「夜になると営業する文房具店!?」昭和な佇まいに惹かれる人続出「日が沈むと時空の軸がずれるのだろうか…」
「西成の場末の商店街で誰もが廃業していると思う文房具屋。
実は夜になるとテーマパークのレトロ商店も真っ青な佇まいで営業しだすんですよ」
こんなコメントともにX(ツイッター)に投稿された2枚の写真に注目が集まりました。古いトタン屋根のアーケードがある商店街の角に佇むお店は、昼間は板で塞がれていますが、夜になると「たばこ」の看板が灯り、軒先におもちゃやティッシュペーパーなどがならべられて営業中に。
「日が沈むと少し時空の軸がずれるのだろうか…」
「今はなきお台場ヴィーナスフォートにこういう趣きの展示があったな…と思ったけど、本物のお店なのか…」
「俺の好きな大阪」
「ミニチュアかと思ったw」
「非常に素晴らしい」
などと、佇まいに惹かれたという声や、現役のお店だということへの驚き、なぜ夜になると営業するのかを想像するコメントが寄せられています。
写真の場所は、日本一高い複合ビル「あべのハルカス」などがある市街地に隣接する「新開筋中央商店街」です。夜の写真は2019年8月の夜9時ごろに撮影したものなのだそう。写真を投稿した「ニュー伊吹(@ibukiinterpress)」さんにお話を聞きました。
■夜の街の遊客目当てに、タバコを販売…で、夜から営業
──文房具以外の商品がメインのように見えますが、なぜ夜から営業するのですか
この辺りはコンビニがないので、タバコが主力じゃないかと思います。開店・閉店の時間はハッキリしませんが、隣接する料亭街の遊客が訪れる日暮れから日付が変わるくらいが開いている時間帯だと思います。
──そういうことなのですね。この写真に限らず、時が止まったような場所の写真をたくさん投稿されています。
昭和のまんまの庶民的すぎる商店街に惹かれます。空き地やコインパーキングがなくて、安心してノスタルジーに浸れるところがいいです。
──こういった写真を撮るようになったきっかけは?
路地裏好きの仲間で「古き良きもの、悪しきもの、解体されて消えゆくものを写真に収めよう」と情報共有されたことがキッカケです。2005年くらいから始めました。写真に残す事がせめてもの手段で、社会に不都合な物や今の時代にそぐわないものは待ったなしの状況です。
──これまでの撮影で、特に印象に残っている場所はどこでしょう?
戦後の混乱期が感じられる神社境内のバラックや、土手に建っていたバラック群などです。
──撮影場所は、どのようにして探されているのですか?
ネットで得る情報は大きいですが、どちらかと言うとそのついでで見た物や、街歩きのなかの予期せぬ発見だったり、余所者ゆえの違和感だったりということが多いように思います。
──撮影で気をつけられていることはありますか?
敬意を込めて必要最小限に止めて撮るという事でしょうか、街並みとはいえ人の生活領域があるという事は意識しています。また、店内や敷地内で撮る場合は撮影の可否を確認しています。最近はSNS歓迎もあればNGもありますね。
──カメラはどんなものを?
最近はiPhoneのみです。すぐに撮影できますし、位置情報や撮影データがしっかり残るので記録としても最適です。
──以前撮った建物が、コインパーキングになっていたという投稿もありました。同じ場所には何度も行かれるのですか?
古い物件は、老朽化や風災害、再開発で消えて行くリスクも多いので、定期的に巡回するようにしています。
※話題になった文房具店に行ってみたいというコメントが多くありましたが、周辺地域の歴史や事情を調べてから訪問することをおすすめします。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)