ここはクリーニング店?古着店?「いえ、両方です」 クリーニングの専門技術で古着の汚れ、匂いを取り除いてどこよりも美しく!

クリーニング店と古着店が同居する、ちょっと変わった店がある。兵庫県姫路市の「ばんくり」は、店主の宮崎幸二さんが20年前に開業したクリーニング店。2023年7月、同じ店内に古着店「VANKURI」を開いた。なぜクリーニング店が古着販売を始めたのか。

■自店舗で、清潔に生まれ変わらせた古着を販売

「ばんくり」は受け付けから洗い、仕上げまで、一貫して店舗内で行うという、今では少なくなった形のクリーニング店だ。服といえば、昔は手入れしながら長く着ていたものだが、昨今のファストファッションの広がりやアイロン不要の服の登場、また家庭用洗剤の質が上がったことなどを受け、以前からクリーニング店の顧客は減っていたという。

そこへ新型コロナウイルスの影響で、さらに利用者が激減。廃業する店も増えた。現在はコロナ禍以前の水準まで回復してきているそうだが、コロナ禍の運転資金の借入返済が増え、さらに燃料費や人件費の高騰で決して楽観できる状況ではない。

 かねてから「クリーニングだけでは難しい」と危機感を持っていた宮崎さん。ある日、古着好きの友人と一緒に古着店巡りをしていたとき、「自分の専門技術があれば、もっと良い状態で古着を清潔に洗って販売できるのに」と思いつき、古着の販売に向けて動き始めた。今年7月、宮崎さんは「ばんくり」の店内で洗い、清潔に生まれ変わらせた古着の販売を開始。古着店「VANKURI」が誕生した。

BANKURIからVANKURIと「V」にしたのは、新たな気持ちで頑張りたいという宮崎さんの意気込みからだそう。

■積極的に古着を選んで着ることは、個人でできるSDGs活動

「ヴィンテージとまではいかないが、古き良き時代の個性的で懐かしい。年配者の方には懐かしく、若い方には新鮮なファッションを楽しんでいいただきたい」

古着は、米国から仕入れる業者から買い付けている。最初にダメージ具合をチェックし、クリーニングのプロの機材と洗剤で洗い上げ、汚れや匂いを取って美しく仕上げる。

宮崎さんは経験豊かなクリーニング職人だが、一方で「色ハゲや穴が開いているけど、売れるかな?」と、古着販売については勉強中だ。

古着販売に挑戦したのは、古着の再生がSDGsの『つくる責任、つかう責任』に非常にマッチしているからだそう。「持続可能な社会の実現と聞くととても大きなことだけど、積極的に古着を選んで着ることは、個人で気軽に取り組めるSDGs活動です」

衣料品の生産には多くの資源やエネルギーが必要だ。一方で、まだ十分着られる服が簡単に捨てられたりしている。クリーニングに訪れる顧客や古着を求める顧客とも考えを共有できれば、と宮崎さんは語る。

■「洗う」をキーワードに、事業を展開中

大手クリーニング店がユーズドセレクトショップと提携して古着の買い取りサービスを行うなど、最近はクリーニングと古着を組み合わせた取り組みへの動きが見られるが、VANKURIは、一つのクリーニング店で古着の仕入れ、洗濯、販売までを行うスタイルだ。

そんな宮崎さんは色落ちしにくく、風合いを損なわないGパン専用の洗濯洗剤「養父の洗剤」の開発に取り組んでいる。

古着販売に洗剤にと、「洗う」をキーワードにしたさまざまな事業に挑戦中だ。

 営業時間は13時~19時。日曜、祝日も営業。駐車場あり。

(まいどなニュース特約・國松 珠実)

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