名札をつけた接客で、2割がカスハラ被害…「クレーマーに『名前を覚えた』と言われ恐怖」「フルネーム連呼しながら罵倒された」

接客スタッフの名札に実名を出さない取り組みに約7割が「賛成」--そんな調査結果が、弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)の調査で分かりました。また、約2割の人が名札をつけての接客で「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)被害にあった」と回答したそうです。

調査は、弁護士ドットコムの一般会員717人を対象として、2023年8月にインターネットで実施されました。

コンビニや銀行、自治体などで顧客対応する職種によっては名札を掲示しますが、実名を出すことにより、SNS等のインターネット上に実名を晒されるなどのプライバシー権の侵害や、ストーカー被害など、従業員に対して、顧客が悪質なクレームや理不尽な要求を突きつける「カスハラ」が社会問題となっています。

そこで、「カスハラ対策の一環として、名札に実名を出さない取り組み」に対しての考えを聞いたところ、73.4%の人が「賛成」(賛成:49.8%・どちらかと言えば賛成:23.6%)と回答しました。それぞれの回答については以下のようなコメントが寄せられています。

【賛成派の意見】

▽本名を覚えられると、仕事以外の場面でも厄介なことになりそう(40代女性)

▽​​自分も名前を晒して仕事をしているが、やはりカスハラは怖い(40代男性)

▽看護師をしているが、実名フルネーム+顔写真の名札をつけている。経験はしてないが、よくSNSで入院中の点滴中や病室、看護師の手元を写真や動画にアップしてあるものを見かける。患者さんにその気がなくても、こちらの個人情報が出る危険もあるので不快。逆に実名で働くメリットを知りたい(30代女性)

【反対派の意見】

▽名前がわからないとクレーム入れることが出来ない(40代女性)

▽実名を出すことはその企業の信用を表している証なので続けて欲しい(60代男性)

▽サービス業側にいるが、本当にサービス側に問題があった際の原因究明が困難になる。長期的目線でのメリットを感じない(40代女性)

▽自分自身の身を守ることは大事だが、名前を示すことで責任を持って職に当たってもらいたい。カスハラではなく、純粋な苦情や褒めたい投書等もある。フルネームでなくてもいいので、名字だけは示しておく必要があると思う(60代女性)

続けて、名札をつけての接客経験者541人に対して、「名札をつけてカスハラ被害にあったことがありますか」と聞いたところ、「ある」が22.4%、「ない」が65.4%、「わからない」が12.2%となりました。なお、実際にカスハラ被害にあった人からは以下のようなコメントが寄せられました。

【理不尽なクレームや恫喝被害】

▽クレーマーに「名前を覚えたからな」と言われて、しばらくの間家族もいる身なので恐怖に震えていた(40代男性)

▽コンビニ店員をしていて客の過剰な要求に応じなかったら罵倒され、その後本社にクレームを入れられ、クビになった(30代男性)

▽会計列の割り込みをお客様に指摘したところ、名前を大声で呼ばれ、「許さないからな」と言われたり、お客様の声ボックスに「 〇〇(名前)しね」などの嫌がらせの内容を書かれたりした(30代女性)

▽探されていた商品が欠品中だったのでそれを伝えたところ、「こんな遠い店まで来たのになんで無いの!なぁ!聞いてんの!?」と大声でフルネームを連呼されて、最終的には土下座での謝罪を要求されました。途中から写真を勝手に撮られたので警備員から警察に連絡してもらいましたが、警察が来ても『民事不介入』を理由に結局どうすることもできず。店長も我関せずだったので完全に泣き寝入りしました(30代女性)

【ストーカー被害】

▽休暇の日に探されて、近所で後をつけられた(30代女性)

▽名指しで接客の指名をされ、執拗に責められた。また、何度もデートに誘われて連絡先を渡された(30代女性)

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