【漫画】発達障害って?ASDとは? そんな疑問をわかりやすくマンガで解説
「発達障害、これだけでも知っていると違う!基本の知識と捉え方」
漫画家のフクチマミさん(@fukuchi_mami)は、発達障害についての書籍の漫画制作を担当。その一部をX(旧Twitter)にて紹介しました。
児童精神科医・医学博士である本田秀夫さん(@hihojan10)が自ら、発達障害について解説するという構成。自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動症(ADHD)、学習障害(LD)といった代表的な区分があり、それぞれの特性や抱えやすい問題は異なります。
本書はそのなかでもASDについて、詳しく取り上げています。ASDのある子どもの特性や傾向の紹介はもちろん、「特性イコール障害ではない」「発達障害は病気というより、“少数派の種族”のようなもの」といった、発達障害についての捉え方・考え方のポイントも紹介。
「これは親として知っておいてほしい知識ですね」
「正直、変なこだわりや凸凹は全員ある」
「本田先生の解説は、当事者的にも良いなぁと思ってます」
「発達障害と関わることで(※)カサンドラ症候群を発症する可能性があることも、知識として広めて欲しいです」
(※ASD当事者のパートナーや家族が、当人とうまく関係性が築けず、不安や抑うつなど心身の不調をきたしてしまうこと)
フクチさんのXのリプ欄にも、たくさんの反響の声が寄せられました。
■特性を矯正したり隠したりしなくても、皆と一緒に生きられることを知って欲しい
本書の著者である本田さんは、30年以上の臨床経験をもつ、発達障害研究の専門家。実はフクチさん、もともとそんな本田さんのファンであったといいます。
ここでフクチさんに、本田さんを知ったきっかけや、書籍の制作に携わることになった経緯など、詳しいお話をおうかがいしました。
--今回の書籍で、漫画を担当することになった経緯について教えてください。
フクチさん:今回の本の担当デザイナーさんが、私の共著である『おうち性教育はじめます』シリーズを読んでくださっていて、編集さんにおすすめしてくださったそうです。
--発達障害というテーマに関わりたいと思われた理由は?また、そのなかで本田先生はどのようなきっかけでお知りになられたのでしょうか?
フクチさん:もともと発達障害について興味があったんです。世間的には「困った人」や「特異な才能のある人」といったイメージが漠然とあると思うのですが、実際のところどういったものなんだろうと。それで何冊か関連書を読んだのですが、そのなかで本田秀夫先生の本に出合い、優劣ではなく違いとして捉える「少数種族のようなもの」と言う視点がすごくしっくり来たんです。本田先生の本で語られていた「特性を持っていることそのものが障害なのではなく、多数派に合わせた社会の中で支障が出ている場合に障害と診断する」ということも、知っているようで知らないことでした。
--そのような経緯から、本田先生のファンになったのですね。
フクチさん:本田先生の講演の動画も見るようになりました。本田先生は淡々としつつ、時折バッサリと切る語り口なのですが、根底に一貫して流れるメンタルを第一にした考え方、人間や人生に対するある種のおおらかさやユーモアが伝わってきて、私はお話を聞くとホッとします。「我慢・自立・努力って何?」「宿題って必要?」「グレーは薄くても白じゃないよね」…こういったこれまで“普通”だと思っていた概念を改めて問い直す姿勢にも、何度も目から鱗が落ちました。私の推し精神科医です。
--そんな本田先生とのコラボが実現した本書ですが、皆さんにどのようなことを知ったり学んでもらいたいと思いますか?
フクチさん:ASDの主な特徴として、「臨機応変な人間関係が苦手」「こだわりが強い」というものがありますが、(多数派からみて)彼らの不可解な行動には、実はすべて理由があるんです。その特性を矯正したり隠すのではなく、そのままでも健やかに育つことは、周りの大人側の対処である程度まで可能です。これまで「問題だ」と思っていたことが「問題ではなくなる」ことも実はたくさんあると本書を読むと分かります。「“みんなが一緒ではない”ということを知ることで、“一緒に生きられるようになる”」、ということを感じていただけたらと思います。
--他にも読んで欲しい部分などありましたら教えてください。
フクチさん:本書のエピローグにて、発達障害のお子さんをもつ親の本音と「本当にそれで子どもは幸せになれるんですか?」という疑問、それに対する先生の返答をマンガにしましたので、読んでいただけるといいなと思っています。
「発達障害に関する漫画を描かせていただいたのは初めてですが、思っていた以上に深く面白いテーマでした」
本書に携わった感想について、フクチさんはこのように語ります。日常生活や社会生活を行ううえで、周囲の人たちとの関わりにしばしば困難をきたしてしまう発達障害の特性。各人がそれに興味をもち、関わり合おうとすることが、当事者も周囲の人たちも生きやすい環境をつくる第一歩になるのかもしれません。
また、フクチさんは、教育者・村瀬幸浩さんとの共著による『おうち性教育はじめます』シリーズも刊行されています。
「こちらも多様性や他者理解という面で発達障害とつながるテーマだと感じています」(フクチさん)
発達障害について解説した書籍『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』は、9月28日の発売です。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))