マイホーム購入の流れ・住宅ローンの手続き…どこまで知っていますか? 「大きな買い物…ステップごとに慎重に判断して」【FPが解説】
マイホーム購入は非常に大きな買い物ですが、多くの人は一生に一度の買い物になることが多く、購入の流れや住宅ローンの手続きについてよく知らない人も多いのではないでしょうか。マイホーム購入のプロセスについて、FPの立場から、ステップバイステップでわかりやすく解説していきます。
■住宅購入のステップと住宅ローン
▽1. 情報収集
夢のマイホームを手に入れるための第一歩は情報収集です。
どんな家に住みたいのか、理想の場所はどこか、そしてそれにどれくらいの予算がかかるのかを知った上で、自分たちの希望や要望をしっかりとまとめ、それをもとに物件の相場をリサーチしましょう。
ネットの情報だけでなく、実際に足を運んで街を散策するのもオススメです。
理想のエリアの雰囲気や日常の生活を想像しながら、細かい条件を絞っていくと良いでしょう。
▽2. 物件問い合わせ・見学
情報収集を行い、ピンとくる物件が見つかったら迷わず問い合わせてみましょう。物件の実際の様子を見ることで、想像以上の魅力や意外な発見があるかもしれません。
複数の物件を見学することで、自分たちの本当の要望や、譲れないポイントが見えてくるはずです。
逆に、実際の物件を見ることで「想像と違う」「不便だな、不都合だな」と思えるようなデメリットも見えるでしょう。「マイホームを買う!」という高揚感に惑わされず、冷静に、シビアに物件を確認しましょう。
▽3. 購入申し込み
見学を繰り返して「これだ!」と納得できる物件が見つかったら、購入申し込みのステップへ進みます。
購入申し込みとは、「この物件を買いたい」という意思表示になるため、申し込みの際は焦らず、よく考えてから申し込みをしましょう。
申込証拠金として2万円~10万円程度のお金が必要になることもありますが、このお金は売買契約の手付金の一部に充当され、もし売買契約前にキャンセルとなった場合は返却してもらうことができます。
【キャンセルは問題ないの?】
購入申し込み自体に法的な拘束力はないので、売買契約前であればキャンセルすることはできますし申込証拠金も返却されるので金銭的にも負担はありません。しかし、家をひとつ販売するための準備や作業は大変なもの。売主や販売担当者にも迷惑がかかりますのでよく考えてから購入申し込みをするようにしましょう。
▽4. 住宅ローン事前審査
購入申し込みを行ったら、同時に住宅ローンの事前審査を行うことが一般的です。
売買契約を進めるには事前審査に通ることが必要となり、事前審査の書類記入や必要書類の提出も担当者が銀行へ取次してくれることが多いです。
この時案内される銀行は住宅販売業者で提携している銀行や取引のある銀行となりますので、他に自分で気になっている銀行などがある場合は、その旨を伝えてそちらの銀行でも事前審査を進めることを相談しておきましょう。
▽5. 重要事項説明、売買契約
住宅ローンの事前審査が通ったらいよいよ物件の契約手続きです。
契約手続きが完了すると法的に拘束力が発生しますので後戻りはできません。また契約時には手付金が必要となり、明確なルールはありませんが物件価格の5%~10%程度が相場となっています。
もし契約後に自分都合で解除する場合はこの手付金は放棄しなければなりません。
場合によっては別途違約金が発生することもあるため注意しましょう。
▽6. 本審査申し込み
物件の売買契約が完了すると、利用する銀行を決めて住宅ローンの本審査申し込みを進めます。
銀行ごと、お客様ごとに変わりますが、必要となる書類も増えるため事前にきちんと確認して準備するようにしましょう。
【本審査申し込み時に必要となる一般的な書類(会社員の場合)】
・免許証の写し
・保険証の写し
・住民票
・源泉徴収票
・課税証明書
・物件の詳細資料(売買契約書や重要事項説明書、物件概要など)
など
▽7. 引き渡しスケジュールの調整
本審査が完了したら、引き渡しまでのスケジュールを調整します。
今の住まいが賃貸であれば退去の手配や、引越し業者の手配など引き渡しにタイミングを合わせて段取りします。
担当者とよく相談をして、無理のないスケジュールを組むようにしましょう。
▽8. 金銭消費貸借契約
引き渡し日が決まったらそれに合わせて金銭消費貸借契約(いわゆる住宅ローンの契約手続きのことです)を行います。
原則この時点で住宅ローンの借入内容は確定となるので、借入金額やボーナス払いの利用、金利のタイプなど契約後に変更する場合は再度手続きのやり直しが発生します。契約手続き前に内容の最終確認をしておきましょう。
わからないことがあればまずは物件の担当者に相談をすると良いですね。
▽9. 融資実行・引き渡し
住宅ローンの契約が終わると、あとは融資実行と引き渡しを待つだけです。
なお、「融資実行」というのは銀行から住宅ローン資金が支払われることを言います。
自己資金での支払い分がある場合は融資実行時に一緒に支払うか、事前に支払うこととなるので資金は口座に準備をしておきましょう。
融資実行が完了して、清算が完了すると晴れてマイホーム引き渡しとなります。
▽10. 住宅ローン控除の利用
引き渡しを受けて入居した翌年には、住宅ローン控除を受けるために確定申告の手続きを忘れてはいけません。
会社員の方であっても、入居2年目以降は勤務先の年末調整で対応になりますが、入居の翌年だけは確定申告をする必要があるので忘れずに手続きをしてください。
■確認しておきたいポイント…初回返済額には注意して
▽注文住宅の購入について
マイホーム購入や住宅ローンの流れについて解説してきましたが、注文住宅(※)の場合は更に複雑になる場合があります。
(※)注文住宅とは、自分が選んだ施工会社と契約を交わして建築する新築住宅のことを指します。購入時に間取りなどが決まっている分譲住宅に対して、使用する設備や材料なども自分の好みやライフスタイルに応じたものを選べる点が特徴です。
注文住宅では資金の支払いが1度で済まない場合があるからです。
・土地購入資金
・着工時
・中間
・完成時
上記のタイミング毎に数回に分けて支払いが必要な場合があり、住宅ローンの手続きもそれに合わせて変わってきます。細かくは請け負うハウスメーカーにより取り扱いが違うため担当者へよく確認するようにしましょう。
ネット銀行などに多いですが数回に分けて融資をすることができない銀行もあり、住宅ローンについても使える銀行が絞られる場合があります。使いたい銀行がある場合は利用可能か早めに相談するようにしましょう。
▽初回返済日と返済額の確認
住宅ローンの契約時に初回返済日と返済額は必ず確認するようにしましょう。融資実行当月から引き落としがスタートすることもあれば、翌月からスタートになることもあるなど銀行によって取り扱いは変わります。
一番注意すべきポイントは、「初回返済時の金額が月々返済額より多いことがある」という点です。
これも銀行によりますが、初回返済時に融資実行月とその翌月分の2カ月分を引き落とす場合もあります。
思ってたよりも引き落とし額が大きく残高不足で延滞になっている、とならないように十分注意しましょう。
▽自動振替の設定
給与の受取口座と住宅ローンの返済口座が違う場合、毎月毎月ATMなどで入金するのが手間だと感じる人もいるでしょう。
もしうっかり入金を忘れてしまった場合には残高不足で延滞となってしまうため、最近は自動振替などのサービスを行っている銀行も多く、また無料で提供している銀行も増えています。
住宅ローンを利用する銀行にそのようなサービスがあれば是非活用しましょう。
◆ ◆ ◆
マイホーム購入は、多くの人にとって大きな決断です。その過程は煩雑でありながら、同時に夢を形にする楽しみなものでもあります。情報収集から物件の選定、購入申し込み、そして住宅ローンの手続きと、ステップごとに慎重に進める必要があるでしょう。
特に住宅ローンとは引き渡し後も長く付き合っていくこととなり、その選び方や返済計画は将来の生活を大きく左右するポイントです。
情報収集を怠らず、自分のライフプランや経済状況をしっかりと把握した上で、最適な選択をすることが成功のカギとなると考えています。夢のマイホームを手に入れるために、しっかりと準備をし、一歩一歩、着実に進めていきましょう。
(まいどなニュース/FPオフィス「あしたば」)