これが安全な国産コンパクトカー・おすすめ車種5選 オプション次第で変わる安全性能「事故の予防装備に重点をおいて設定を」
普通車のなかでも利用層が幅広いコンパクトカーについて、norico編集部では2023年版「安全なクルマ」としておすすめできる車種5つを選んだ。安全な車選びには「衝突安全性能評価」、「予防安全性能評価」、「事故自動緊急通報装置評価」の3つの指標を総合評価するものもあるが、今回のピックアップでは、事故を予防する観点に重きをおいて評価を行った。なお、コンパクトカーは価格をおさえるために安全装備がオプション設定の場合が多い。おすすめ車種として選んだ各車についても、オプションで気を付けた方がいい点を交えて紹介したい。
■安全なコンパクトカー選びのポイント
クルマ選びで重要視されていた項目は、デザインや価格、燃費などだった。しかし近年、自らが事故の加害者にならないための「予防安全装備」が注目されている。
国も予防安全装備を重要視している。2021年11月以降に発売される新型車には、歩行者検知式自動ブレーキの予防安全装備を義務化した。とはいえ事故の加害者にならないようにする、事故を未然に防ぐためには自動ブレーキだけでは足りない。今回は、特にお勧めできる安全なコンパクトカーをピックアップした。価格や標準装備の内容を見て、総合的に判断している。
■オプション設定次第で安全性能が大きく変化するコンパクトカー
2021年の自動ブレーキ義務化後に登場したモデルが増え、高性能な予防安全装備を用意したモデルが多くなってきている。
中でも、一部のトヨタ車が完全に頭ひとつリードしている。例えば運転支援機能では、交差点内右左折時の対向歩行者の検知機能や、歩行者や自転車を発見し、距離が近い場合に距離を取るようにアシストしてくれる機能を有する。
しっかりチェックしたいのが、その他の安全装備だ。コンパクトカーの購入層は価格を重視する人が多いため、価格を安く見せる工夫がなされている。
例えば、以下のような一部の予防安全装備がオプション設定になっているケースがある。
・後側方車両接近警報(車線変更時に接近車両の有無を検知し警報を発する)
・後退時車両接近警報(バックで出庫時など後退から接近する車両を検知し警報を発する)
また、上級グレードでは標準装備だが、エントリーグレードではオプションでも装備できないなど、安全装備の格差が大きいモデルもあるので、しっかりとチェックする必要がある。
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以下、5つのおすすめ車種を紹介する。
■【1】トヨタ「プリウス」
2023年1月、5代目である60系プリウスがデビューした。当時のトヨタ最新モデルらしく、最新世代の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備されている。
自動ブレーキは以下に対応している。
・昼夜の歩行者
・昼夜の自転車
・昼間の自動二輪
・右左折時の対向歩行者
・右折時の対向車両
検知対象の多さや、よく発生する事故パターンへの対応など、最新のトヨタセーフティセンスは他メーカーよりも一歩先を進んでいる。
新型プリウスの最上級Zグレードには、「緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)」も標準装備された。これはドライバーによる操舵がなくても、システムが弱いブレーキをかけながら操舵を行い、車線内での衝突回避を支援する機能だ。(歩行者、自転車運転者、自動二輪車、車両と衝突する可能性が高く、自車線内に回避するための十分なスペースがある場合に作動する。)
もともと緊急時操舵支援機能は、レクサスLSなどの高級車に装備されていた。こうした機能が、コンパクトカーの新型プリウスにも装着されるようになった。
PDA(プロアクティブ・ドライビング・アシスト)という運転支援機能も秀逸だ。PDAはドライバーの一歩先を読み、次の行動をアシストしてくれる。
・進行方向にいる歩行者や自転車と、車両との距離が近い場合、車両が距離を取るように減速や操舵支援を行う
・カーブ手前での自動減速
・先行車との距離を一定に保ちながら自動減速(アクセルオフ状態の場合)
自動減速は、停止は自らブレーキを踏む必要があるが、停止直前までは車両に任せで走ることができる。アクセルとブレーキの踏みかえ回数が大幅に減るので疲労軽減に役立つ。疲労軽減は、最終的に安全運転にもつながる重要事項だ。
非常に高いレベルの予防安全装備が装着されている新型プリウスだが、一部グレードではローテク安全装備がオプションだ。
・後側方車両接近警報
・パノラミックビューモニター(俯瞰から見た車両周辺映像を映し障害物の有無を確認できる)
こうした装備は積極的に選択したい。
■【2】トヨタ「カローラスポーツ」
カローラスポーツは、2018年に登場したCセグメントの5ドアハッチバックだ。すでにモデル後期に入ってきているが、2022年10月にマイナーチェンジした。このマイナーチェンジで、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」の機能や性能が大幅に向上している。
最新のプリウスのような「緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)」は用意されていない。だがその他の機能は、ほぼ最新プリウスと同等レベルにある。
自動ブレーキは以下に対応している。
・昼夜の歩行者
・昼夜の自転車
・昼間の自動二輪を検知
・右左折時の対向歩行者
・右折時の対向車両
自動ブレーキの検知対象物の多さや、よく発生する事故パターンへの対応など、事故を起こすリスクを大幅に軽減してくれる。
その他、PDAなどの機能も新型プリウスと同様だ。カローラスポーツは、以下のローテク安全装備が全グレードでオプションなのが惜しい。
・後側方車両接近警報(ブラインドスポットモニター)
・パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)
■【3】トヨタ「アクア」
アクアは、2021年に登場したBセグメントのコンパクトカーだ。ヤリスと同じGA-Bプラットフォーム(車台)を使用している。しかし、アクアはヤリスよりホイールベースを伸ばしたため、後席の居住性に優れている。
こうしたプラットフォームだけでなく、パワーユニットも共通化され、姉妹車関係にある。
2021年に登場したアクアでも、すでにプリウスなどの最新世代の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」には敵わない。だがそれでも、クラス平均値以上のレベルは維持している。まさに、予防安全装備の進化は日進月歩だ。
自動ブレーキの対象は以下の通りだ。衝突回避・被害軽減をしてくれる。
・昼夜の歩行者
・昼間の自転車
・右左折時の対向歩行者
・右折時の対向車両
こうした基本的な装備は、全車標準装備だ。しかし、その他の予防安全装備のほとんどがオプション設定なのが惜しい。
・パーキングサポートブレーキ(踏み間違い衝突防止アシスト)…一部グレードでオプション
・後側方車両接近警報・後退時車両接近警報…全グレードオプション、一部グレードは装着不可
・パノラミックビューモニター(車両の周辺を俯瞰で映し、障害物を確認できる)…全車オプション、一部グレードでは装着不可
こうしたオプションを選択しないと、安全性はやや物足りない仕様になってしまうので注意が必要だ。
■【4】トヨタ「ヤリス」
ヤリスがデビューしたのは、2020年だ。ヤリスに搭載された予防安全装備「トヨタセーフティセンス」は、従来から大幅に進化した。自動ブレーキの機能が増え、右左折時の対向歩行者や右折時の対向車両に対応した。当時、この機能がプラスされたのは、トヨタ車ではヤリスが初だった。最新のプリウスには敵わないものの、現在でも高いレベルを維持している。
ヤリスもコンパクトカーなので、価格を安く見せるためにオプション設定が多い。グレードに加え、ハイブリッド車、1.5Lと1.0Lガソリン車、1.5L MT車などの設定があるため複雑だ。
特に高齢者ドライバーが注意したいのは、踏み間違い防止アシスト機能をもつパーキングサポートブレーキ(前後方静止物)が、多くのグレードでオプションになっている点だ。
同様に、パノラミックビューモニター(映像を合成し車両を俯瞰から見て、死角にある障害物や人がいないことを確認できる機能)も全車オプション設定である。便利で安全な機能なので、運転が苦手な人は積極的に選択したいオプションだ。
■5.ホンダ「シビック」
ホンダ シビック(FL型)は2021年に登場した。ホンダの予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」を全車標準装備している。
ホンダセンシングの特徴は、多彩な機能をひとつにまとめている点だ。他メーカーでは、オプションになるケースが多い後側方車両接近警報や後退時車両接近警報なども含め、16もの機能が標準装備されている。自動ブレーキも含まれ、歩行者と自転車に対応する。
機能面では、少し物足りない部分もある。だが多くの安全機能をすべてのグレードに標準装備しているので、どのグレードを買っても安心できるメリットがある。
ただ、マルチビューカメラ(カメラ映像を加工し、車両を俯瞰から見た映像に変換。死角にある人や障害物を確認でき安全につながる機能)が装備されていない点が、やや残念なポイントといえる。
■予防安全を考慮した国産コンパクトカーの選び方
一時期、トヨタの予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」は、他メーカーよりやや遅れていた時期があった。しかし、自動ブレーキが右左折時の対向歩行者や、右折時の対向車両にも対応できる能力がプラスされるようになってから、完全にトヨタセーフティセンスが他メーカーより頭ひとつリードしている。
注意したいのは「トヨタセーフティセンス」は、すべて同じ性能ではない点だ。今回ピックアップしたプリウス、アクア、ヤリス、カローラスポーツは、高い能力を持つ。だが、他のカテゴリーでは旧世代のトヨタセーフティセンスのモデルもある。購入時は、しっかりと右左折時の対向歩行者や右折時の対向車両に対応しているのかなど、機能を確かめてから購入するとよい。
繰り返しになるが、コンパクトカーの場合、価格が重視されるため、基本機能である自動ブレーキ関連以外の予防安全装備がオプションとなっているケースが多い。
例えば、後側方車両接近警報は車線変更時に、後退時車両接近警報はバックで駐車場を出る際に役に立つ。頻繁に起こるシーンで効果を発揮する予防安全装備は、高齢者や運転初心者、運転が苦手な人にとっては、非常に安心できる機能だ。こうした装備は、積極的に選択したい。
(まいどなニュース/norico)