大空に映える青と白の機体…「ブルーインパルス」が折鶴に 細部までこだわり抜いた型紙、自衛隊が公開
今までありそうでなかったブルーインパルスの折鶴。ブルーインパルス仕様にカラーリングされた型紙が、自衛隊秋田地方協力本部のホームページで公開されている。しかも尾には1~6番機の番号も再現。
■「自分で折ってみたい」相次ぐ希望を受けて公開
ブルーインパルスが使用するT-4練習機のカラーリングを表現した折鶴の型紙が、今年8月25日にⅩ(旧Twitter)とInstagramに投稿されて話題になった。投稿主は自衛隊愛知地方協力本部の豊川地域事務所で、ブルーインパルスカラーを施した6羽の折鶴、名付けて「ブルーインパルスおりづる」が編隊を組んで鎮座している。
ブルーインパルスは航空自衛隊松島基地に本拠地を置く、曲技飛行を行う部隊だ。自衛隊が行うイベントの他、さまざまな行事にも引っ張りだこの人気を誇る。
投稿されたブルーインパルスおりづるは、頭から首さらに胴体にかけてのブルー、白い翼、翼に描かれた日の丸が美しい。しかも尾には、1~6の番号まで再現されている。
じつはこの折鶴は、自衛隊秋田地方協力本部(以下、秋田地本)が、ホームページで公開している型紙で折られたという。
秋田地本募集課広報班に話を伺った。
「はじめは、今年3月6日に写真を公開しました。この時点では秋田県内のイベント会場で配布することを想定し、ダウンロードコンテンツの発信までは考えていませんでした」
ところが「自分で折ってみたい」という希望が相次いだため、ダウンロードできるよう準備を進め、4月5日から公開したという。
■戦闘機のペーパークラフトをヒントに
今までありそうでなかった、ブルーインパルスおりづる。発案したのは、秋田地本募集課広報班で勤務する非常勤の自衛隊員だそうだ。非常勤隊員は、一般行政事務の補助的業務を行う。
きっかけは今年2月、イベントで展示するために戦闘機のペーパークラフトを組み立てたことだった。
「スティック糊で部品を貼り合わせて組み立てる作業が楽しく、もっと組み立てたいという気持ちが湧いてきました。ところが、市販されているキットは、そのとき組み立てた戦闘機と比べて工程が複雑なため、手先が不器用で気後れしました。そこで、折鶴なら何かできるかもしれないと考えたのです」
ここから、ブルーインパルスを折鶴で再現してみようという発想が生まれた。鶴なら、折れる人は多い。しかし、いざ取り組んでみると配色やバランスが意外に難しく、イラストレーターを使った微調整に手間取った。
「たとえば自動車の模型を例にとると、たんにスケールダウンしただけでは、実物に似るとは限らないのです。さらに別の問題も発生します。厳密に採寸すると、素材の特性上、再現が難しいものが出てきます。しかしファンの視点に立つと、その部分を省略するわけにはいかないディティールだということもあるわけです」
ブルーインパルスおりづるでも、同様の問題が発生したという。
「機体番号を描く部分の面積が小さいから、省略するか否か。小さな折鶴でも成立するような配色にするには、どうしたらいいのか。いろいろな部品や装飾、差し色を試し、模型、資料、試作品を撮影しての印象、手元の折鶴を何度も見比べて検証しました」
紙を折り、定規とペンで修正を書き込み、また開く。そんな作業を10数回も試しながら最適解を求める作業が続いた。
「最後は情緒的な感覚をたよりに、配色の比率を決めました」
■きれいに仕上げるためのポイントは
ダウンロードした型紙をプリンターで印刷したら、あとは折るだけ。きれいに仕上げるためのポイントがあるという。
「ひとつは、プリント設定でインク量を選べるならば少し薄めにする。ふたつめは、紙は厚すぎないもの。スタンダードなコピー用紙で結構です」
この型紙は秋田地本のホームページからダウンロードできるほか、秋田県内で行われる各種イベントで自衛隊の広報ブースを出展する祭に、不定期ではあるが紹介を兼ねて配布することがあるとのこと。
「ぜひ自衛隊ブースにお立ち寄りください」
少子高齢化の影響もあって、自衛官の募集が厳しくなっているという。そのため一般曹候補生と自衛官候補生の採用年齢が、上限33歳未満まで拡大された。
「経験、資格、体力は不問。福利厚生も充実しています。ホームページやSNSを通じて、防衛省・自衛隊の活動について興味と関心をもって頂ければと思います」
ブルーインパルスおりづるには、自衛隊へ興味をもつきっかけのひとつになってほしいとの想いも込められている。
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▽自衛隊秋田地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/akita/index.html
▽ブルーインパルスおりづる型紙ページ
https://www.mod.go.jp/pco/akita/orizuru/orizuru1.html
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)