観光名所近くに捨てられた4匹の子猫 保護ボランティアがその命を救い、優しい里親さんの元へ巣立っていった
2023年のゴールデンウィーク。山口県の観光名所近くの公園に、子猫たちが段ボール箱に入れられ捨てられていました。発見者の通報によって警察が保護することになりましたが、見る限り生後1カ月に満たないほど。明らかに意図的な遺棄であり、「飼い主を主張する者はいないだろう」とみなした警察は健康福祉センター(いわゆる保健所)に持ち込みましたが、連休の狭間の平日の閉庁間際。休みの間、「自力でご飯を食べられない子猫たちが生きることが難しい」と考え、健康福祉センターの職員から地元ボランティアへと連絡が入りました。
■スイーツの名前を与えられた4きょうだい
地方ではまだまだ猫の外飼いが当たり前だったり、地域猫に餌だけあげて手術せずに増えてしまった猫を「不要猫の日」に役所が回収すると言います。
「猫はタダで貰ってくるもの」という風潮さえある地域では、きちんと飼ってくれる里親さんを探すことは難しいため、もう丸4年ほど東京の保護猫ボランティア団体・みなとねこと連携・協力して東京で里親探しを行なっています。
今回のような子猫の場合、3時間おきの授乳をはじめ、風邪、真菌、下痢などの対策が必須となります。大人猫ならなんということのない病です気が、免疫力の弱い子猫の場合にはなかなか治らず、日々の投薬や通院、シャンプーなど、本当に毎日大変とのこと。
他方、こういった苦労の中において「猫のお世話をするボランティアさん」「里親募集をするみなとねこのような団体」と、役割分担することで、少ない人数でたくさんの猫を救うことができるとのこと。
もし、東京に協力者がいない場合は、SNSや里親募集サイトなどで「このままでは殺処分になってしまう猫がいる」ということを訴え、里親希望者さんの挙手が上がるまでは、引き出さずに見守るようにするそうです。やみくもに引き出せば、譲渡できない猫が溜まってしい、預かりボランティアさん自らが多頭崩壊に陥いることもあるからです。
さて、冒頭で触れた子猫たちきょうだいに与えられた名前はキャンディ、マカロン、タルト、ビスコ。おいしそうなスイーツの名前をもらいましたが、まだ生後1ヶ月弱、体重も200g台後半から300g台後半。目やにも少しあるため、このままだと、健康面でも心配です。
■ボラさんの献身的なお世話によりすくすく成長
センター職員とボランティアの連携により、すぐに温かなミルクと目薬などの治療が開始されたことが幸いし、キャンディ・マカロン・タルト・ビスコの4匹は重症化することなく、すぐに成長基調に入りました。
また、少しずつ個体差が出てくるようにもなりました。メスのキャンディとマカロンは、オスのタルトとビスコと比べ少し小さめ。中でもマカロンはのんびりしているところから、なかなか離乳も進まず、きょうだい一緒に食事を与えるとみんなの食べるペースに付いていけません。そんなとき、ボランティアは追加して食べさせてあげることもあったそうです。
■2匹ずつ、それぞれペアで幸せを掴んだ
無事にスクスク成長し、体調が安定したスイーツきょうだい4匹は、東京のみなとねこの預かりボランティア宅に移動し、みなとねこの譲渡会へ参加することになりました。
キャンディとタルト、マカロンとビスコそれぞれのペアに里親希望者さんが現れ、一定期間のトライアルへ経たのち、無事に「ずっとのおうち」での生活をおくるようになりました。
段ボール箱に入れられて捨てられ、殺処分も危ぶまれた4匹のスイーツきょうだいでしたが、心ある人たちの連携によってその命を繋ぎ、幸せな生活をつかむことができました。みなとねこのスタッフ、そして最初に保護したボランティアさんは、このことをおおいに喜び、そして、今後の活動の励みにも繋がりました。
※現在みなとねこでは特定の協力団体以外からの保護依頼などは受け付けておりません。
みなとねこ
https://www.minatoneco.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)