クセ強めの性格 「あなたに尻尾は振らない!」と言わんばかり 誇り高き柴犬と交わした信頼関係
北海道を拠点に多くの犬猫の保護活動を行う認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。行き場をなくしたワンコや過酷な状況下にいるワンコを引き取り、新しい飼い主へと譲渡する活動を行う団体です。
しっぽの会では、さまざまな状況からワンコの保護を行っていますが、ときには元飼い主の事情で飼育できなくなったワンコの引き取りを行うこともあります。2022年春に迎え入れることになった推定11歳のメスの柴犬、梅もそんな飼育放棄によって行き場を失ったワンコでした。
■当初のツンデレぶりから、心を開くようになった梅
一般に柴犬は「神経質な個体が多い」と言われるます。それもそのはず、柴犬はあらゆる犬種の中でも「最もオオカミに近いDNAを持つ」とされており、もともと猟犬や番犬として活躍していた、野性味あふれる生粋の和犬種だからです。自立心や警戒心が強く、知らない人にはすぐには懐かない傾向があります。
梅はそんな和犬気質強めのワンコでした。しっぽの会に来た当初は「誰がアンタなんかに尻尾を振るもんか!」とスタッフに塩対応。なかなか手強い印象でした。
しかし、距離感を探りながら辛抱強くと向き合うスタッフの思いと愛を感じ取ってくれたのか、次第にしっぽをくるんと巻いて笑顔でお出迎えしてくれるようになりました。当初は触ることも許してくれませんでしたが、しっぽの会に来てから7カ月後にはついに、ついにスタッフに抱っこをさせてくれるようになりました。
■里親さんを数回咬みつき、団体へ出戻りに…
「ピッタリの里親さんが見つければ、譲渡もできるだろう」と判断したスタッフでしたが、ちょうど良き時期に、「梅を迎え入れたい」と名乗り出てくれた里親希望者さんが現れました。
「元飼い主のもとを離れて悲しい思いをしていた梅が、新しい里親さんのもとで、第2の幸せな犬生をつかんでくれるといいな」と思うスタッフでしたが、譲渡から数週間の間に、新しい里親さんを数回咬んだそうです。
それでも里親さんは、梅との関係構築をがんばってくれました。しかし、結果的に「飼育を続けるのは困難」とし、梅はしっぽの会に戻ってくることになりました。
スタッフによれば、最初に保護した際、飼育放棄した元飼い主が「この子は気に要らないことがあると、咬みつくことがある」と説明したそうです。ただし、しっぽの会に来てからは、当初こそツンデレで懐いてくれない様子でしたが、しっかり時間をかけて信頼関係を築けば、むやみに怒るワンコではないように感じていました。
「人間との相性もあるのかもしれない」と考えたスタッフは、戻ってきた梅の里親募集をいったん中止し、経過観察をすることにしました。
■梅が怒る接し方をしなければ、信頼関係を築けるはず
見えてきたのが「梅ならではの接し方」でした。他のワンコとは違う、特有の接し方をしないと梅は確かに怒ります。ただし逆に言えば、梅が怒るような接し方さえしなければ、人間との信頼関係も築くことができ、そして従順な一面も見せてくれるのです。
戻ってきてから約半年になる2023年5月、再び里親募集を始めることになりました。
クセは確かに強めです。でも、そのクセもまた特有のかわいさです。ここまでの経緯を理解した上で、梅の里親希望をされる方は、ぜひしっぽの会にお問い合わせしてみてください。
認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会
https://shippo.or.jp/#gsc.tab=0
(まいどなニュース特約・松田 義人)