽの会のスタッフも心配していましたが、そんな矢先に子犬が生まれたことが判明。8頭の子犬たちでした。母犬には申し訳ないけど、今後のことを考えしっぽの会ではこの8頭の子犬たちを全頭保護することにしました。

■人間や見慣れないものがちょっと苦手

このうち、特に控えめでマイペースなのがシェカです。その凛々しいルックスと合わせてみると少々クールにも映るワンコですが、しかし、ケージから出す際ときに「抱っこ」と言うと、一生懸命立ち上がって肩に手をかけてくるなどかわいい一面を見せてくれることもあります。

ただし、多くの元野犬のワンコがそうであるように、シェカも他のワンコとは協調性を保てる一方、人間や見慣れないものはちょっと苦手。慣れた人とは上手に歩くことができますが、車や知らない人がいると、パニックを起こすことがあります。

また、シェカにはもうひとつ苦手なこともあります。それは水の音。シャンプーのときは暴れずにおとなしくできるシェカですが、水の音に過度に怯えてしまうこともありました。

■「お座り」「待て」「よし」もわかるようになってきた

これまで多くのワンコたちの命を救い幸せへと導いてきたしっぽの会は、シェカのようなワンコごとに違う得意・不得意を前に、細心の配慮をもってサポートを続けています。このサポート、そしてスタッフの愛情によって、シェカは日進月歩で成長中。スタッフはこんなふうに話してくれました。

「シェカはとても賢いワンコです。『お座り』もしっかりできるようになりました。また、『待て』の練習も順調で『よし』の指示を出すまで辛抱強く待てるようになってきています。滝上町出身のワンコは、臆病で警戒心が強い傾向がありますが、その分賢い子も多いんです。それは、生き抜くために受け継がれたDNAかもしれませんし、だからこそ警戒心が強いのかもしれません」

まだ生後1年にも満たないシェカをはじめとする8頭の子犬たち。「犬同士だけで過ごすよりも、里親さんとの生活も、楽しくて幸せなものだ」と分かってくれる日が、1日も早く訪れるよう願うばかりです。

認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会

https://shippo.or.jp/#gsc.tab=0

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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