イケメンすぎる新聞配達員 元メンズノンノモデル、故郷沖縄で新聞配達、集金も 転身の理由を本人に聞いた
沖縄の地元紙「琉球新報」の新聞配達員がイケメンすぎると話題です。琉球新報の配達スタッフ募集のページには、新聞配達のバイクに腰かけ、ポーズを決める男性の写真が載っています。
男性は端正な顔立ちに加え、脚がすらりと長く、スーツをモデルのように着こなしています。新聞配達はジャージなど動きやすい格好で配るはず。なぜスーツ姿でカッコつけているのでしょう。琉球新報を通じ、写真の男性に取材しました。
■販売店を継いだら?と打診され
写真の男性は、琉球新報の東風平(こちんだ)二販売店(沖縄県八重瀬町)の店主、金城竜志(きんじょう・たつし)さん(38)。金城さんは沖縄の高校を卒業後、1メートル80センチの長身とスタイルを生かし、女優の比嘉愛未さん(37)も所属した沖縄のモデル事務所を経て、比嘉愛未さんと前後して上京しました。「愛未は1歳年下だったけどお姉さん肌で、仕事にも真面目に取り組んでいました」と振り返ります。金城さんはその後、メンズノンノ、メンズジョーカー、スマート、ファインボーイズなど主だった男性ファッション誌を飾り、広告でも活躍しました。33歳で古里沖縄に戻り、新聞販売店主になったといいます。新聞配達や集金、広告のチラシを新聞に折り込む作業を従業員とともに行っています。
ーーなぜモデルから新聞販売店に?
「もともと母親が琉球新報の新聞販売店を営んでいて、東風平(こちんだ)二販売店の店主が高齢のため引退することになり、母から『竜志が(東風平二販売店を)継いだらどう?』と打診がありました」
既に東京生活が始まって13年。港区青山で美容師をしていた妻と結婚し、都心で子育てをしながらモデルや俳優業に取り組んでいました。
ーー華やかなモデルの世界から、新聞販売店への転身に迷いはなかったのでしょうか?
「別になかったですよ。モデルは一見華やかに見えますが、食事の節制やオーディションの資料作りは結構泥くさく、地味なんです」
ーー青山で美容師をしていた奥さんは帰郷に反対しなかったんですか?
「むしろ妻は沖縄が好きだったので、『沖縄で子育てがしたい』と賛成してくれました。モデルの仕事も減ってきていましたし、俳優に挑戦してみたんですが、全然向いてませんでした(笑)。モデルは自分の個性をカメラの前で出す仕事ですけど、俳優は別人になりきる仕事なので。潮時かな、と」
沖縄に帰り、2019年から東風平(こちんだ)二販売店など琉球新報の六つの新聞販売店の店主を掛け持ちしています。
ーー住む場所も仕事も変わって、大変だったのでは。
「とにかく仕事を覚えるのに必死で、あまり覚えていません(笑)。東京の時は世田谷区や渋谷区に住んでいて、今住んでいる近辺では午後8時ごろに車も走らなくなる。少し寂しく感じることもありましたけど、子どもが楽しそうにしていて、家族の生活が安定したので良かったです。家族のため、子育てのために沖縄に帰ってきたので」
「車で30分以内のところに透明度の高いビーチがいくつもあって、子どもたちとよく行きます。沖縄県営平和祈念公園もすごく広くて、東京だとお金が取られそうな大きな遊具で遊ばせることができますよ」
ーー新聞販売店主のやりがいは。
「購読者の方に『いつもありがとうね』と言ってもらえるとうれしいですね。こっちに帰ってきて、新聞を読むようになりました。地元の話題や経済ニュースなどを読んで、『こうなってるんだー』と思っています。新聞にはネットに載らない細かなお知らせ、ニュースも載ってますしね」
ーーなぜ琉球新報の配達スタッフ募集ページに、金城さんのキメポーズの写真が載ったのでしょう。
「僕はもっとカジュアルな格好でいこうと思ってたんですけど、琉球新報販売局の担当の方から『モデル風に撮りたい』と言われて・・。でも、新聞配達員募集の広告で、ファッション誌風に撮っても仕方ないじゃないですか。長くモデルをやっていたので、撮影に必要なレフ板とかヘアメイクさんら専門の撮影スタッフがいないのも分かっていたので、『カッコつける必要ある?』『スーツはやめたほうが…』と言ったんですけど、ご要望通りスーツに着替えてこうなりました(笑)」
ーーカッコつけた写真が話題になりました。
「この取材や記事がきっかけで、若い方が配達員に応募してくれたらうれしいですね」
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琉球新報では金城さんをモデルにしたページで、「朝刊を一緒に配達しませんか?」「初心者大歓迎!慣れるまで優しく教えます」「副業、かけもちバイトに」「定年後のお仕事に」「家庭や学校と両立しながら」とさまざまなスタイルで配達スタッフを募集しています。沖縄在住でご興味のある方は応募してみてはいかがでしょうか。
(まいどなニュース・伊藤 大介)