元ネタを知らなくても楽しめる文化に!? ”痛車”の祭典で400台とコスプレイヤーが集結、ユピテルの富士サクラも参戦

 全国の痛車が大集合するイベント「痛車天国」が、9月24日の日曜日に吹田市の万博記念公園で開催されました。朝晩は一気に秋の気温になったこの週末、快晴の会場では強い日差しにカラフルな痛車が映えて、まさにこの世の天国でした。

■痛車っていったい、なに?

 自動車のボディにいわゆる萌え系のアニメキャラを描いた「痛車」。一説には2000年代に入った頃から現れたと言われます。そもそも「痛い」というのは「痛い人」とか「痛い客」、ニュアンスとしては「難儀な」に近いマイナスの感情を表す言葉。「痛車」というのももしかすると最初は痛くない人たちが揶揄して言ったのかもしれません。あるいは痛車を愛する人たちの側が自嘲的に、またある意味予防線を張る感じで言うようになったのかもしれません。痛車というもの自体の定義もはっきりしていない部分があるようです。

 しかし、今回のイベントで約400台といわれるバラエティ豊かな痛車を一気に見ていると、そんな細かいルーツとかカテゴリーの定義なんてどうでもいいような気がしてきます。とにかくみんな楽しそうなんです。

 自動車を飾るというと、筆者の世代では「デコトラ」がまず思い浮かびます(ちなみに「デコトラ」は青島文化教材社の登録商標らしいです)。デコレーショントラック、つまりトラックの運転席とか貨物部分に絵を描いたり電飾を施したりするやつですが、あれは「錆を防ぐためにステンレスの外装を貼り付けたこと」をスタートに発展していったといわれます。元々は実用的な意味があったんですね。

 乗ってらっしゃるのは職業ドライバーの皆さんですから、一般ピープルからはちょっと遠い存在でした。映画「トラック野郎」シリーズで垣間見るハードボイルドなその世界に憧れることはあっても、よし、じゃあ自分もトラックを買って、っていうことにはなかなかなりませんよね。

 そのあたりで痛車は、より身近ですね。

■痛車天国とは? 知らない人が行っても楽しい?

 このイベント「痛車天国」は、ムック本「痛車天国・超」を発行している八重洲出版の主催です。万博公園では2019年から、毎年この時期に開催されています。昨年はあいにくの雨でしたが、大勢の来場でにぎわいました。

 今回一度にたくさんの痛車を見て思ったのは、いろいろな流派があるということです。まずベースの車両ですが、目立ったのはものすごいキャンバー(いわゆるハの字シャコタン?)で幅広タイヤを履いた最低地上高ペタペタのカスタムカー。それからキャンバスとしての面積が広くて有利そうなワンボックスタイプ。全体的にコンパクトでかわいらしくまとまりそうな軽自動車。ガチでレース活動をしていると思われるレーシング痛車。あと、いすず117クーペやセリカXXといった希少な旧車や外車を惜しげもなく痛くしてしまう孤高の一派、といった感じでしょうか。

 あと、痛車の撮影は普通のクルマとは違う、という当たり前のことにいまさら気がつきました。クルマのかっこよさを伝えようと思うと、だいたいやや低めの位置から撮るのですが、これをやるとせっかくのボンネットのアートが写らないんですね。だから、普通の自動車イベントよりも高い位置から見下ろす感じの構図になります。

 そして肝心のキャラクターですが、筆者は最近のアニメやゲーム事情に詳しくありません。映像技術・無線通信機器とGPS応用機器の製造販売の企業「ユピテル」による人気オリジナルキャラクター「富士サクラ」、『ウマ娘』、『五等分の花嫁』、『SPY×FAMILY』などを発見いたしました。なのでその点は写真を見ていただいてお楽しみいただきたいのですが、印象としてはビビッドな色使いでボディ全面に描かれたものから単色で渋くあしらった感じのものまで、実に多様です。

 元のネタや背景を知らなくても見ていて楽しい、というのは間違いありません。それぞれの推しに対する熱い思いが伝わってきます。

 また来年の開催に向けて、もっともっと楽しめるようにいまから頑張ってアニメにはまろうかな、なんてつい思ってしまう。そんな素敵なイベントでした。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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