数カ月見ぬ間に、“険しい顔つき”になっていた地域猫 「保護してあげたい」…広い家に引っ越して迎えたのは、心を開くのに時間がかかる甘えん坊
こいくちちゃん(2歳・メス)は、2022年6月、1歳くらいの時に福岡県在住のTさんに保護された。
Tさんはこいくちちゃんと2021年10月に出会い、他の猫たちと同じく気にかけていた。しかし、11月に姉妹猫のうすくちちゃんを保護したので、しばらくは公園には行けなかった。数カ月後に会いに行くと、出会った当初とは顔つきが変わり、険しい顔になっていたという。
「その公園には野良猫のTNRをしている人がいて、うすくちもこいくちもTNRしてくださっていたのですが、地域猫といっても、あんな表情になっているとは。それからというものこいくちを保護してあげたいと思うようになり、広い家に引っ越しをし、こいくちをお迎えしました」
■先住猫と仲良しに
2022年6月、Tさんはこいくちちゃんを保護した。スムーズに捕獲できるよう数日前から餌を与えて、当日は、ご飯を食べている時に後ろから二人がかりで洗濯ネットに入れたという。こいくちちゃんは猫風邪を引いていて声がカスカス。ケージの中で過ごしてもらったが、知らない場所に連れてこられた恐怖でケージの隅から動かず怯えていた。
最初に保護したうすくちちゃんに比べると毛色が濃かったので、公園にいた時から「こいくち」と名付けていた。
こいくちちゃんは、保護する時に捕まえられたことで警戒心が強くなってしまった。そのため、Tさんは、最初の1、2カ月はこいくちちゃんに必要以上に構わないようにしたという。
「こいくちが自分から近づいてきた時だけ触るようにするなどあまり干渉しないようにすると、半年くらい経った頃にようやく堂々と甘えてくれるようになりました!」
こいくちちゃんとうすくちちゃんが家で対面した時は、うすくちちゃんがなかなかこいくちちゃんのことを受け入れず、威嚇ばかりしていた。
「こいくちは威嚇されて、ケージに一日中こもっていることが多かったです。一度激しい取っ組み合いのケンカになってしまったこともあります。2カ月くらい経つとうすくちが自らこいくちの近くにいってくつろぎはじめ、8カ月ほど経った頃にようやくピッタリとくっついて寝たりグルーミングをし合うようになりました」
こいくちちゃんは保護してから夜泣きが収まらなかったが、不思議なことに、飼い主さんと寝るようになってからすっかり治まったという。
こいくちちゃんは警戒心が強く心を開いてくれるまで時間がかかるが、本当は甘えん坊。ささみフレークや鰹節が大好きだ。甘えたい時やご飯をおねだりしてくる時は、「ワンっ」と犬みたいな鳴き方をするそうだ。
Tさんは言う。
「2匹を迎えてから家にいる時間がとても楽しく幸せな時間になり、ずっと猫と一緒にいたいと思い、あまり外出しないようになりました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)