勤務中に患者に胸触られ「心がしんでいく…」 看護師がセクハラ被害をイラストに 病院にあふれる性加害
心がしんでいく-。そんな言葉を添えたイラストが、X(旧ツイッター)上で物議を醸している。女性看護師が男性患者の血圧測定をしている絵で、患者の左手が看護師の胸に触れる場面が描かれている。患者は「ああごめん、あたっちゃったね」と一言。看護師は上司にセクハラ被害を相談したが、所属長に「主治医と私で注意しておいたからもう大丈夫!安心してね」となだめられたという。実はこれ、作者の実体験。「(患者からのセクハラ被害は)あまりにもよくあることで…」と悲痛な思いを打ち明ける。
■被害に遭った次の日も出勤
看護師は、アカウント名ソファちゃん(@sui_gb20)。数カ所の病院に勤めた経験があり、2021年から病院での日常を絵にしている。セクハラ被害のイラストは、血圧計のマンシェットを外そうとした際、患者の手が突如伸びてきた場面という。「触られないように気を付けていますが、ナースコールに気を取られたり、次の患者の対応や段取りで頭がいっぱいになったりすることもあるので、隙があるのは否めません」と話す。
病院内の性加害はよくあるという。「移乗時に胸に顔をうずめる、お尻をつまむ、胸に触る、『大きいお尻だな』と執拗に声を掛けてくる…などがあります。男性看護師の場合、下半身を触られることもあるようです」。病院としての予防対策はない。上司は口頭注意するだけで、「『今回は許してあげて』と同義ですよね。注意して入院を継続させることは何の解決もなっていません。被害に遭った次の日も、加害者のいる病棟に出勤する」とやりきれなさを語る。
■理不尽なことものみこんでいる看護師もいるんだ
X上では「警察に通報できないの?」との声もあった。しかし、分刻みでケアなどやるべきことがあり、自分の被害に関わっている場合ではないという。
セクハラ被害に悩みながら患者をケアする看護師は少なくないといいます。「患者さんが元気になって退院したり、できなかったことができるようになったりする瞬間など、人生の大切な場面に立ち合えるのは、やりがいです。日々懸命にケアを頑張りながら、理不尽なことものみこんでいる看護師もいるんだ、と知ってもらえれば」
(まいどなニュース・山脇 未菜美)