狩猟用の罠「トラバサミ」にかかった猫を保護→右前足の骨が露出…腱や神経など全て切れた状態 ボランティア「早く犯人を捕まえて」
東京都足立区の荒川河川敷でイノシシやシカの脚を挟んで捕獲する狩猟用のわな「トラバサミ」が見つかった事件で、トラバサミにかかった猫が保護されたことが分かりました。保護に関わった地元ボランティアによると、猫は右前足を負傷しているものの、命に別状はないといいます。
トラバサミが見つかった当日、既にボランティアが西新井署に通報。トラバサミは人や動物も足を挟まれてけがをする恐れがあり、鳥獣保護管理法で使用は原則禁止されているとのこと。何者かが仕掛けた可能性があり、警察は鳥獣保護管理法違反や動物愛護法違反の疑いもあるとみて調べているそうです。
トラバサミが荒川河川敷で見つかったのは9月26日夕方。地域猫のお世話をするボランティアらが発見し、猫がトラバサミにかかっていることに気付きました。トラバサミが足に食い込み、倒れて鳴いていたという猫。ボランティアらがトラバサミを外すと、猫は逃げてしまったとのこと。
しかし、1週間ほど経った10月2日夕方、逃げ去った猫が河川敷に姿を現し長年かわいがっていたという餌やりボランティアが保護。その後、足立区内で猫の保護活動をしているNPO法人「けだ・まも」(代表・中山亜子さん)の高橋さんが猫を病院へ連れて行きました。
■トラバサミで負傷した地域猫「ちくわ」くん 長年餌やりをしてきたボランティアの声に反応?
高橋さんによると、猫は茶トラの雄猫でちくわくんと呼ばれ、地域猫としてかわいがられていたといいます。7年ほど前にTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)を行い、現在8歳を超えるシニア猫。トラバサミに挟まれた右前足は、腱や神経なども全て切れた状態で骨も露出し動かせないような状態だったとのこと。骨折はしなかったものの、毎日傷口を洗浄をし薬を塗るなどしてきれいな状態を保たないと断脚になる可能性もあるそうです。
今回見つかったちくわくんについて、「長年ちくわくんをかわいがっていた餌やりさんの声に反応して出てきたようです。本当に命が無事でよかった…また警察の方も呼んで病院の中でちくわくんの写真を撮影してもらいました」と高橋さん。さらに「今回見つかりましたが、ちくわくんがわなにかかった現場付近は地域猫がいますので、毎日ボランティアたちがパトロールしています」と話してくれました。
この河川敷では最近、地域猫が相次いで2匹行方不明になっており、ちくわくんの捜索などに関わった動物愛護ボランティアの高沢守さんは「三毛猫のはなが1週間ほど前から、白黒猫じんたが2カ月ほど前から行方不明です。今回のトラバサミ事件と関係あるかどうか分かりませんが…早く犯人を捕まえてほしい。他にもわなが置いてあるかもしれないので、草地などに入る時は十分気を付けてほしい」と呼び掛けています。
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現在、足立区荒川河川敷トラバサミ猫犠牲事件を風化させないためにと、荒川河川敷足立エリアの整備と防犯カメラ設置を求めるオンライン署名を「Change.org」にて行っています。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)