窓や玄関に大量のカメムシ 全国多発、記者の家にも… カメムシが住宅地へ飛来する理由、激減した対策とは

先日、X(旧Twitter)のトレンド欄に「カメムシ大量発生」なるワードが並んでいた。内容を見てみると、「カメムシがめちゃくちゃいて怖い」「悲鳴あげた」「玄関前にいすぎて家に入れない」「外に出るのが嫌になった」…と、どうやら文字通り全国各地でカメムシが大量発生しているようだ。

弊社がある兵庫県神戸市も例外でなく、最寄り駅のホームには灯りに引き寄せられた大量のカメムシやその死骸があるほか、自宅のベランダや玄関で待ち構えていたり、毎日おびただしい数のカメムシと遭遇している。

編集部で話を聞けば、ほかの部員も「今年は兵庫県に注意報(病害虫発生予察情報)もなかったのに一体なぜ」と洗濯物に付着するカメムシに泣かされているようだった。なぜ9月中旬から急に姿を見せ始めたのだろうか。

■カメムシの発生には表年、裏年がある

兵庫県立農林水産技術総合センター・兵庫県病害虫防除所(以下、防除所)の担当者によると、「農業害虫の部門になるので、カメムシ全種の動向を網羅できているわけではないのですが」と前置きしたうえで、「農業害虫の果樹カメムシ類で、街中にやって来て問題視されているのが、茶色で大き目のクサギカメムシ、緑色で大き目のツヤアオカメムシだと思われます」と教えてくれた。

担当者曰く、カメムシの発生には1年ごとに表年・裏年があるという。山の中で育つスギやヒノキなどの球果の出来に左右され、球果がよくできる年は裏年であり、カメムシがそこをエサ場にするため山にとどまることが多い。逆に表年は山にエサが無いので果樹園などに大量発生し、エサを求めて荒らし回り、その一部が住宅地などにもやってくるのだ。もちろん裏表に関わらず、個体によっては山にとどまったり、裏年でも果樹園や農地に下りてくることもあるという。

実は本来今年は裏年にあたり、実際防除所の調査によれば春から夏にかけて、カメムシの数は少ないまま推移していたそうだ。それゆえ注意報などの情報が少なく、多くの人が突然現れた大量のカメムシにうろたえている状況だと思われる。ではなぜカメムシが大量発生しているのだろうか。

担当者は「原因はこちらも調査中なので、明確な回答はできないのですが…」としつつも、「秋に入っても暑い日が続くことで、カメムシが一斉に動いているのでは」と推測する。

「調査のなかで、果樹カメムシ類が9月中旬に一時急に大量飛来する日がありました。本来、果樹園などに下りてきたカメムシは、秋から冬にかけて果樹も減ってエサが無くなり、冬眠をしに山へ帰るという動きになります。しかし、9月現在もかなり暑い日が続いており、本来冬眠する時期のはずが、まだまだ気温が高いので街中でエサを求めて動き回っている状態ではないかと推測しています」とのことだった。

では、対策法はないのだろうか。「カメムシは光に集まる習性があります。コンビニや外灯によく群がっているのを見かけますよね。それと同じで、住宅でも窓から光が漏れていて、さらにカメムシにとってちょうどいいところに洗濯物が垂れていれば、留まるのに最適です。明確な対策は難しい問題なのですが、光が外に漏れることを遮断するのが良いかと思います」と担当者。

実際、集合住宅に住む編集部員は「夕方から明け方に自動で点灯している外壁照明を管理人に頼んで終日オフ状態に設定変更したら、飛んでくる数が激減した」と語っていた。玄関先の外灯をつけない、カーテンや雨戸で窓から光が漏れないようにするのも手のようだ。

防除所の担当者によれば「これから寒くなるにつれて山の方に戻っていくので、カメムシの数は急激に減っていくと思う」とのことだった。

◇ ◇

また現在、カメムシ対策としてハッカ油が有効とネットで話題になっているようで、ドラッグストアなどではハッカ油が品切れになる店舗も。ドラッグストアに立ち寄ってみると、「朝から問い合わせがたくさんあって…」と店員が困惑するほどで、棚はハッカ油の箇所だけすっかり空になっていた。なお、ハッカ油は猫など動物によっては健康を害する恐れがあるそうなので、使用する際はご注意を。

(まいどなニュース・門倉 早希)

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