無意識に逆走…ルール守れない電動キックボードの利用者たち 相次ぐ事故に注意喚起「車と正面衝突する恐れも」
2023年7月1日、改正道路交通法により「電動キックボード」の規制が緩和された。
免許なく乗れる手軽さで人気の電動キックボードだが、7月の法改正直後、歩道を走行する電動キックボードが5歳児に怪我を負わせる事故が発生。9月3日には、電動キックボードで歩道を走行していた23歳の無職女性が轢き逃げ事故を起こして逮捕された他、9月11日には電動キックボードで飲酒運転をした男性が書類送検されるなど、電動キックボードによる重大な事故や危険運転が相次いでいる。
そんな中、滋賀県大津市にある自動車教習所「ツキノワプロダクション(from 月の輪自動車教習所)」(@tsukinowapro)さんが、教習所内の「道路の右端」を走行する電動キックボードの危険走行のデモンストレーション動画をX(旧:Twitter)に投稿。
「電動キックボードを乗る人にマジで守ってほしいルール」というタイトルが付けられた動画の中で、「自転車でもうっかりやってしまいがちなわけなんですけども」「道路の右端を走ってしまうのは立派な道路交通法違反」「大きいバイクで反対車線を走るようなものですから、絶対にやめていただきたい」と、解説していたツキノワプロダクションさん。
電動キックボードと自動車、双方の安全を守るため絶対にやめるべき電動キックボードの違反走行について、お話を聞いた。
■電動キックボードの右折は「2段階右折」
ーー動画の電動キックボードは、自動車と同じように右折レーンから右折をしようとした結果、「逆走」していますね。本来はどのように右折するのですか?
「電動キックボードで右折する際は、2段階右折が必要になります。自動車や二輪車と同じように、右折レーンに進入しての右折は禁止となっています」
ーー軽車両である「自転車」と同じルールと考えればいいのでしょうか?
「一概に同じルール、という認識は危険かもしれません。令和5年7月1日以降、電動キックボード等のうち、一定の基準を満たすものについては、原動機付自転車の一類型である『特定小型原動機付自転車』と位置づけられ、運転免許不要、ヘルメット着用が努力義務であるという新しい交通ルールのもと、適用されることとなりましたので、自転車と同じルールであるような認識はあると思います。
しかし、運転者は16歳以上という年齢条件や、最高速度20km/h以下(歩道では6km/h以下)、最高速度表示灯や方向指示器の表示などの保安基準の適合、自賠責保険の加入、ナンバープレートの取り付けなど、自転車にはないルールが多くあります」
■逆走する電動キックボードには「減速」や「停止」で対処
ーー「逆走」状態の電動キックボードと遭遇した場合、自動車はどんな対処をすれば…?
「例えば、対向車線を大型トラックが進行しているような場合、逆走する電動キックボードを避けるスペースがない状況になってしまうこともあると思います。そういった場合、正面衝突する恐れがありますので、もし逆走する電動キックボードに遭遇してしまった場合は、そのままの速度で進行せず、減速、または停止をしてタイミングをずらす必要があります」
■「リスクが高い乗り物」であることを忘れずに
ーー安全のため、電動キックボードに乗る方に守って欲しいことは?
「日本における新たな交通手段として、電動キックボードのルールが改正されましたが、道路を安全に利用するためには、必ず守らなければならないルールがあります。そのルールをしっかり守ることで、電動キックボードに対するネガティブなイメージを作らないことが大事です。また、自転車よりもタイヤが小さく、段差等でバランスを崩して転倒するリスクが高い乗り物であることも忘れずに走行してほしいです」
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ツキノワプロダクションさんは、「電動キックボードのうっかり違反」や「電動キックボードが歩道を走行する際のルール」についての動画も投稿している。
電動キックボードで歩道を走行する際は、時速6キロモードに設定し、自転車と同じく歩道の中の車道寄りを走行すること。また、自転車と同様に、歩行者に対してクラクションを鳴らす行為も道路交通法違反になることなど、ルールをしっかり理解することが大切だ。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)