散歩中の犬と飼い主が、小学生に「石」をぶつけられた! 凶悪犯罪の予兆となる「幼少期の動物虐待」に警鐘
犬と暮らす人の多くは、犬が苦手な人がいることを想定し、散歩の際は人通りの多い道を避けたり、人とすれ違う際はリードを短く持つなど、さまざまな配慮や工夫をしています。
この日、近くの小学校から下校する子供たちを怖がらせないよう、人通りのない河川敷を、黒いラブラドールレトリバーの女の子、JOY(ジョイ)ちゃんと散歩していた、JOYKIRAさん(@JOYKIRA1222)。首輪とリードでしっかりと繋いだJOYちゃんを連れ、大きな橋の下を通りかかった時、事件は起きました。
「橋の下をお散歩中に、上から小学生がJOYに石をぶつけました。前々からJOYを見るたび、『バーカ!』などの暴言をJOYに浴びせ、石までぶつけられた今日は本当に悲しくなりました。JOYは何個も飛んでくる石が怖かったのか落ち込んでます」
そんな衝撃的な投稿をX(旧:Twitter)にポストしたJOYKIRAさん。さらに続けて事件の詳細をポストしました。
「なぜその場で怒らなかったのか…大きな声で『石投げちゃだめでしょ!』『学校に言うからね!』と言ったのですが、ゲラゲラと笑っていて全く相手にされませんでした。JOYに怪我はありません」
■幼少期の「動物虐待」は凶悪犯罪の予兆
海外の研究によると、幼少期の「動物虐待」は、将来の反社会的行動や凶悪犯罪を予見する兆候なのだそうです。さらに今回は、犬を連れていた飼い主さんに対する暴行とも捉えられる状況でした。
相手が児童ということで、JOYKIRAさんは当初、橋の上からの罵声を無視していたそうです。ところが、児童らの行動はエスカレートし、橋の上から投石を開始。やめるように声をかけたものの、執拗に投石する児童らに身の危険を感じ、JOYちゃんを橋の下に避難させた後、加害児童らに再度注意をするため、現場に戻りました。
率先して罵声を浴びせて投石した加害児童は、以前にもJOYちゃんに対して悪態をついていたそうです。しかし、過去にその児童に対し、JOYちゃんが近寄ったり吠えたりしたことは一度もなく、また、その児童に加勢して投石した他の児童らも、全く面識のない子だったそうです。
投石行為を証拠として残すため、JOYKIRAさんは急いで動画を撮影。加害児童らが通う小学校に動画を提出しました。学校側からは、問題の児童を特定した後、改めて謝罪の連絡をするという返答があったそうです。JOYKIRAさんの娘さん、紗狐(@Sako_cos)さんも今回の件を受け、学校側とのやり取りを自身のXにポストしました。
■投石した加害児童数名が判明
「母が動画を撮ったので、教頭先生と生活指導の先生に見せました。AirDropで学校のiPadに入れて、各担任に見せて生徒を特定後、私の携帯に改めて謝罪の電話をするとのことでした。石をぶつけた男児の他にも、不特定多数の罵声も(「バカ犬ー!」「無視すんじゃねー!」等)あったため、全校集会を開いてくれるそうです。
自宅まで生徒と保護者を謝罪に向かわせたいと言われましたが、二度としない約束をしてくれればそれで良いと伝えました。人間が大好きなJOYが、家でずっと怯えています。なるべく感情的にならずに対応できればと思います」
「先ほど学校から連絡がありました。石を投げてしまったことは事実で、6年生数名。担任からの連絡に、『自分もやってしまった』『大変なことをしてしまった』と、自ら名乗り出たそうです。児童達の希望で、後日、小学校にて直接謝罪していただけるとのことでした。引き続き冷静に対応を続けます」
■犬に嫌な思い出があるのか、加害児童自身が虐待児なのか…
今回の投稿を受け、JOYKIRAさんのアカウントには、約2000件ものコメントが殺到しました。
「怪我がなくても石を投げつける行為は、相手が人なら立派な暴行罪です」
「何でそんなことするんだろう。犬が怖いのかな。でも石投げていいわけないんだよな」
「大きな犬に嫌な思い出があるのか、その子自身が虐待を受けているのかわかりませんが、早いうちに問題を取り去り更正させてあげないといけませんね(先生がんばれ)」
「自分は教員です。(通報は)警察と学校両方で構いません。下校時刻にその付近で教員や親に見張らせてくれと要求してください」
■当該小学校の対応は…?
紗狐さんに伺ったところ、当該小学校は、提出した動画からすぐに加害児童を特定。児童らと共に謝罪する旨を報告するなど、誠実に対応してくださったとのことです。
「下校時の出来事であり、学校側に責任がないにも関わらず、時間を作って対応して頂き、何度も頭を下げて頂いて申し訳なかったです」と、紗孤さん。
また、紗狐さんの方から学校に出向いて謝罪を受けることになったことについては、加害児童やその保護者の反応次第では、家族やJOYちゃんに危険が及ぶ可能性もあると判断し、自宅を知らせないための対策として、自ら申し出たそうです。
■自分と周りの「命」を大切にして
「加害児童らに対しては……君たちが親から大切にされて育ったのと同じように、よその犬も猫もみんな、家族や周りの人から愛され、大切に育てられています。私たち家族も、JOYが怪我や病気をしないように、大事に大事に育ててきました。そんなかけがえのない命を傷つけようとしたこと、例え謝ってくれたとしても…なかったことにはできません。自分と周りの『命』を大切にしてほしいと心から願っています」と、紗孤さんは語ります。
■犬は「言葉」のニュアンスなどから人間の感情や状況を判断
犬に暴言を吐いても言葉がわからないから平気だ、と主張する人もいます。しかし、カナダのダルハウジー大学の研究によると、犬は人間が発する言葉のニュアンスやイントネーションを理解し、感情や状況を判断しているそうです。だからこそ、犬は約2万年前から人間と共に暮らすことが出来たという説もあります。
今回被害に遭ったJOYちゃんもおそらく、加害児童らから投げかけられた言葉が悪意のあるものだと理解していたはずです。
「JOYは年末で2歳になるのですが、今でも子犬みたいに無邪気で、人間のことが大好きな子です。飼い主と外出するのが大好きで、人がいない広い場所ではロングリードで楽しく遊ぶのですが、今回の件以降は飼い主のそばを離れなくなり、子供の声を怖がるようになりました…」(紗狐さん)
■集団心理による「子供の悪ふざけ」として見過ごすのは危険
今回の投石事件に対して、コメント欄には同様の経験をした犬の飼い主さんたちからの悲痛な経験談も多く寄せられました。
「犬は人間よりもはるかに耳が良く、大きな音や声に驚いて吠えたりパニックを起こしてしまうことがあります。もしワンちゃんと触れ合いたい時は、飼い主さんに『触ってもいいですか?』と聞いてくださると嬉しいです。小さいワンちゃんであってもパニックになって噛み付けば、人間が大怪我をするくらいの力がありますから」(紗狐さん)
その後、当該小学校の校長先生と教頭先生がJOYKIRAさんご家族のお宅を訪れ、現在、加害児童らに聞き取り調査を行っていることなどを報告。改めてご家族に丁寧に謝罪をし、JOYちゃんにも「ごめんね」と何度も謝ってくださったそうです。
将来の凶悪犯罪や暴力行為の予兆と言われる「動物虐待」が疑われる子どもは、特に配慮が必要だと言われています。周囲の正しい指導と見守りのもと、彼らが将来、歩むべき道を踏み外すことがないよう願うばかりです。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)