亡き夫と守ってきた理髪店、カフェで復活 「おしゃべりしたい」「お茶できる場所ほしい」住民の交流拠点にした妻の思い
今春閉店した京都府宮津市日置の理髪店が店舗を改修し、「日置ふれあいカフェ」として新たにオープンした。新型コロナウイルス禍の影響で希薄になりつつある住民の交流を、亡き夫と半世紀以上守り続けた愛着深い店舗で妻らが復活させる。
理髪店は「バーバー壽(とし)」。1965年に開業し、故石塚壽昭(としあき)さんと妻の逸子さん(76)が切り盛りしてきた。店は日置地区以外の市内からも常連の客が訪れるなど、地域の「社交の場」だった。
しかし、2016年に壽昭さんが胃がんで亡くなり、生前に逸子さんは「店を続けてほしい」との思いを託された。以後、7年間一人で店を続けてきたが、肩を痛めてはさみを持つのもままならなくなり、今年4月に店を閉じた。
閉店後も、逸子さんは「おしゃべりしたい」「お茶ができる場所がほしい」との声を知人から聞いた。また、地元の高齢者サロン「波の音」もコロナ禍による休止を経て昨秋に再開したが、利用者は半減していた。
このため「地域や年代に関係なく、気軽に悩みも相談できる場を」と、サロンを運営するスタッフらと協力し、店を新たな交流拠点にすることにした。
店内(約30平方メートル)には、中央にテーブル二つを合わせて8席を設けた。バリカンやレジなど仕事道具を置いていた窓際の台はカウンターとして使い、壁に収納できる折りたたみ式の洗面台も理髪店の雰囲気を残す。来店者は100円でコーヒーやお菓子を味わいながら談笑できる。
逸子さんは「いろんな人が語り合ったり、笑ったりし合えたらうれしい」と来店を心待ちにする。カフェは毎週水、土曜午後1時~4時に開く。
(まいどなニュース/京都新聞)