まさか私が「モラハラ妻」!? 離婚カウンセラーが解説【診断チェックリスト】…要注意なあなたに試してほしい“4つの改善策”
夫から突然、「モラハラ妻」と言われたらどうしますか。モラハラ妻とは、夫に対して「モラルハラスメント」をする妻のことです。モラハラ妻によくある言動を紹介しますので、気になる人は「自分は大丈夫かどうか」一度チェックしてみましょう。自分がモラハラ妻だという自覚があり、「やめたい」と思っているのにやめらない人もいるでしょう。離婚カウンセラーの立場から効果的な対処法なども解説します。
■私はモラハラ?…チェックリストで確認してみて
モラルハラスメントとは、道徳・倫理(モラル)に反した嫌がれせで相手を精神的に追い詰める行為のことです。具体的には暴言や威圧的な態度、無視といった言動で、相手を精神的に傷つけます。
誰でも家庭生活や職場で不満を募らせることはあるものです。自分は育児や家事に追われているのに、夫はいつも夜遅く帰ってくる……。そんなとき溜まった不満やストレスを夫についぶつけてしまうこともあります。しかし、それが度を過ぎてはいないでしょうか。
小言や怒った表情を作るのはまだしも、血相を変えて乱暴な言葉で不満をぶちまけてしまうようなら要注意です。夫に「モラハラだ」と言われてしまうかもしれません。それが何度もあるようだと、既に夫は離婚の準備を始めている可能性さえあります。
そんなことにならないよう自分の言動を振り返ってみましょう。モラハラ妻によくある言動をチェックリストとしてまとめました。思い当たる点が1つでもあれば、あなたは既にモラハラをしているかもしれません。
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・夫の人格を否定するような悪口を言う
・夫の趣味や楽しみを否定する
・夫の家族や友人を否定的に見ている
・子どもに夫の悪口を言う
・夫の行動を制限する、もしくは監視する
・夫の行動に小言や文句を言う
・夫を家事や育児に参加させない
・夫に対してため息をついたり、舌打ちしたり、にらんだりすることがある
・夫の前で不機嫌そうな態度を取ることが多い
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チェック事項に一つでもあてはまるなら要注意です。最初は小さな愚痴や不満であっても、そこに満足せず、次第に言動が激しく、エスカレートしていきます。
お子さんがいる家庭ならなおさら慎重に。子どもは両親の言動をよく見ています。子どもにも大きなダメージを与えていることを自覚し、自身の言動を意識して変えていく必要があります。
■モラハラ妻をやめたいのに...なぜモラハラになる?
モラハラチェックをしたり、モラハラに関する記事を読んだりして、自分にもモラハラ気質があるのではないかと不安に感じたことがある人もいるでしょう。しかし、自分がモラハラ妻だという自覚があるのに、モラハラをやめられない妻もいます。
どうして、モラハラをやめようと思ってもやめられないのでしょうか。
▽精神的な余裕がない
モラハラをする妻は精神的な余裕がないことが多いようです。特に育児を手伝ってくれる家族のいない「ワンオペ育児」をしている妻はストレスがたまりがちです。そうしたストレスから、無意識のうちに夫に攻撃的な言動をしてしまうこともあるでしょう。それが繰り返されるとモラハラに発展してしまうことがあります。
しかし、一度立ち止まって夫の立場から考えてみましょう。夫だって、子どもが生まれて仕事を頑張ろうと、余裕のない状態なのかもしれません。そんな夫の目に、一方的にストレスをぶつけてくる妻はどのように映るでしょうか。夫婦がゆとりを持って、互いを思いやればモラハラもなくなるはずです。
▽完璧主義になりすぎている
物事をなんでも完璧にやらなければ気が済まない完璧主義の妻も、モラハラになりやすいと言われます。こうした女性は育児や家事も完璧にやろうとするあまり、他人のやり方を認めず、自分のやり方を人に押し付けようとする傾向があります。このため、夫のやることにいちいち文句を言い、失敗に苛立ちを募らせます。
しかし、よき家庭を築いていくという目的は夫婦共通のはずです。その手段が少し違ったからと言って目くじらを立てるのは、少し視野が狭いのではないでしょうか。夫にも夫なりの考えがあります。お互いの考えを認め合うことで、相手を否定するような言動もなくなるでしょう。
▽夫に甘えている
夫に甘えている女性もモラハラ妻になりやすいと言われます。こうした女性は、夫に依存し「何をしても許してもらえる」「自分のことを理解してくれている」と思い込む傾向があります。「夫を独占したい」「自分だけのものにしたい」と無意識のうちに思っていることもあります。
夫に依存しているモラハラ妻は、夫が他人と親しくすると嫉妬して激しく怒り出し、横柄な態度を取ることがあります。また、わざと夫が困惑したり心配したりするような行動に出ることがありますが、これは夫の反応を確かめるための行動で「試し行動」と言います。しかし、そんなことを続けていると夫に愛想をつかされるかもしれません。自立する努力も必要です。
■モラハラ妻が治らないとどうなる?
妻の自覚に関わらず、妻のモラハラが治らないと、夫婦関係はどうなるのでしょうか。考えられる夫婦の危機を紹介します。
▽仮面夫婦
妻が夫の言うことにいちいち反論し、自分の考えを押し付けようとし続けると、夫は反論するのをやめ、妻の言うことに従うようになるかもしれません。モラハラ妻はこれに満足しますが、実はこのとき夫は「もう何も言っても無駄だ」と諦めています。
諦めた夫はやがて妻に話しかけるのもやめ、しだいに夫婦の会話もなくなっていくでしょう。夫が妻に対して冷たくなるのは必然で、仮面夫婦状態になるのも時間の問題です。
▽浮気・不倫
モラハラ妻のいる家庭は夫にとって、もはや安らぎを得られる場所ではありません。仕事が終わっても、早く家に帰ろうという気分にはならないでしょう。そして、妻よりも自分を理解し、優しく接してくれる女性を求めるようにもなっていきます。
家に帰りたくない夫は、当然安らぎを得られる場所を見つけようとします。こうして、夫が浮気や不倫に走る可能性があります。
▽別居や離婚
モラハラによって家庭での安らぎを失った夫は、妻と離れて一人になり、自由を得たいと考えるようになるかもしれません。モラハラ妻の中には夫への依存心が強い人もいますから、そうした場合は、家を出ていきたい夫と引き止めたい妻の間で激しい口論になるかもしれません。
夫婦の間で別居や離婚の話が出てくると、その間で苦しむのは子どもです。自分のモラハラ行為で既に子どもは心を痛めているかもしれません。そのうえ、別居や離婚の話が持ち上がると、さらに傷つくことになるでしょう。
■モラハラ妻の治し方は?
妻がモラハラを続けると、夫の心は妻から離れ、ついには家庭が崩壊しかねません。そうならないため、妻のモラハラを治す方法はあるのでしょうか。モラハラの改善に有効だと思われる4つの方法を紹介しましょう。
▽どんな時にストレスが溜まるか書き出してみる
まずは、冷静に自分を振り返ってみましょう。どんなときにストレスを感じるのか、日記に書き出してみるのが有効です。不満や苛立ちを抱くのは育児に関してなのか、家事に対してなのか、どのような時間帯にストレスを感じるのか、自分の心理状態や感情を書くことで、客観的に自分を捉えられます。
書くことで、自分の考え方の傾向や思考パターンをつかめたら、もう一息です。どうしたら夫に感情をぶつけずにストレスを解消できるのか、不平や不満を溜めこまずにいられるのかを考えてみましょう。夫婦で話し合えれば、夫婦関係の再構築につながるかもしれません。
▽不満は学校や職場で注意する時と同じように伝える
職場で仕事が思い通りにならないからといって、同僚や部下に八つ当たりしたり、暴力を振るう人はあまりいないでしょう。もしいたら、今はパワハラで訴えられてしまいます。しかしモラハラ妻は、そんな威圧的なパワハラ上司と同じような態度を夫に取っているかもしれません。
不平や不満があっても、いきなり頭ごなしに言うのではなく、相手の気持ちになって伝えることが大切です。職場で部下に注意したり、学校で生徒を諭したりするように、言葉を選ばなければ相手は聞いてくれません。普段の自分の言動が、相手をどのような気持ちにさせるのか、よく考えてみましょう。
▽最終的にどうなりたいか考える
自分がモラハラを続けていると、最終的にどうなるのかを立ち止まって考えてみましょう。夫とどのような関係になりたいのでしょうか。いつも喧嘩を繰り返し、子どもに悲しい思いをさせながら関係の冷えこんだ夫と同居を続けるのか、別居や離婚を選ぶのか。それとも穏やかな家庭で家族仲良く日々を過ごしたいのか。
もし、穏やかな家庭を目指したいのなら、やるべきことは一つです。自分の言動を振り返り、反省したうえで夫とよく話し合いましょう。
▽第三者も交えて話し合う
モラハラがエスカレートすると、2人で問題を解決するのが難しくなります。カウンセリングを受けるなどして、第三者に入ってもらうことでモラハラの改善につながることがあります。
モラハラ妻は感情的になりがちです。いくらストレスが溜まっても、相手を言葉の暴力で傷付けてしまってはいけません。つい感情的になってしまうという自覚のある人は、特にカウンセリングが有効でしょう。
■モラハラ妻をやめたいならストレスの原因を整理しよう
モラハラをやめたいのに、やめられないと悩む妻は決して少なくありません。モラハラは、その人の思考パターンや考え方とも深く関わっているので、そう簡単には改善しないのです。まずは、どんなときにどのようなストレスを感じるのかを整理し、どうすればストレスをため込まずに解消できるのか、を考えましょう。
そして、カウンセラーや夫に協力を求め、時間をかければモラハラも少しずつ改善していくはずです。温かで穏やかな家庭を築くことを目指し、夫婦で手を取り合っていきましょう。
◆渡辺里佳(わたなべ・りか)離婚カウンセラー
30代半ばで離婚を経験し、子どもたちが成人する頃に「夫婦関係や離婚に悩む人の助けになりたい」「人の役に立ちたい」という想いが膨らみ、2011年、夫婦問題研究家・岡野あつこ主宰の「離婚カウンセラー養成スクール」に通学。 夫婦問題に特化したカウンセリングを学び、同年9月「離婚カウンセラー」資格を取得、52歳でカウンセラーに。
心理を深く学ぶため、日本プロカウンセリング協会認定「心理カウンセラー2級」資格を取得。現在、法務省認証の民間調停機関「家族のためのADRセンター」主催の「パパとママの離婚講座」の講師を担当。ライター、エディターとしても活動している。課題解決型マッチングメディア「リコ活」専門家。
(まいどなニュース/リコ活)