退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社」ランキング 外資系1位は「マッキンゼー・アンド・カンパニー」…日系企業の1位は?
就職・転職のための社員クチコミサイト『OpenWork(オープンワーク)』を運営するオープンワーク株式会社(東京都渋谷区)は、このほど「辞めたけど良い会社ランキング(外資日系別)」を発表しました。ランキングによると、退職者が高く評価している外資系企業の1位は「マッキンゼー・アンド・カンパニー」、日系企業の1位は「リクルートマネジメントソリューションズ」でした。
ランキングは、2020年以降、退職者から同サイトに寄せられた投稿30万7458件、投稿が10件以上あった企業4085社を対象として評価が高い順にランキング化したといいます。
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退職者が高く評価している企業を集計した結果、外資系の1位には「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が選ばれました。以下、2位「グーグル」、3位「P&Gジャパン」、4位「ボストン・コンサルティング・グループ」、5位「ペイン・アンド・カンパニー・ジャパン」と続き、上位30社中8社がコンサルティング業界、5社がSler関連、4社が航空業界となりました。
他方、日系企業では、1位「リクルートマネジメントソリューションズ」、2位「特許庁」、3位「リクルート」、4位「ディアーズ・ブレイン」、5位「サントリーホールディングス」という結果になり、半導体、インターネット、冠婚葬祭、食品飲料、証券、官公庁など、多種多様な業界が上位にランクインしているほか、リクルートグループから5社がランクインしているのも特徴となっています。
なお、外資系コンサルティング企業の退職者からは以下のような「退職検討理由」の社員クチコミが寄せられています。
▽他にやりたいことができたために退職をした。ただこの会社で時間を過ごしたことには一切後悔していない(男性/マッキンゼー・アンド・カンパニー)
▽2年半ほど在籍し、当初の目標であった起業をやってみたいという思いが強くなったので。BCG自体には何の不満もなかったし、今でもアルムナイ(卒業生)の集まりなどには顔を出させてもらっている(男性/ボストン・コンサルティング)
▽この先パートナーを目指しコンサルタントを極めるか、かねてからの夢である自分の事業を運営するかの二択を検討し、後者に惹かれたため(男性/ローランド・ベルガー)
また、リクルートグループの退職者による「退職検討理由」の社員クチコミは以下の通りとなっています。
▽これまでの法人営業・営業企画の能力が最大限活かせると思ったため。新しい環境でチャレンジしたいという前向きな転職で、不満があって辞めたわけではない(営業/女性/リクルートマネジメントソリューションズ)
▽30代までにスキルを身につけて起業、転職することが前提の若手中心のベンチャー企業体質。社員も40代以上になると激減し、50代は全体の1%程度。私もそろそろ次のステップに進む時期だと感じて30代半ばで転職をした(営業事務/女性/リクルート)
▽独立のため。そもそも将来独立を視野に入れていた。ここでの経験が独立に生きると考えていた。実際その通りになった(求人広告/男性/リクルート)
同社は、「『いつかは退職をする』というマインドセットとともに入社し、望んだ経験やスキルが得られたことに対して自社を高評価し、『卒業』をする様子がうかがえます」と分析しています。
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外資系/日系企業で退職者が高く評価したTOP30企業を比較すると、「総合評価点」(外資系3.69・日系3.69)、「社員の士気」(外資系3.77・日系3.78)、「20代成長環境」(外資系3.86・日系3.88)でのスコアは両者で差が少ない結果となり、外資系/日系共通で若手のうちから成長ができ、社員に士気が感じられる環境は退職者から評価されやすい傾向がうかがえます。
外資系と日系の違いとしては、「風通しの良さ」(外資系3.76・日系3.69)、「人事評価の適正感」(外資系3.70・日系3.54)、「法令順守意識」(外資系3.91・日系3.86)などで外資系のスコアが高い結果となり、クチコミにも成果主義でフラットな文化を称える声は多く挙げられました。なお、外資系企業の退職者による「退職検討理由」のクチコミは以下の通りです。
▽習得したいスキルを一通り経験できたので、今後のキャリアとして違う業界に挑戦したいと思ったから(アドバイザリー/男性/KPMG FAS)
▽転職したいから。外資に居れば転職をするのが普通。転職を重ねることによりキャリアを作るのが外資でのやりかた(事務/男性/日本マイクロソフト)
▽元々この会社は定年まで居れる会社ではないので、自分の目標の「20年在籍」が達成できた所で、会社の方から希望退職者募集があったので、ちょうどいい機会だと思い転職を決心した(スーパーバイザー/男性/ナイキジャパン)
▽大きなプロジェクトがひと段落ついたタイミングでヘッドハンティングがあり次のステージを考え始めたから。良い会社なのでそれがなければまだ働いていたと思う(アカウントマネージャー/男性/シスコシステムズ)
一方、日系企業については「待遇面の満足度」(外資系3.79・日系4.24)、「社員の相互尊重」(外資系3.64・日系3.81)、「人材の長期育成」(外資系3.06・日系3.37)のスコアが高い結果となりました。リクルートグループを除くと、退職検討理由に「退職・卒業前提」といったワードを挙げる声は少なく、実際に「人材の長期育成」に対する評価スコアは外資と比べ高い結果となっています。これらの結果について同社は、「昨今は『ゆるい職場』というキーワードが注目されていますが、日系企業の退職者が評価する企業はその逆である『ゆるくない職場』であるといえそうです」とコメントしています。
なお、日系企業の退職者による「ゆるくない職場」環境を評価するクチコミは以下の通りです。
▽若手は数年で圧倒的成長ができる教育研修制度があります。勉強は大変でしたが、同期メンバーで協力して乗り切りました。良かった経験でした(審査官/男性/特許庁)
▽社会のインフラを支えている意識があり、その点では非常にやり甲斐がある。また、そう言った意識を持つ社員が揃っており働く環境としては申し分ない(DXC/男性/日鉄エンジニアリング)
▽若手に多くの裁量が任されるので、多くの経験を積むことができ成長が期待できる。ジョブローテーションを厳密に実施している点は人材育成に力を入れている証。上司が部下を育てる意識も非常に強い(営業/男性/商船三井)
▽新卒で入社するにはいい会社だと思います。サラリーマンとして基本的な技能は身につきますし、今後事業会社に転職したとしても、身につけた基本スキル・金融知識は無駄になりません(営業/男性/大和證券グループ本社)
▽若手を育てる文化がある。研修等はかなり充実している。営業であれば、テレアポから社長クラスの方との折衝力を一年目から高めることができる(営業/男性/キーエンス)
▽営業や事業管理の実務から、事業・プロジェクト・組織のマネジメントまで、それも国内外で経験できたことは本当に自分の糧になった。良い上司や先輩にも恵まれた上、優秀な同僚と部下との協働は自分を鍛えてくれた(事業マネジメント/男性/味の素)
▽とても良い会社でした。目標やビジョンも明確ですし、ここで働くためのプライドを意識させるような仕組みもたくさんありました。例えば年収も国内ナンバーワンを目指すに相応しい設計をしています(MR/女性/第一三共)