愛猫との死別後、気づけば猫が家の周りに集まるように 「これはまさか…」秘密結社NNNに“ロックオン”された女性の物語

NNNをご存じでしょうか。正式名称は「ネコネコネットワーク」といい、日々猫を可愛がる人を探している秘密結社といいます。存在がささやかれ始めたのは、2000年代半ばの2ちゃんねる(現・5チャンネル)の生き物板で、2010年代になるとSNSでも“被害報告”がされるようになりました。

関東地方に住むIさんも、NNNにロックオンされた一人です。彼女は2021年7月に愛猫を病気で亡くしたところ、心の隙間に入ってこられました。気づけば、他界した愛猫との別れが想い出になってしまっていたのです。

■愛猫との別れの次の日に…

2021年7月3日、Iさんの愛猫・藍(らん)ちゃんが他界。まだキトゥンブルーが目に残る子猫で、わずか2週間ほどしか家で過ごさせてあげられませんでした。漏斗胸があったものの、もっと長生きさせられる方法はあったのではないか。そうIさんは後悔しつつも、仕事は休めません。藍ちゃんが亡くなった次の日も、職場へ向かいます。

この日に事件が起きます。誰にも藍ちゃんが亡くなったことを伝えていなかったにも関わらず、取引先の女性からこんなことを言われたのです。

「子猫を引き取ってもらえませんか?」

野良猫が産んだ子猫で、生後2カ月ほど。藍ちゃんと同じくらいの月齢です。しかも、毛の色も藍ちゃんと同じ白だというではありませんか。

「藍ちゃんが私たちを寂しがらせないようにしてくれたのかな」

終業後、藍ちゃんを荼毘に付し、骨壺と一緒に子猫は家にやってきました。実はI家にはもう1匹猫がいて、名前をほわちゃんといいます。とても愛情深い猫で、藍ちゃんをとても可愛がっていました。亡骸にも寄り添うほど。

そんなほわちゃんに「新しい猫だよ」と会わせるのは酷かもしれない。

■藍ちゃんと出来なかったことをロンくんに

ほわちゃんが拒絶したら、新しい里親さんを探そうとIさんは考えました。まずは会ってもらわないと。ほわちゃんに事情を話し、キャリーケースごしに子猫と対面。ほわちゃんは最初だけ「ふー!」と怒りました。

でも1日も経たないうちに、持ち前の愛情深さを発揮。子猫を可愛がるように。姿が見えなくなると探しに行き、危ないことをしていると叱る。藍ちゃんにしてあげたかったことを全部するかのよう。

この2匹の様子に、Iさんも一安心。子猫は「ロン」と名付けました。「ロン」は英語で長いという意味と中国語で龍の意味のある音。どうか健康で長生きしてほしいというIさんの切なる思いを込めました。

■なぜか集まる野良猫…その中に

ロンくんを迎えてからはというと、なぜかIさんのアパートの周りに猫が集まるように。ご飯を置いてるわけでもないのに来るので、見つけ次第保護団体に連絡し、避妊去勢手術をして地域猫にしていました。

その猫たちの中に、生後3カ月ほどの子猫が混ざっているのに気付いたのは2022年2月17日。ロンくんによく似た白地に黒ブチのある猫で、Iさんの部屋のドアをじーっと見つめています。中に入りたいのかと思いドアを開けると、ぴゃーっと逃げる。でも、こっちを見ているんです。遊んでいるつもりなのでしょう。

Iさんはご近所さんに「あの子を捕まえたら知らせてください」とお願いしました。まだまだ寒い日が続く2月、子猫の体では大変だろうと思ったのです。Iさん自身も保護しようと何度も試みたのですが、なかなか捕まりません。気づけば2週間が経っていました。

やきもきしつつも仕事に励んでいたIさんですが、3月4日にご近所さんから電話が入ったのです。「あの子を捕まえた」と。これを聞いたIさんは就業中であるにも関わらず会社を飛び出し、子猫を迎えに行きます。その足で動物病院へ。地域猫にするつもりで、去勢手術と耳カットをしてもらいました。

■同じシチュエーションで思い出してもらう?

ふとIさんは気づきました。このシチュエーション、前にもあったような…。そう、藍ちゃんを保護した時とまったく同じだったのです。もう一つ気づいたことがあります。それは藍ちゃんとの別れの悲しさ。ロンくんのおかげで、自分もほわちゃんも寂しさを軽くしてもらっていました。その分、藍ちゃんを思い出す時間が減っていたのです。

「ごめんね、藍ちゃん」

Iさんは藍ちゃんの遺影に手を合わせ、子猫に藍ちゃんの思い出を話しました。子猫はそんな話より、ロンくんと遊びたいみたい。ロンくんも喜んでプロレスごっこに興じます。

子猫は電光石火のごとく来訪したので「雷」と「来る」と意味で「ライ」と名付けられました。時々コテンと横たわるので、英語の「lie」の意味も込められています。ほわちゃんとロンくんに可愛がられすくすく大きくなり、今ではロンくんと体格がほとんど変わりません。見た目もよく似ているので、本当の兄弟のよう。

■引っ越し先でも集まる猫

Iさんはライくんを迎えると同時にアパートを解約し、一軒家を購入。アパートの規約で猫は2匹までと決まっていたからです。戸建ての家なら、思う存分猫たちに走り回ってもらえますし、趣味のピアノも弾き放題。

この引っ越し先の家の周りにも、なぜか猫が集まってくるのだそう。もちろん、ご飯を置いているわけではありません。外から猫を飼っていると分からないはずなのに…。

藍ちゃんは、まだIさんとほわちゃんが寂しがっていると思っているのでしょうか。それとも藍ちゃんにかこつけてNNNが暗躍しているのでしょうか。謎は深まるばかりです。

   ◇   ◇

【飼い主さん】ねこほわらんろんらいさん

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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