「まるで合体!?」緑と黄色・鮮やかなツートンカラー 不思議なみかんが話題に ただ発見した農家の人によると…「出荷しても商品価値なし」
Twitter改めXに投稿されていたのは、鮮やかなツートンカラーの温州みかん。グリーンとイエローの2色が、果実のほぼ真ん中からスパっと色分けされている。
これを投稿したのは、熊本県熊本市で「杉果園」という果樹園を営み、主に柑橘類、梨、タケノコを栽培している杉本幸介さんだ。発見したときの様子を伺った。
■みかん農家なら誰もが遭遇する「キメラ」という現象
見れば見るほど、じつに鮮やかなツートンカラーだ。グリーンの部分はみかん本来の質感だが、イエローの部分のゴツゴツした感じは、まるで柚子のようだ。
投稿を見たXユーザーからは「なにこれ、すごい」「中身が気になります」などのコメントが寄せられていた。
一見すると種類が異なる果実が合体して実っているようにも見えるが、実際はどうなのだろう。杉本さんによると、これは温州みかんに時々見られる「キメラ」という現象で、生育過程で何らかの異状が起こったときに現れるという。
「私もあまり詳しくはないのですが、突然変異ですね。このあたりは温州みかんの産地ですけど、そんなにめちゃくちゃ珍しい現象ではないです」
みかん農家を営んでいると、キメラを見る機会は少なくないとのこと。
キメラが現れる枝は毎年決まっていて、見つけたらその都度切ってしまい、実も処分するという。
「出荷しても商品価値がないし、発見したら枝ごと落とします。投稿したのは、たまたま残っていた枝に実がついたものです」
また、グリーンとイエローのツートンもよくあるパターンだそうだ。杉果園で発見されたのはグリーンとイエローだったが、ネットで検索してみると濃いイエローと薄いイエローが出るキメラもあるようだ。
商品価値がないため農家で処分されていたから、一般消費者の目に触れる機会がなかった事情は理解できた。
気になるのは、食べられるのか? 食べられるとしたら美味しいの? ということ。
「食べたことはないけど、食べようとも思わないし。食べようと思えば食べられるんじゃないですかね」
以前、欲しいという人がいたので、差し上げたことがあったそうだ。
「もって帰ってどうするのか聞いてないし、その人が食べたかどうかは分かりません」
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さて、9月に極早生みかんの収穫を終え、10月に入ると早生みかんの収穫が始まる。今年は台風の被害も受けず、気温や雨量もいい感じとのことで、味の良いみかんが実っているという。JA熊本を通して「夢未来」というブランドで流通するそうだ。筆者の地元大阪へも少数ながら出荷されるそうなので、熊本産のみかんを探してみたい。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)