安く早くヨーロッパへ…「台湾経由」という選択肢はいかが? 7月から運航開始・チャイナエアライン「台北~プラハ便」の実力は
2023年になり、ようやく海外旅行ができる環境になりました。しかし、燃料サーチャージ代の高騰や円安により、海外旅行に新たな障害が発生しています。そんな中、7月にヨーロッパへ新たなルートが加わりました。それがチャイナエアライン(中華航空)台北~プラハ線です。
■ 驚きの台北~プラハ線直行便の新設
チャイナエアラインは7月18日に台北(台湾桃園国際空港・以下、桃園)~プラハ線を就航しました。この路線は週2便となり、台北(桃園)発が火・土曜、プラハ発が水・日曜日です。機材はエアバスA350-900型機。ダイヤはC167便が台北(桃園)23時20分発、プラハ7時10分着(翌日)、C168便がプラハ11時05分発、台北(桃園)着が5時35分着(翌日)です。
プラハはチェコの首都であり、中央ヨーロッパの主要都市でもあります。チャイナエアラインはプラハの他にヨーロッパはフランクフルト、アムステルダム、ロンドン、ローマ、ウィーンに就航しています。
2023年8月現在、日本とチェコの間には直行便は設定されていません。近隣諸国では韓国からプラハへの直行便が存在しますが、韓国発は午前なので、日本からは利用しづらいです。
一方、チャイナエアラインのプラハ行きは深夜便の設定であり、日本からの利用を強く意識しています。また、台北行きは台北着が早朝のため、日本着は午前からお昼時になります。
料金も魅力のひとつです。たとえば、11月7日発・11月13日着の東京~プラハ間を比較してみます(調査日は9月1日)。フィンランド航空は成田空港発、羽田空港着となり、料金は約17万円です。
チャイナエアラインは成田空港発着ですが、料金は約13万円です。筆者は8月8日発・21日着で約15万円でした。もちろん、購入時期によりフィンランド航空と変わらない料金になることもあります。
■ プラハ行きは台北市内で夕食
実際に筆者は今回の新設便を利用して関西空港から台北(桃園)を経由してプラハまで搭乗しました。搭乗日は往路が8月8日、復路は8月21日です。
関空から台北(桃園)行きは1日3便(13時10分発、14時発、19時05分発)が就航しています。19時05分発でも台北発プラハ行きに乗り換えられます。今回の旅では運賃の関係から14時発に搭乗しました。
14時発の便は機内食として昼食が出ます。ただ、空港内の混雑を考慮して、関空には11時に着きました。空港内で昼食を済ませることも考え、事前にフルーツメニューを注文しました。
現地時間16時頃に台北(桃園)空港第二ターミナルに到着。プラハ行きの搭乗開始まで6時間以上もあったので、台北市内で夕食をとることにしました。MRT空港線を使うと、空港から台北駅まで約40分です。台北駅で降り、台北駅地下街を散策しながら、大衆食堂で台湾料理を楽しみました。
再びMRT空港線で空港に戻りましたが、プラハ行きは第一ターミナルから出発します。日本便が発着する第二ターミナルではないのでご注意ください。
シャワーを浴び、23時前にプラハ行きの搭乗が始まりました。エコノミー席は3列+3列+3列の仕様で、台湾人が大半を占めほぼ満席に。台北で夕食を済ませることを想定し、プラハ行きもフルーツメニューにしました。
復路便はプラハ空港を11時05分に離陸します。空港に到着したのは9時頃。プラハ市内から空港までいろいろな行き方がありますが、筆者は路面電車と高速バス「REGIO JET」を利用しました。
プラハ空港の手荷物検査は関空とは異なり、搭乗口付近で行います。そのため、出国審査を終えると、すぐにお土産向けのショッピングができます。
台北(桃園)行きは昼食、軽食、朝食が出ます。個人的には台北(桃園)発関空行きの便で出たご飯に豚肉を豪快にのせた台湾式弁当が気に入りました。
■ 日本・チェコ直行便は開設されるのか
復路便も満席でしたが、往路便と比較すると観光客姿のチェコ人が目立ちました。その多くが台湾ではなく日本を目指すとのことでした。
チェコ人観光客に聞くと、過去の共産主義時代の記憶からか「共産国の北京経由は避けたい」という声がありました。チェコでの中国経由の忌避と日本への人気の高さから、チェコ発台湾経由の日本行きも一定程度、需要があるように感じました。
台北(桃園)空港に早朝に着き、関空行きの搭乗開始までは2時間ほどありました。早朝ということもあり、乗換え時間が短いのはありがたく、関空には12時頃に到着。想像以上にプラハから関空への旅路はスムーズでした。
ところで、7月28日に日本政府とチェコ政府代表は航空協定に関して実質合意しました。この協定は直行便の開設を視野に入れており、ここから調整を行う予定です。
チェコは首都プラハをはじめに観光資源に恵まれた国です。それだけに、観光客の動向がチャイナエアライン台北~プラハ線の運命を決するように感じました。今後、日本~チェコ直行便の動きにも注目してきたいです。
※記事を一部修正しました(9月2日19時48分)
(まいどなニュース特約・新田 浩之)