何のため?声帯を切られていたメスのプードル かすれ声で甘えん坊ぶりを発揮 保護1カ月でトライアル先が見つかった
埼玉県と茨城県を中心に行き場を失ったワンコを保護し、新しい里親さんへの譲渡活動を行う犬保護団体・restartdog LIEN(以下、リアン)。2023年7月、動物愛護センターから引き出したメスのプードルがいました。推定7歳ほどです。
リアンの活動に参加している預かりスタッフさんは当初「アプリコットの毛色のプードルがくる」と勘違いしており、あらかじめ「ひまわり」という用意していました。しかし、実際に来たところ、そのワンコの毛色はシルバー。でも、「夏だし、せっかくだし」ということで、この子の名はやっぱり「ひまわり」と名付けられました。
■その性格も聞いていた話とまるで違った
プードルは好奇心が強く、運動することが大好きです。しかし、この預かりスタッフさんは、別のスタッフから事前に「今回引き出したワンコ(ひまわり)はおとなしいよ」「意外と小さいよ」と言われていたそうです。預かりスタッフさんは「へぇー、珍しいなぁ」と思っていましたが、実際にひまわりに接すると、これがまた当初聞いていた話とは全く違いました。
ひまわりはチャカチャカ、ソワソワ、ピョンピョン、ビクビク……とにかく落ち着きがない様子。おとなしいとは言えないワンコでした。預かりスタッフさんの動きにいちいち反応して興奮して動き回り、他の保護犬を踏みつけて怒られたり、水の入ったお皿をこぼしたり。預かりスタッフさんはそんなひまわりの様子が愛おしく、「そんなに慌てなくても大丈夫! これからいっぱいお世話しちゃうからねー!」と声をかけてあげました。
■ひまわりは声帯を切られていた
元いた環境でそうさせられたのでしょう、ひまわりは声帯を切られていました。
預かりスタッフさんの姿が見えなくなると、そのかすれたハンハンという声で「どこに行ったの? 行かないで」と悲しそうに鳴くようにもなりました。心が痛む預かりスタッフさんでしたが、同時に寂しがりやのひまわりなので、いっぱい甘えさせてあげるようにも心がけました。
ひまわりがかすれた声で鳴くのは、預かりスタッフさんの姿が見えなくなったときだけ。それ以外では家のチャイムや来客があってもそれほど激しく鳴くことはありませんでした。
■引き出しから1カ月にしてトライアル先が見つかった
ひまわり特有の性格から、新しく迎え入れている家庭は「静かに過ごしたい」というよりは、小さいお子さんがいる賑やかな家庭のほうが望ましいと預かりスタッフさんは考えていました。
そして、当初の引き出しからわずか1カ月ほどでひまわりにピッタリの里親希望者さんが現れました。その家のお姉ちゃんに抱っこされたひまわりは、不安そうな表情を浮かべていましたが、ここでも預かりスタッフさんはひまわりにエールを送りました。
「大丈夫よ、ひまわり。だって、うちに来たときだってすぐに馴れたんだから」
そして、里親希望者さんのお姉ちゃんに「かわいい! かわいい!」と褒められると、「まぁ、そう言われると、悪い気はしないんだよなぁ」と言わんばかりに、ひまわりはうれしそうな顔も浮かべました。
現在、ひまわりはこの里親希望者さんの家にトライアルに出ています。預かりスタッフさんは、「うまく迎えられるといいなぁ」と思う一方、「あんなに甘えん坊だったひまわり。いつかまた会えるといいなぁ」とも思いました。
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(まいどなニュース特約・松田 義人)