ビジネスパーソン635人の睡眠事情 休日は7.5時間、仕事のある日は?
かつて、「24時間戦えますか」というキャッチコピーが流行し、睡眠時間を削ってでも働く姿が美徳とされた時代もありましたが、現在ではどのように変化しているのでしょうか。株式会社ワークポート(東京都品川区)が、同社を利用する全国の20~40代のビジネスパーソン男女635人を対象に調査をしたところ、約8割の人が「キャリアアップやスキルアップのために睡眠時間を削って働くべきではない」と回答したそうです。
「今どきのビジネスパーソンの睡眠意識」と題して、2023年8月にインターネットで実施された調査です。
調査によると、78.1%の人が「キャリアアップやスキルアップのために睡眠時間を削ってでも働くべきではない」(まったくそう思わない:36.1%・あまりそう思わない:42.0%)と回答しました。
回答者からは、「睡眠を十分に取ることは体調管理に不可欠だと思う」(40代女性)、「心身の健康が第一だと思う」(30代女性)など、体調管理のために睡眠を重要視する意見が多く挙げられたほか、「ワークライフバランスを保てなければ仕事にも私生活にも悪影響を及ぼす」(20代男性)、「体調を整えてこそ良い仕事ができる」(40代男性)など、仕事の質を上げるためにこそ睡眠時間は確保すべきとする意見も多数寄せられました。
さらに、96.6%の人が「睡眠時間は自身の仕事のパフォーマンスに影響すると思う」(かなりそう思う:79.1%・ややそう思う:17.5%)と答えています。
そこで、「睡眠時間は自身の仕事のパフォーマンスに影響する」と答えた613人に対して、「睡眠不足が理由で、仕事でミスをしたことはありますか」と聞いたところ、51.2%の人が「ある」と回答。具体的には、「入力ミスや確認ミス」(40代女性)、「計数の数え間違い、書類の記入ミス」(20代男性)など、ケアレスミスをしたという意見が目立ちました。
次に、全回答者に対して、「病気や怪我などの明らかな体調不良ではなく、睡眠不足や疲労感を理由に有給休暇を取ることに罪悪感はありますか」と聞いたところ、54.8%の人が「罪悪感は感じない」(まったく感じない:26.1%・あまり感じない:28.7%)と回答。
その一方で、「実際に睡眠不足や疲労感を理由に有給休暇を取ったことがある」と答えた人は35.4%と低い水準に留まる結果となっています。
「有給休暇を取らない理由」としては、「仕事を休むほどの状態ではなかった」(40代男性)、「睡眠不足で有給休暇を使うのはもったいない」(30代男性)など、罪悪感はないものの実際の場面では有給休暇を取る必要はないと判断する人が多いことがわかりました。
また、「有給休暇を取れる職場の環境や雰囲気がなかった」(30代男性)、「申し訳なく思ってしまう」(30代男性)といった意見も多数寄せられており、ビジネスパーソンの睡眠に対する意識が変わってきている一方で、それを実践するにはまだ難しい環境や心理的ハードルが多少なりとも残っている様子がうかがえたほか、「自己管理不足で会社や周囲に迷惑をかけられない」(40代男性)、「休んでいても仕事が気になってしまい、結局働いていた」(20代男性)といった意見も見られ、今も仕事優先の価値観が根付いている実態も明らかになりました。
ちなみに、「普段の睡眠時間」を教えてもらったところ、仕事の日は平均「6.2時間」、休日が平均「7.5時間」でした。さらに、「睡眠時間の満足度」も教えてもらったところ、仕事の日の睡眠時間について、「満足」(46.3%)と答えた人は半数以下となり、睡眠を重要視する意識が広がっているものの、仕事の日には理想の睡眠時間を確保できていない人も少なくないことがうかがえる結果となりました。
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調査を実施した同社は、「働き方を考えるうえで睡眠が重要視される傾向はこの先ますます高まっていくことが予想されます。転職シーンにおいても、休暇の取りやすさや時間的な余裕を求める転職希望者が増えていくかもしれません」と述べています。