「覚えていない、ぼーっと運転してね」ひどすぎる!←愛犬ひき逃げに、90代男性の釈明、無念の家族

今年7月、名古屋市内で6歳の女の子と散歩中の犬が乗用車にはねられ死んだ事故。死んだ犬は、ポメラニアンの男の子・朝陽(あさひ)くんといいます。10月に4歳のお誕生日を迎えるはずでした。

飼い主のともこさんによると、車の運転手は朝陽くんをはねた後そのまま走り去り、警察が逃げた乗用車の行方を捜査していましたが、事故を申告しなかったとして、警察は運転をしていた91歳の男性を道路交通法違反の疑いで9月22日に書類送検。その男性は、ともこさんの自宅に直接謝罪に来たといいます。

事故が起きたのは今年7月28日午後5時半ごろ、名古屋市緑区平手の信号のある交差点。男性は横断歩道を青信号で渡っていたともこさんの三女(6歳)が連れていた朝陽くんをひいてそのまま逃走した疑いが持たれています。三女はけがもなく無事でしたが、はねられた朝陽くんは内臓損傷などによりまもなく死亡しました。

事故後、女の子のお母さんで犬の飼い主のともこさん(@10mokodomo)がSNSで事故現場当時の様子を撮影した防犯カメラの画像などを投稿。事故を目撃した人や逃げた乗用車などの情報提供を広く呼び掛けていました。その結果、乗用車が「トヨタのヤリスではないか?」との情報が入るなど、SNSで拡散したことで、テレビ局などメディアに取り上げられ大きな反響があったこともあり、今回運転手の特定までに至りました。

■男性から「ごめんね」と謝罪、事故当時愛犬と散歩をしていた三女は涙を流していた…

運転手の男性が謝罪に訪れたのは9月14日。ともこさん家族に対して、男性は運転していた車が自動ブレーキがついていおり、物に近づいたら止まる仕組みになっているといい、「朝陽くんの体が小さかったから止まらなかった」と説明。しかし、事故当時のことは「覚えていないです。ぼーっと運転してね」と釈明したそうです。さらに、ひいたのが「(三女じゃなくて)良かった」などと発言し、家族だった朝陽くんを亡くして悲しんでいるともこさんたちは怒りを覚えたといいます。

そして、三女には「小学生に入るまでに何とかもとの笑顔に戻ってほしい。ごめんね」と、男性が謝罪。その言葉を聞いた三女はただただ涙を流していたとのこと。また、男性は運転免許の返納をともこさんたちと約束しました。男性が帰った後には、三女が「おじいさんも朝陽もかわいそうだった」と話していたそうです。

  ◇  ◇

■愛犬をはねて死なせた高齢ドライバー 飼い主「事故を起こしても気づかない覚えてない人たちが身近で走り回ってるのが現実」

今回朝陽くんの命を奪った犯人が高齢男性と分かり、また男性から謝罪を受けて、どう感じたのか…ともこさんにお話を聞きました。

──運転手の男性から直接謝罪を受け、今の気持ちをお聞かせください。

「早々に捜査を打ち切る連絡を受けていた『当て逃げ事故』でしたので、こうして犯人が見つかったことに対しては、SNSで拡散してくださった皆さんとメディアの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

我が家には、朝陽のいないケージが以前のまま置いてあります。笑っているような顔をしてこっちを見てる朝陽が、今もそこにいる気がして、片付けることもできずにいます。

『犬は代わりがいるけど子どもは代わりがいないから、子どもが死ななくて良かったね』といったお声もありましたが、私たち家族にとっての朝陽はあの子しかおらず、違うポメラニアンを迎えたところで朝陽の代わりになるわけではありません。

当て逃げした本人は、あの瞬間を全く覚えていないとのことで、無念で無念で仕方ないです。しかし、SNSで拡散してくださった方々から『自分の犬はひき逃げされて犯人も見つけられなかった』というお声を聞き、過去に無念の死をとげたたくさんの子たちとそのご家族の強い思いが犯人検挙に力添えしてくれたのかと思うと、たとえ犯人が覚えていないとしても、こうして見つけ出し、罪を認めさせたことには、ものすごく大きな意味があると感じています」

──運転手は90代の男性。事故当時のことを覚えていないと…。

「高齢ドライバーのアクセル、ブレーキ踏み間違え事故やら逆走事故やらひき逃げした後の『覚えてない発言』など、テレビで見ない日はないくらいほぼ毎日ニュースで目にします。自分がどんな運転をしてるかも気付かずに突っ込んできて、事故を起こしても気づかない覚えてない人たちが身近で走り回ってるのが現実なのだと各々が自覚し、いつ危険に巻き込まれるかも分からないという危機感を常に持ち続けることが大切だと思います。

事故に遭った娘は、事故から2カ月近く経った今も、青信号で横断歩道を渡るとき、止まっている車が急に突っ込んでくるのではないかという恐怖におびえながら渡ります。その姿を見ると胸が痛みますが、それくらい用心してくれた方が安心だとも思ってしまいます」

──亡くなった朝陽くんへ、どのようにご報告されましたか?

「朝陽をひいた人が見つかったよ、と報告しました。朝陽に報告したのは、それだけです。しっぽが折れ胃が下がり肺がつぶされて苦しみの中で息を引き取った朝陽の御霊が、今は安らかであるようにと祈るばかりです」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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