フラミンゴはいなくなる? ゾウの運動場広げるため? 神戸・王子動物園リニューアル案公開→繁殖を進めない「調整種」に戸惑う声も 副園長に疑問をぶつけてみた
神戸市は9月、同市灘区の王子公園再整備基本計画(素案)を公開し、公園内の「王子動物園」のリニューアル案を明らかにしました。動物を生息地ごとに「アジアゾーン」「サバンナゾーン」「南米ゾーン」など8ゾーンで展示し、日本動物園水族館協会(JAZA)のガイドラインなどに沿って飼育環境を整備。飼育中の約130種を繁殖方針で分ける「コレクションプラン」も公表しました。
積極的に繁殖に取り組む「最優先種」にジャイアントパンダなど8種、計画的に繁殖を推進する「優先種」にキリンなど15種、展示施設内での適正数維持を目的とする「維持種」としてライオンやベニイロフラミンゴなど50~60種。繁殖させず譲渡を進める「調整種」にヨーロッパフラミンゴやエゾヒグマなど50~60種としましたが、維持種と調整種についてはほとんどの種名は明記されず、ネット上では動物の今後をめぐり不安の声が多く上がりました。
同園の竹原副園長に詳しく聞きました。
-調整種はみな他園へ移動?
「コレクションプランは、生物多様性保全に貢献しながら動物園として持続するために策定するものです。130種の動物を域外保全の貢献、学術的価値、教育的価値などの観点から分類しています。入手困難な動物種や保全の重要度が低いために繁殖に取り組まないものなどを調整種に位置付け、終生飼育、または他園での導入が可能であれば譲渡するなどしていきます」
「面積が足りないから飼育種を減らすのではありません。これからの動物園は『動物を見せる』だけではなく、生物多様性保全に貢献できるような繁殖や調査研究をはじめ、野生動物とヒトの共生を考え、自分に何ができるかを見る側が学べる場となる必要があります」
-フラミンゴがいなくなる、と受け止めた人も多いようです
「当園ではベニイロフラミンゴとヨーロッパフラミンゴを混合飼育しています。現段階では、ベニイロフラミンゴは維持種とし、ヨーロッパフラミンゴを調整種としました。コレクションプランは、有識者や動物園関係者の意見も踏まえて精査していくため、各カテゴリーの種数は変動する可能性があります」
-アジアゾウの運動場を広くするために飼育種を減らす、ではないと
「飼育環境については、動物福祉の向上のためJAZAが順次策定している適正施設ガイドラインに基づき、動物の特性に応じ充実を図ります。現在のアジアゾウの屋外運動場は2頭で約500平方mで、ガイドラインでは1頭分しかないので、リニューアルではより良い飼育環境を目指します。飼育面積の明確な基準がない動物が多いのですが、ハード・ソフト両面から動物福祉の向上を目指して整備していきます」
温もりが感じられると人気の「ふれあい広場」の機能は、動物科学資料館の付近に配置する「学びの広場」で検討。また、神戸市、兵庫県に生息する希少種展示を想定する「神戸~日本の自然ゾーン」では、「身近な希少種の飼育展示を通じて、自然環境の豊かさや生物多様性に気づき、人間社会と動物との共生への理解を深める取り組みを進めたい」と竹原さん。
「当園では現在、近い動物種を集めた『系統分類学的展示』が中心です。リニューアルでは動物が生息する地域との関係性も分かりやすく集約したゾーンを設定。各動物舎で生息環境を再現し、生物多様性保全の重要性を感じられるような展示をしていきます。動物にとって幸せな環境になり、見る側も幸せを感じられると思います。動物本来の行動や習性を存分に発揮できる飼育環境を整え、動物園を愛する方々とともに育み、何度来ても『良かった』と思えるような、地元神戸のみなさんが誇れる動物園を目指していきます」
意見募集は10月31日まで。計画決定後、工事は開園したまま2025年度から始め、2045年度完成予定。
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)
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