就職氷河期世代に聞いた貯蓄・投資事情…2人に1人が「300万円未満」 貯蓄・投資の目的は「老後の生活資金」「不安だから」

1991年のバブル崩壊後に就職活動を行った「就職氷河期世代」は、希望する就職ができず、様々な課題に直面している人が多数いると言われていますが、貯蓄事情はどうなっているのでしょうか。個人年収が税込500万円未満の全国の38~46歳の働く男女1000人に調査をしたところ、半数超の人が世帯の貯蓄・投資の総額は「300万円未満」と回答しました。また、2割の人が「投資の経験がない」と答えたことが分かったそうです。 

NPO法人日本FP協会(東京都港区)が、「就職氷河期世代に関する意識調査」と題して2023年4月にインターネットで実施した調査です。なお、本調査では「就職氷河期世代」の中心層を1977年~1985年に生まれ、調査時点で38歳~46歳の人としています。

まず、「貯蓄・投資の総額」を聞いたところ、「把握していない」人を除くと、最も多かったのは「50万円未満」(15.8%)で、次いで「貯蓄・投資はしていない」(15.0%)、「100万円~300万円未満」(13.2%)、「300万円~600万円未満」(11.2%)、「50万円~100万円未満」(8.2%)と続き、300万円未満では52.2%と半数を占めました。

次に、「保有資産の種類」を聞いたところ、85.1%の人が「普通預金、通常貯金」を保有しており、現預金志向が高い結果となりました。また、資産運用や投資、ライフプランを学ぶ機会があった人は、学ぶ機会がなかった人に比べて「株式」(全体:14.5%、学ぶ機会有:25.0%、学ぶ機会無:9.5%)、「つみたてNISA」(全体:15.6%、学ぶ機会有:26.9%、学ぶ機会無:10.2%)、「投資信託、ETF」(全体:8.8%、学ぶ機会有:19.1%、学ぶ機会無:3.8%)などを保有している割合が高くなりました。

そこで、投資商品を保有していると回答した443人に、「投資を始めた時期」について聞いたところ、「2~3年前」が20.8%で最多となりました。一方、「投資の経験がない」人が21.4%と2割存在していることも判明しました。

続いて、すべての人に「現在の投資・貯金の行動」について聞いたところ、「節約している」(64.9%)と回答した人が最も多く、「特に行動していない」と答えた人は26.2%となりました。なお、「節約している」、「投資額を増やしている」、「貯蓄を増やしている」、「収入を増やしている」、「投資の勉強をしている」などの積極的な行動は、資産運用や投資、ライフプランを学ぶ機会があった層がなかった層より10pt~20pt上回っており、学ぶ機会の有無が行動を変化させていることがうかがえました。

また、「貯蓄・投資の目的」については、「老後の生活資金」(61.9%)、「病気や不測の災害への備え」(40.5%)、「何となく将来のために」(36.4%)、「何となく不安だから」(28.2%)などに回答が集まりました。

さらに、「リタイア後のセカンドライフについての考え」について聞いたところ、82.9%の人が「リタイア後の生活費が不足するのではないかと不安に思う」(はい:50.1%、どちらかといえばはい:32.8%)や、75.4%の人が「両親など家族や自分自身に介護が必要になったときのお金が心配」(はい:37.3%、どちらかといえばはい:38.1%)といったことを不安視する傾向があることが分かりました。

最後に、「キャリア思考」について聞いたところ、金融の意識・習慣が積極的だった172人のうち、75.0%の人が「資格取得などでスキルを身に着けたい」(はい:29.7%、どちらかといえばはい:45.3%)、48.8%の人が「大学院や専門学校などで専門知識を学び直したい」(はい:18.0%、どちらかといえばはい:30.8%)と回答し、資格取得や大学院等での専門知識の習得への関心が高い結果となりました。

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